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!!!!  作者: 七瀬
第三章 不可視
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不可視




目を覚ますと、左手が暖かかった。その方に目を向けると、俺の奥さんによく似た女が、左手を握り締めて俯いている。


ああ、ここは天国か。天国に来れる程いい行いをしてきたつもりはなかったけど、俺程度の人間でもここには来れるのか。


天使って、白いパーカーを着るのか。それで、一番好きな女の姿をしているのか。案外俺も幸せじゃないか。まあ、俺の女は小悪魔だけど、外見だけなら天使も当てはまるよな。


じゃあここでいっちょ押し倒してエッチでもしてみようか、と視線を上に向けると、妙に綺麗な天井が視界に広がった。


天国って、室内もあるのか。てっきりずっと野外かと思ってたけど、快適だな。そうだよな、冬でこんなに暖かい訳ないもんな。


とりあえず起き上がろう。人工呼吸器的な物を外して上体を起こす。


「いって!」


腹から激痛。嘘だろ。天国なのに痛み取れてねーじゃん!こんなの天国じゃねーよ!むしろ地獄!カミサマは何やってんだ!


女が慌てて立ち上がったのか、椅子が派手な音を立てた。


「っ、俊喜っ、」


「ちょっと待って、何?天国?地獄?」


「現実ですっ」


「は?」


女の顔を見ると、それがみるみるうちに歪んでいく。真知が、また泣いた。俺に抱き付く真知の涙が首筋を流れていく。


「一回、心臓、止まって、怖かった」


「え、俺生きてんの?」


「生きてるっ、怖かった」


いなくなっちゃうかと思った、と真知が言う。背中を撫でてやると、真知の力が強まった。痛いです。傷口開きますけど。


でも生きてるっていい気分だ。


「もう二度と、忘れろなんて言わないでっ」


「うん」


「本当に怖かったんです、から、」


「うん、ごめんな」


だからもう泣くな、と言うと、真知が離れた。目を擦る真知の手を取って、笑う。


「だから、泣くと不細工だって言ってんだろ」


「すいませ、」


真知の後頭部に手を回して引き寄せて、そのまま唇を寄せる。すっかり中毒になった俺は、制御が出来ないらしい。


唇まで2センチまで迫った所で、ドアが開く音がした。真知が慌てて俺から離れる。そのドアから現れたのは、妙に背が高いおっさん。白衣を着てる悪魔、元解剖医で今はモグリの矢崎組専属の医者、羽塚。





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