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結婚なんて駄目だと言う真知をいつもの如く無理矢理納得させて、俺達は結婚する事にした。
真知と二人でお袋の所に戻ると、俺はお袋にこっぴどく怒られた。
お袋が何かを俺に怒鳴りつけてきた。
話が長いから殆ど聞いていなかったけど。
結婚すると言ったら、皆驚いていたけど祝福してくれた。
俺の仕事が終わってから、真知と二人で区役所に婚姻届を貰いに行った。
婚約指輪も結婚指輪もまだない、本当に形だけの結婚。
真知は、月岡真知から緒方真知になる。
それは真知が俺の物になったという事と同じだけど、俺は一応一人息子だから仕方ない。
その夜、お袋に真知の事を話した。
結婚すると聞いた時点で退学の時の女の子が真知だったんじゃないかと思ってたと言われて、つくづく女の勘ってのは怖いと思った。
お袋は娘が出来ると喜んでいた。
俺達はやっと始まった。
でもやっぱり俺は馬鹿だった。
吐き気がするような血の匂いというのを俺は初めて実感した。
どろどろと道路を濡らすように流れる血は、泣き叫ぶ声を連れてくる。
嫌だ、どうして血が止まらないの、って声が俺の耳元で聞こえていた。
俺の頭に過る、タワシと洗濯板。
願望が口をついで出る。
お袋にぶん殴られた記憶さえも巡っている頭の中に浮かんだ言葉は本当に一つだけだった。
俺がその言葉を口にした時、本当に最初で最後になってしまうと思った。
今言わないと、二度と言えなくなるなんて馬鹿みたいな事を本気で思った。
誓約書




