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人間卒業  作者: 冬永
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第3話

         



ここはバルト大陸の中央、カーバイン王国。

魔導国マギはカーバイン王国から西側に位置し、馬でも一週間はかかる。

蓮と瑠衣がこの世界に現れてから間もなく、ある人物が王の私室のテラスに外から忍び込む。



ある人物の名前はアイギス。齢600歳を超えるエルフの男性である。

特徴的な耳と美しい金髪、そしてその顔立ちは多くの女性を魅了する程美しい。

普段は王都の孤児院で院長を務める心優しい人物だが、本職は暗部であり裏から王や教会を

支えてきた。



アイギスはテラスの窓をノックする。



「……誰だ?」

「アイギスです。」

「うむ…入れ」

「失礼します。」



今声をだした男性はここカーバイン城の王であるレグルス・メメト・カーバイン。

年齢は40を超えたが、王としては若い方である。

アイギスとの付き合いはレグルスが王太子から王となったときに先代の王から教えられた。

城の中でもアイギスを知るものはレグルス王以外いない、そして暗部の構成メンバーや人数

に関しても王意外知らない。



「レグルス王、急に出向いて申し訳ありません…」

「いや、よい…アイギス、お前から来るのは珍しいな?緊急の要件か?」

「……単刀直入に言いますが、マギにて異変が起きています。これから発ちますので報告に…」

「……マギだと?」



レグルス王は顔をしかめる。



「アイギスよ、何があった?あそこには諜報員がいるはずだが私に何の連絡もないぞ…」

「…精霊が先ほどから騒ぎだしているのです。マギに行けと…今回はエルフである私が

直接行ったほうがいいと判断しました。」

「精霊か…マギにいる諜報員は人間だったな、ならばお前が行ったほうが分かることもある

だろう…精霊は他に何と言っている?」

「何か恐ろしい魔力を持つ者が召喚されたと…私は分かりませんでしたが何か波動を感じたと

言っていました。」

「……まさか悪魔か?それとも違う何かか…」

「…それを確認してきます」

「分かった…マズイものであれば殺せ。」

「分かりました。」






















「あっ!院長先生!おかえり~」

「おかえりなさい!院長先生!!」

「えぇただいま帰りました。」



アイギスは柔らかい笑顔を浮かべ子供たちの頭を撫でる。

城から戻ったアイギスはこれからマギに向かう前に準備をするため孤児院に戻っていた。



「シャロはどこにいますか?」

「シャロ先生は今、夕食を作ってるよ?」

「今日は僕たちが育てた野菜がいっぱい入ったシチューなんだって!!楽しみ!!」

「院長先生も楽しみでしょ?」



子供たちがニコニコと聞いてきてアイギスは悲痛な顔する…



「そうなのですか…でもごめんなさい。今日はこれからお仕事に行かなくてはならないのです

…」

「「えぇぇぇ…」」



子供たちが悲しそうな顔をするのでアイギスは慌てて言う。



「本当にごめんなさい!!かわりと言ってはなんですが帰ってきたらご馳走にしましょう!

お肉も獲ってきますよ!?」

「本当?」

「えぇ本当ですとも!」

「どれくらいで帰ってくるの…?」

「えぇと…一週間?」



本来、カーバイン王国から西に馬で一週間ほどかけて魔導国マギに着く。

それを任務をこなし往復一週間で帰ってくると言うのだから大概である。



「えーー!!そんなにいないの!?」

「僕、寂しいよーー!!!」



だが子供たちには関係ないのだ。



「うっ…いや流石に……いや寝ないで行けば…」



アイギスが小声でぶつぶつ言っているので子供たちには聞こえない。

聞こえるのはぶつぶつと言う音だけ…



「五日…五日ならどうですか…?」

「えぇぇ…でも五日なら我慢してもいいかなぁ?」

「うん…寂しいけど五日くらいなら我慢できるかも…?」



いい流れになった。このまま畳みかける。



「いい子ですね!我慢出来たらお肉はお肉でも良いお肉を獲ってきますよ!」

「「本当!!?」」

「えぇ!口の中で溶けるやつを!!」

「楽しみ~~!」

「じゃあ良い子にして院長先生を待ってるよ」

「ふふっじゃあ私はそろそろ行きますが良い子にして待ってて下さいね?」

「「はーい!!院長先生も気を付けて行ってらっしゃい!!」」

「えぇ行ってきます。」














そして子供たちに手を振りながらシャロのいる台所へと向かう。

シャロは茶色の綺麗な長い髪が特徴の美しい女性でありアイギスの妻である。

彼女の見た目はエルフのように耳が長いわけでもないので人間に見えるが、

種族はドライアド。エルフと同じく精霊とも話を出来る。



「シャロ」

「お帰りアイギス。これから行くの?」

「えぇ少しお話がありまして…私の部屋にこれますか?」



シャロは察っする。精霊が騒ぐ原因に関わるのだろうと。



「すぐ行くわ」



そして鍋の火を消してアイギスの部屋へ向かう。

向かいながら少し会話をする



「今回はどのくらい?」

「そうですねぇ…五日を予定していますね。」

「そう」



そしてアイギスの部屋に入り鍵と遮音魔術を張る。アイギスの顔つきが柔和なものから

真剣なものに変わる



「今回はマギに行き異変の調査に行ってきます。」



アイギスは見に付けていた神父服を脱ぎ黒いローブを着ながら言う。



「精霊が騒いでるものね…私はどうする?」

「今回は残ってください。潜入して任務を達成すれば帰還しますから」



アイギスは両腕に付けている魔道具を確認しながら答える。



「それにしてもあなた…マギまで往復五日って、どれだけ無茶するのよ」



シャロは呆れた様に言う。アイギスは困ったように笑いながら答えた。



「子供たちと約束しましたからねぇ…」

「はぁ…気を付けて行ってきてね?それと…」



シャロはため息をついたあとアイギスに抱きつき口づけをした。



「無事に帰ってきてね?」

「ありがとうございますシャロ!五日も開けるのは寂しいですが頑張りますよ!」



アイギスからも抱きしめた。そして離れる

そしてアイギスは仮面をつける。エルフ特有の長い耳が消え、金色の髪が黒色に、

声はくぐもったような声に変わる




『では行ってきます』





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