【とある少年side-凛太郎-】
今日俺は、【晦冥】の本拠地がある
龍道町へ引っ越してきた。
母親と二人暮しをしていたが、新しい男ができた
からと、家を追い出されたのだ。
父親の顔は見たことも無いから頼ることも
出来ない。
頼れていたとしても、俺を捨てた父親なんか
頼る気は無いのだが…
しかし、17歳のただの高校生の俺が
1人で部屋を借りるなんてことは出来るわけもなく
どうしようかと、仲のいい従兄弟の清兄に相談したら、「俺の家に住んで学校行くなり働くなり
すればいい」と言ってくれたので、この街[龍道町]へ引っ越してきたのだ。
毎日酒と男に溺れたバカな母親を見ていて
こんな大人になりたくないと、必死で勉強だけ
を頑張り有名な進学校へ進学した俺は、
この街[龍道町]がどんな所なのか
イマイチ知らない。
ココは俺とは無縁な、暗闇と呼ばれる場所
なのだから。
噂でしか聞いた事のないこの街だけど、
暗闇という別名に疑問を覚えるくらい普通の
街だと思いながら、重い荷物を抱え直しつつ
清兄のマンションへ足を進めた。
「ここか?……え?」
携帯のナビが間違っているんじゃないかと
思いもう一度住所を確認したが、合っている
みたいだ。
間違っているんじゃないかと疑うほど、
そのマンションは大きくて綺麗だったのだ。
「電話してみるか…プルルル…プルルル…あ、
多分着いたと思う…間違えてなければ。
……わかった、待ってる。」
多分とはなんだと、呆れられたが来てくれる
みたいなので待つ事にした。
-数分後-
2年ぶりの従兄弟が、大きくて綺麗なマンション
の入口から出てきてやっと、ココで合っていた
のだと思った。
『ナビ使って来たくせに多分ってなんだよ。お前の荷物はちゃんと届いたから、間違った住所は教えてないぞ?』呆れながらも、近付いてきて
俺の持っていた2つの大きな荷物の1つを
もってくれたこの人が
従兄弟の塩田 清隆兄さん25歳だ。
「いや、想像とかけ離れた家だったから、
不安になっちゃって…こんなに家賃が高そうな所に住んでるって思わなかった…から。
あ、えっと改めて今日からお世話になります。」
『あー、まぁ確かに普通は住める所じゃないけど、仕事場のマスターが寮として貸してくれてるんだ。俺だけの稼ぎじゃ住めないのは確かだな(笑)従兄弟なんだしそんなに畏まるなよ!今日からここはお前の家でもあるんだぞ、凛太郎』
昔と変わらない笑顔でそう言いながらマンションへ入っていく清兄に慌ててついて行く。
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追いついた俺を確認して、エレベーターに
乗り込み、真ん中である25階を押し、俺の方をチラリと確認して話し始めた。
『この街の事は知ってるか?噂には聞いた事くらいあるだろうが、そのことについて部屋に着いたら説明する。しっかり聞けよ?後から聞いてない知らないは通用しないぞこの街は。俺も庇えないからな。』
そういう清兄の横顔は真剣だったからなのか
「分かった。」そう返事するのが精一杯だった。
次、清兄side
なんで、凛太郎がこんなに出てくるの?!
って思ってる方!
後々分かります笑
続きが気になる!
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