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人間卒業  作者: 冬永
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第4話

          




孤児院から出てしばらく、アイギスは雲の上にいた。辺りは夕方となり見えるのは夕日だけ

エルフ特有の精霊魔法を使い空を飛んでいるのである。

場所はカーバイン王国とマギの約中間、休むことも無くマギに向かって飛ぶ。

このままいけば夜にはマギに着く。



『このまま行けば問題なく行けると思うのですが…』



アイギスは一人呟く…飛行しながら考える。

道案内に関していえば精霊たちが案内してくれるので心配はない。

心配なのは精霊が言った”恐ろしく魔力あるもの”というものがマギに召喚されてしまった

ということ…



マギという国は異常でもある。

老若男女問わず、子供でも何らかの研究者であり日夜研究に努める。

仮にエルフであるアイギスやドライアドであるシャロなんかがマギに訪れれば、たちまち

連れ去ろうとする。研究、実験のために…

だから人間以外の種族はマギに近寄らない。

じゃあ人間はいいのか?というと人間は行っても構わない。興味がないのだ

もう研究されつくしてしまったのだから…

そこに”何かが”召喚された…

それが心配なのだ。

自分の実験のためなら何でもする。召喚したものを何に使うのか…

マギの人間にとって分からないというのは興味深く、知識欲を刺激する

何があるか分かったものではない…



『本当に急がなくては…』



アイギスは更にスピードを上げた。



















その頃、マギのはずれにある墓地の地下



「があああぁぁーーーーーっっ!!??」



ゴーレムに拘束された蓮は両腕を切り飛ばされた。ヒュンフの手刀によって



「ふむ…ふむ……あっ!」



蓮の叫び声など意に介さずそれを眺める。そして何かに気づいた



「大変ですね!!血が出ていますもったいない!!おいそこのゴーレム、流れた血は確保して

おきなさい。」



するとゴーレムは血だまりに手をかざし、どういう原理か血が消えていく。



「ふぅーっふぅふぅふぅ」



蓮は涙を流しながら呼吸をしてなんとか意識を保っていた。



(こいつ想像以上にヤバイ!!脱出しなきゃいけないのに…腕が無くなっちまった……)



「うっ…うぅ…うううぅ~~っ」



痛くて、悔しくて涙が止まらない。



「ん?おやおや?泣いているのですか?」

「ぐぅぅぅっ…でめぇぇぇ…」



もう蓮は声を出す力すら無い、それでも泣きながら必死に相手をにらみ低い声で虚勢をはる。



「ひっひっひ…安心なさい?治して差し上げますとも…あなたがそのままだと私も困るので」



そう言うとヒュンフの手からいきなり液体の入った瓶が現れる。

そして蓋を開け中身の液体を蓮の傷口にぶっかけた。



「っっ!!!?」



その時、蓮は傷口にいきなり液体をかけられ、その痛みにビクッとしてしまった。

思わず目を閉じてしまったが、目を開くと自分の傷口がボコボコと泡立って凄い勢いで再生

が始まる。



「あ、あぁぁ…」



自分の腕が再生されていく。

嬉しいような…でもその光景は気持ち悪くおぞましい…



「これで元通りですね…さすが私ですね」

「……」



蓮は自分の元に戻った腕を見て呆然とした



(なんだよこれ…こんなの知らない、やっぱり日本じゃない…ここは知らない世界だ)



「今日はここまでにしましょう。また明日もお願いしますよ?」

「また、明日…?」



明日。また明日も同じことをするのか?蓮は絶望した。



「嫌ですか?別に構いませんよ?別にあなたじゃなくても…」

「やめろっっっ!!!!!」



絶望しても、それだけは譲れない。



「俺がやる…だからあいつに手を出すな!!」

「そうですか。ではお願いしますね」



そうして蓮はゴーレムに連れられ瑠衣のいる牢屋へ向かった。






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