第7話
おっと、ここは牢屋だった。ラブラブしている場合じゃなかった。
とりあえず離れる。
「えっと…瑠衣はグロい話は大丈夫?ダメそうなら簡単に説明するけど?」
「え?うーん…ちなみに簡単ってどれくらい?」
そして俺は振り返る。
血を採られたくらいしか言えない。後あいつはヤバイやつくらいしか言えない。
「血を採られた。後あいつはヤバイやつ。」
「え?血を獲るってだけで、そんな血まみれになるの??後ヤバイやつなのは知ってる。」
やっぱり納得しないかぁー…ヤバイやつって、想像してたよりも、もっとヤバイって意味だ。
はぁ…瑠衣に嫌な思いさせたくないけど教えなきゃなぁ…
「えっと…血と………両腕を採られました。」
「………」
瑠衣の目が丸くなる。じーっと俺の両腕を見る。その後俺の目を見る。
瑠衣は目で語る。あるじゃんと。
「えっと…その後傷口に変な薬をかけられて、そしたら腕が生えてきた。以上だな。」
「……」
すると瑠衣は黙って俺に近寄って抱きついてきた、そして俺の頭を撫でてきた。
「…大変だったよね?ごめんね…他に何て言えばいいか分からないの……」
「…ありがとう瑠衣、その気持ちだけで嬉しいよ」
本当だ。だから謝らないでほしい。
「ねぇ明日もやるの…?」
「うん」
俺がそう答えると抱きしめる力が強くなる
「私も…」
「やめてくれ」
それだけはやめてくれ…
「私は…それを知って、明日、蓮が牢から出ていくのを見送らなきゃダメなの…?」
「ごめん」
俺が我慢すればいい、ちゃんと治ったんだ。死にはしない。でも瑠衣だけは…
「ひどいよ…」
「…ごめん」
瑠衣がまた泣きだした……今日は泣かせてばかりだ
だから俺が強く抱きしめる。
(やっぱり脱走を考えなきゃ…このままここにいても最悪殺される……)
今日は生きてた。なら明日は?明後日は?そんな保障はない
「瑠衣、脱出の方法を考えよう?今ならゴーレムはいないし、あの窓の柵を少しでも傷つけ
られるかも」
「……ぐすっ…でもどうするの?…100円玉で頑張る?」
「少しでも頑張ろう?ベッドを足場にして頑張ろう?」
「うん…分かったよ」
瑠衣が泣き止んでくれた。
俺はポケットから100円玉を取り出した。今のところこいつだけが頼りだ。
力強く握りしめる。
「じゃあこの100円玉で削ろうか!」
「うん!…………え?」
瑠衣が100円玉を見て固まった。なんで?
そして俺も”100円玉だったもの”を見て固まる。
ぐしゃっと潰れていた…