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人間卒業  作者: 冬永
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第6話

      





「ただいま瑠衣」


やっとあの拷問じみた人体実験から帰ってくることが出来た。

瑠衣に笑顔を向けるけど、瑠衣は俺の顔を見て青くなっている。

あれ?顔に何かついてるかな?少し不安だ…



「蓮っ」



そう思っていたら瑠衣が抱きついてきた。

なんだか瑠衣の温かさに触れて涙が出た。



「だい…じょうぶっ…だいじょう…ぶ…だからっ…」



だめだ、大丈夫って言いたいのに、瑠衣を安心させたいのに涙が流れてうまく言えない。

すると瑠衣が俺の頭を胸に強く抱きしめてくれた。



「怖かったよね…?辛かったよね…?今はいっぱい泣いていいよ」

「う…うぅ…うん…グスッ…うぅぅ」



俺は泣いた、14年生きてきて一番泣いた。

瑠衣からも鼻をすする音が聞こえる、瑠衣も俺も二人して泣いた。

泣いて泣けば身体が震え、身体も心も温かくなってくる。

俺は思う。今俺が感じている瑠衣の温もりは絶対に手放してはならないもので、

誰にも奪わせてはならないものである。



あいつは言った。俺が嫌がるなら瑠衣がいるから構わないと…

瑠衣にあんな真似はさせられない。俺が守るんだ。

でも今はもう少しこのままでいさせてくれ…



そして俺はまた泣いた。

















「それで何があったの?」

「……」



お互い泣き止んで名残惜しそうに少し離れる。

それで瑠衣が俺の目を見ながら聞いてきた。しかしどう言えばいい?



「言いづらい?」

「…うん」



言いづらいったらない。両腕切り飛ばされて、痛みで泣きながら転げまわり血も回収され、

傷口に液体?みたいなのぶっかけられ腕がにょきにょき生えました。

これ言ったら瑠衣倒れるんじゃ…



「でも私だって心配なのよ?」

「うん…」

「やつれて血まみれになってるし…」

「うん…うん?」



血まみれ?改めて冷静になった俺は自分の身体を見る。

ズボンもシャツも血まみれだ。しかし腕だけは綺麗に汚れていない…

瑠衣の服も見ると俺の血がついている…やべー



「ごめん瑠衣…瑠衣の服に血を付けちゃったよ…」

「え?気にしないでよ!別に蓮の血なら気持ち悪くないし大丈夫よ!」

「本当?」

「本当に気にしてないわよ!」

「いやー…でもごめんね?」

「じゃあ蓮は私の血が服に付いたら嫌?」

「え?いやーそもそも瑠衣が怪我するのが嫌」

「それは置いといて!!私の血は嫌?」



瑠衣が首をかしげて聞いてくる。可愛い。



「嫌じゃないよ!!」

「んふふー♪」



瑠衣が抱き着いてきた



「じゃあ一緒だね!」

「えへへー♪」



俺はデレてしまった。


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