感想をかこう
おい、お前っ、この前と言ってることが違うじゃないか!
そう思われる方もいるかもしれません。
ですが、この前の主張は「感想書くにはエネルギーが必要」というものでしたから矛盾はないと思います。
さて、この随想を書くに至った理由は表題の通りです。
ええ、今年の初めに「ダークエルフ」の方で赤紙頂戴してしまいました。
正直、運営からのメッセージをいただいた時にはもうすっかり忘れていました。
何といっても、異世界勇者が信長をいじめちゃうぞ!の方で手一杯でしたので。
赤紙の原因はエロスです。
もうとっくのとうに記憶の彼方にデフラグ済みだったので「どこだっけ?」でした。
その個所を書いたのはずっと前。
日間に一日だけランクインしただけの話に「今頃になって何で?」という疑問が湧いたのです。
ひょっとして、運営が独自に行っている投稿作品への文章チェックが悉皆調査で、ようやっと自分の書いたものに行きついたとか?
それならば「ご苦労様です」としか言いようがないのでどうでもいいのですが、
もしも今回の赤紙理由が読者からの通報によるものであればちょっと考えてしまいます。
それというのも、赤紙該当箇所のくだりを書いた時に、方向性に悩んでいたからです。
話に色付けするために加えたエロ路線は元々、柴田錬三郎の眠狂四郎や山田風太郎のエロ忍者小説のノリを真似ようとしたものだったのですが、
小説の主題や書きたい方向性とはかなりの乖離があるのを実感として認識していました。
それでかなり悩んでいたのでその旨を後書きなどに書いていたのです。
もしも感想欄に「こういった描写はこの小説のムードに合わない」とか書かれていたなら、即座にその路線を放棄していたと思います。
そんなわけで、そういう感想を抱いてしまったら、その旨を感想欄に書いてしまってもいいんじゃないでしょうか。
なろうで感想を書くのは、やる夫スレに感想を書き込むのに比べると敷居が高いのは確かですが、そこはもっと気軽に書いてしまってもいいんじゃないかと。
「これは俺の作家性だから」とか「フィクションと現実をごっちゃにしてはいけませんなぁ」といったリアクションが作者の方からあるんじゃないかと思って感想書きをためらう気持ちもあると思います。
が、そんなのを気にする必要はないんじゃないでしょうか。
もしもその作品に書籍化のオファーが来て、編集者に同じことを言われた際に、
まったく同一の感想をぶつけてきた無料購読者に対するのと同様に
「オレの作家性に関わることだから黙ってろ」とか「お話と現実は切り分けて考えようぜ」と突っぱねられるとは思えませんから。
ただし、感想欄に「うんこー!!」だの「つまんね」だの「この小説の存在自体が不快。消えて欲しい」などと書くのはお勧めしません。
だって、「どうせ大したことは言っていない」感想になり、その感想文自体が読む価値のない文章になってしまいますので。
具体的な問題点の指摘とそれに対する改善案の提示のないコメントに文章としての価値は無いでしょうから、そんな感想を送られた作者の方はどう受け取っていいのか困惑するだけですしおすし。
そんなの、どうぶつのなきごえ以下です。
どうぶつのなきごえを聞いて、意味のある文章として捉えられるのは、極めて特殊な才能をお持ちの方だけです。
なので、作者の方が「悩んでいる」とあとがきなどで書いていたら、思うところを書いてみてください。
「こうすべき」とか「こうしなければいけない」とかではなく、感想としてどう思ったのかを。
赤紙を頂戴して、あともう一つ感じたのは、なろうの運営が異世界チートハーレム物を快く思ってはいないのではないかということです。
日本のレーティングはグロに寛容でエロにだけ厳しいとはいいますが、エロ表現の排除は結果的にハーレム物のパージに繋がると思います。
タダで読める暇つぶしを求めるライト層はノクターンなんかまで手を伸ばさないと思いますので、そうなるとなろうからエロ表現を排除することはハーレム物をなろうから追い出すことになるでしょう。
セックス描写はハーレムチート勇者物の華ですから、華が無いとなればその魅力は半減以上となります。
そしてここで作者側から出ている不満の一つである、「何処がいけないのかを運営が指摘しない」件ですが、これは第二次大戦後に日本を占領した米軍が採った検閲方法で、実はこれが最も効率がいいのです。
終戦までの大日本帝国において行われていた検閲は事前検閲といって、出版社や新聞社に発行前の原稿を提出させて逐一検閲を行って合格した原稿にだけ発行許可を与えるというものでした。
そしてこれは当然、違反箇所を添削してあるというものです。
だから発行者は検閲結果を見てギリギリの線を攻めることができたわけです。
一方、占領中の米軍が採った検閲方法はマッカーサー個人の方針かどうかは知りませんが、すべて事後検閲です。
つまり出版、発行後に検閲を行い、占領軍最高司令部(GHQ)の定めた検閲コードに違反していればその印刷物は発行停止です。
しかも、何処がどの様にいけないかなどは一切通知しません。
ただ「◎月▽日発行の朝刊は占領軍検閲コードに違反している。よって発行停止」とだけ通達します。
これを何度も食らった、築地に本社のある全国紙の大新聞社はついに占領軍に膝を屈したそうです。
戦時中は「腰抜け東条勝てる戦をなぜやらぬ」とか言って主戦論を煽ったり、終戦後は占領した米軍兵士による犯罪を書き立てて反米感情を煽ろうとした新聞社が、です。
事程左様に事後検閲は効果的なのです。
なんてったって、検閲結果は非公開となれば、発行者側は疑心暗鬼に陥り、自主規制に走りますから。
なので、検閲作業に会社のリソースを割いていられないなろう運営が検閲コード非公開で事後検閲を行うのは極めて理に適っています。
そう考えると、なろうの運営側は、「なろう系」という記号が書籍化作品に付与されている現状に危機感を抱いているのではないかと。
なんせ、このままでは「なろう」はなろう系と一蓮托生ですからね。
エロへの規制にはそういった意図もあるのではないでしょうか。
抑々(そもそも)R15とかいうレーティング自体が他のメディアにおいても機能しているとは思えませんし。