表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人間卒業  作者: 冬永
7/69

第7話

        




おっと、ここは牢屋だった。ラブラブしている場合じゃなかった。

とりあえず離れる。



「えっと…瑠衣はグロい話は大丈夫?ダメそうなら簡単に説明するけど?」

「え?うーん…ちなみに簡単ってどれくらい?」



そして俺は振り返る。

血を採られたくらいしか言えない。後あいつはヤバイやつくらいしか言えない。



「血を採られた。後あいつはヤバイやつ。」

「え?血を獲るってだけで、そんな血まみれになるの??後ヤバイやつなのは知ってる。」



やっぱり納得しないかぁー…ヤバイやつって、想像してたよりも、もっとヤバイって意味だ。

はぁ…瑠衣に嫌な思いさせたくないけど教えなきゃなぁ…



「えっと…血と………両腕を採られました。」

「………」



瑠衣の目が丸くなる。じーっと俺の両腕を見る。その後俺の目を見る。

瑠衣は目で語る。あるじゃんと。



「えっと…その後傷口に変な薬をかけられて、そしたら腕が生えてきた。以上だな。」

「……」



すると瑠衣は黙って俺に近寄って抱きついてきた、そして俺の頭を撫でてきた。



「…大変だったよね?ごめんね…他に何て言えばいいか分からないの……」

「…ありがとう瑠衣、その気持ちだけで嬉しいよ」



本当だ。だから謝らないでほしい。



「ねぇ明日もやるの…?」

「うん」



俺がそう答えると抱きしめる力が強くなる



「私も…」

「やめてくれ」



それだけはやめてくれ…





「私は…それを知って、明日、蓮が牢から出ていくのを見送らなきゃダメなの…?」

「ごめん」



俺が我慢すればいい、ちゃんと治ったんだ。死にはしない。でも瑠衣だけは…



「ひどいよ…」

「…ごめん」



瑠衣がまた泣きだした……今日は泣かせてばかりだ

だから俺が強く抱きしめる。



(やっぱり脱走を考えなきゃ…このままここにいても最悪殺される……)



今日は生きてた。なら明日は?明後日は?そんな保障はない



「瑠衣、脱出の方法を考えよう?今ならゴーレムはいないし、あの窓の柵を少しでも傷つけ

られるかも」

「……ぐすっ…でもどうするの?…100円玉で頑張る?」

「少しでも頑張ろう?ベッドを足場にして頑張ろう?」

「うん…分かったよ」



瑠衣が泣き止んでくれた。

俺はポケットから100円玉を取り出した。今のところこいつだけが頼りだ。

力強く握りしめる。



「じゃあこの100円玉で削ろうか!」

「うん!…………え?」



瑠衣が100円玉を見て固まった。なんで?

そして俺も”100円玉だったもの”を見て固まる。

ぐしゃっと潰れていた…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ