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遠藤氏の冷酷の心霊現象体験談  作者: 南かずしげ
3/4

③.最期の恐怖【後編】


  遂に遠藤氏が登場する。


 その遠藤氏が森の中のある場所に来ていた。


 そこには、()()男性(サカキ)の身体がバラバラにされて死亡している現場であり、この辺り一面には、彼の大量の血液で土や草や石などが赤く染みている。


 さらに彼の持ち物であるカバンやライトや漆黒の拳銃や白銀の弾丸などを拾い上げて、遠藤氏が拳銃に弾を込めて発砲できるようにした。


『ふふふ、おつとめご苦労様でした。 トドメをさすのは・・・やはりこの私・・・なのか?』


 そこで遠藤氏が踵を返しサカキのそのバラバラ死体をあとにして、そのままさらに森の奥の方へと姿を()していった。






 一方の老婆(ダッギ)がモノ凄い速度(スピード)で走っていて、あの三人の女性が宿泊・就寝している山小屋の方に向かっていた。


「ヒーヒヒヒー、これで邪魔者は消えたぁ~。 思う存分に楽しめるわけだよねぇ~~」


 ダッギがニヤリと笑う。


 今はまだ深夜、森の中は木がうっそうと茂っており、この辺りはまったく何も見えないほどに暗い。

 なのに…このダッギには、まるで山道が見えているかのような感じで、道に迷わずにひたすら山小屋を目指していた。


「ヒーヒヒヒー、もうすぐだよねぇ~~ あともう少しだよねぇ~~」


 なんと…信じられないほどの速度(スピード)で、あの暗闇の中…あっという間に、その例の山小屋に到着していた。


「ヒーヒヒヒー……」


 ダッギがニヤリと笑う。


 早速だが、ダッギが山小屋の扉の目の前に立ち、ドアノブに手をかける。


「……?」


 だがしかし、そこでダッギの動きが止まってしまった。


 いや、動けない…?


「まさか…この私が背後を()られるとはねぇ~。 貴様もあの男の仲間なのかい…?」


 ダッギが扉の方に向かって、なにやら独り言を言ってるように見えるのだが、実際にはダッギのすぐ背後に、()()遠藤氏が既に立っていた。


『・・・』


 余裕を見せるダッギだが、その内心では―――


 バ、バカなぁ……っ!?

 この私が猛スピードで、やっと…この山小屋に着いたのに、コイツ…一体何処から現れたんじゃぁっ!?


 強烈に驚愕している。


 このダッギが遠藤氏の突然の登場に、内心はかなり動揺しており、そのためか山小屋の扉をまだ()けられていない。


『キサマか? サカキを()った悪魔とは・・・?』


 その遠藤氏がダッギの後ろをピッタリとマークして、十分に警戒しており、今度はダッギがまさに背後を()られた形となった。


「むむっ!? ぐぐぅっ!! …コ…コイツはぁ……っ!?」


 ダッギがそっと首だけ後ろを振り向いて、遠藤氏の方を見てみると、遠藤氏の左側には、3m以上の身長に長い黒髪に深紅のワンピースを着て包丁を持った全身血塗れの長身の女性と、遠藤氏の右側には、身長がかなり低く長い黒髪に白い着物を着て肌が異常に白い外見が10歳ぐらいの美少女が、遠藤氏と並んで立っていた。


 遠藤氏の左右に並んで立っている、この二人が…明らかに普通の人間の雰囲気ではなく、それが幽霊…あるいはもののけの類いであることは、老婆(ダッギ)でもよくわかるのだ。


「…き、貴様は…一体何者なんじゃぁっ!?」

『ふっ、私はただの人間だよ。 さっきキサマが殺したあの男と同じ人間だよ。』

「…な、なんじゃとっ!?」

『この私が彼の無念を晴らし、彼の仇を私が討つ。』

「バカか! 貴様もあの男のように返り討ちにしてやるわ!」


 するとそこで、ダッギが遠藤氏に背中を向けたまま、左手の鋭い刃を遠藤氏の方に投げつけた。


「くらえ!!」


 バァギィッ!


 なんと…遠藤氏の目の前で左手の鋭い刃が粉々に砕け散った。


「……えっ!?」


 ダッギが目を丸くして、凄く動揺している(すき)に、遠藤氏が漆黒の拳銃の銃口をダッギの方に向けて構えた。


『行くぞ! 悪魔ッ!』


 ズドォン!


「グガアァッ!?」


 漆黒の拳銃から発射された白銀の弾丸が、ダッギの左脇腹に命中して撃ち抜いた。


『そらまだまだ、行くぞ!』


 さすがは警察官である。

 間髪入れずに手慣れた手つきで、また漆黒の拳銃の銃口をダッギの方に向けて構えた。


 ズドォン!


「グガアァッ!?」


 漆黒の拳銃から発射された白銀の弾丸が、ダッギの左太股に命中して撃ち抜いた。


 ドサッ!


 ダッギが遠藤氏に背中を向けたまま、両膝を地面につけた。


「クソッ! まだじゃぁっ!」


 さらにダッギの力が減少していく。


「…ぬぬぅ…」


 そこでダッギが再び右手を鋭い刃に変化させて、そのままの状態で遠藤氏の方に投げつけた。


 だがしかし―――


「……っ!?」


 そこに……遠藤氏の姿()()……()()()()()……?


 ジュザァン!


 ダッギの右手の鋭い刃が目標を失い、(むな)しく宙を切って、近くにあった木に突き刺さってしまった。


 ……えぇ!?

 そんなバカなっ!?

 何故いない……っ!?

 き、消えた……っ!?

 そ、そんなはずがぁ…っ!?


「ち、ちくしょう! あの男は一体何処にイッたんじゃ!?」


 ダッギが激しく動揺しており、そこら辺で遠藤氏の行方を探し回っている。


 だがしかし、いくら探しても見つからない。 また何処かに隠れているのか?

 先程のサカキは姿が見えていたので、探しだせたのだが…今度の遠藤氏は完璧に姿が消えてしまっている。 これでは探しようが…ない。


「クソッ! 仕方がない……一旦、右手を戻すか……」


 そこでダッギが木に突き刺さった右手の鋭い刃を回収しようとするが、なんと…いつの間にか…右手の鋭い刃までも消えてしまっていた。


「な、なんじゃとっ!? ……右手が……この私の右手が無くなっているぅぅーーっ!?」


 ……バカな……そんなバカなぁ!? 本当に何処にいったんじゃぁっ!?


 今度は自分の右手の鋭い刃を探し回るハメになった。

 この時点で、老婆(ダッギ)は両手を失うことになる。






 一方の遠藤氏はなんと…いつの間にか…山小屋の中にいて、現在(いま)は三人の女性が就寝している部屋の中で、火を起こす装置の中に先程拾ったダッギの砕けた左手の鋭い刃を入れていた。


 次に溶けた左手の鋭い刃の液体を弾丸を造る型の中に入れてから、氷の入った装置の中に入れていき、急激に冷やして固めていく。


 こうして、ダッギの左手の鋭い刃で造った先端が極端に尖った弾丸を完成させて、それを漆黒の拳銃に装填して発砲できるようにした。


『これで完成だ・・・これでトドメがさせるな。』


 そのまま遠藤氏が外が見える窓の方まで移動していて、外で遠藤氏のことを探し回っているダッギの方に向けて、漆黒の拳銃を構えた。


『キサマの刃がどの程度凄いのかを見せてもらおうか!』


 ズドォン! ズドォン!


 今度は二発同時に先端の尖った弾丸を発射させて、ダッギの首の部分を狙う。


「グガアァッ!?」


 なんと…一発目がダッギの首の部分に命中して撃ち抜いた。


 もう一発は森の闇の中に消えていくが、なんと突然……消えていた筈のダッギの右手の鋭い刃が、ダッギの首の部分めがけて回転しながら飛んできた。


「……えっ!?」


 ジュザァン!


 なんと…ダッギの右手の鋭い刃が、ダッギの首の部分に命中して切断した。


「……な……ん……で……」


 ドサッ!


 あまりの突然の一瞬の出来事に、なんと…ダッギが目を丸くしながら呆気(あっけ)にとられていて、うつ伏せの状態で地面に倒れた。

 だけど残念ながら、血液は出ていない。


 そのダッギの頭部が胴体から離れた状態で地面にコロコロ転がっている。


 あれほど…無敵・不死身を誇っていたダッギが…あっさりとやられてしまった…?


『ふふふ、見事に成功したな。 これでサカキの仇が討てたかな・・・?』


 実際には、遠藤氏がダッギの両手の鋭い刃を既に回収しており、砕けた左手の鋭い刃には、漆黒の拳銃の白銀の弾丸へ、右手の鋭い刃には、ダッギの背後の森の闇の中に罠を仕掛けて「合図」を送ると発動する。

 勿論だが、【ユキコ】と【ユリカ】にも協力してもらっていた。


『遂に悪魔の動きを停止することに成功した。 あとは白銀の弾丸の効果でまもなく消えていくはずだ。』


 その遠藤氏の言う通り、急激に力を弱めたダッギが抵抗力を失い、ダッギの頭や身体がどんどんと灰になって消えていく。


 一方の三人の女性は、近くでこんな大事(おおごと)になっているのに、未だにぐっすり眠っている。

 その三人の女性の寝顔を見ながら、遠藤氏が―――


『これでサカキの仇も討てたし、なんとか悪魔を倒すこともできたな。』

「・・・そうなの?」

「ええ、()()えずは・・・一安心ですね。」


 そして、遠藤氏が【ユキコ】と【ユリカ】を伴って、また何処かへ姿を()していった。






 老婆(ダッギ)は眉間*・左胸*・右脇腹*・右太股*・左脇腹+・左太股+・首+に、それぞれ白銀の弾丸を撃ち抜かれており、左手の鋭い刃も失っている。 それを[サカキ*]と[遠藤氏+]がそれぞれやっている。

 その遠藤氏が男性(サカキ)の遺体を回収して、鑑識・検死・解剖などを(おこな)い、死因を確認・特定させた上でしっかりと弔っている。

(※サカキに身内はいない)





 翌朝、山小屋の中の部屋


 三人の女性が赤い寝袋から起床すると、いつの間にか…三人共に全裸になっていて、A子さんの上下お揃いの水色の下着、B子さんの上下お揃いのピンク色の下着、C子さんの上下お揃いの黄緑色の下着が、それぞれ無くなっていた。


「あら~ 私の下着が無くなってるぅ~」

「あらら、私の下着も無くなってるよぉ~」

「…ない? 私の下着もないの…?」


 急いで三人が自分たちの下着を探したが、結局は見つからずに、仕方なく…下着のないまま、服を着て帰り支度をしてから、部屋を出て山小屋をあとにした。


「ねえ、もう帰ろ~」

「ええ、そうねぇ~」

「さようなら~」


 その後で何故か、三人の女性が行方不明になってしまった。



 そして、原因不明なのだが、その数日後に何故か山小屋が火事になり、焼失してしまった。



『・・・悪魔が頻繁にこの世界に来ているようだな・・・』


 遠い未来、2020年7月頃にやって来る予定の『悪魔の王』と何か関係があるのか…?



 細長く黒い化物である『高坊主』が、今も満月を見上げていた。



 【現在の状況】


1.サカキ(男性)……死亡

① (見事に目的を果たし、散って逝った)


2.ダッギ(老婆)……消滅

② (遂に打倒した!)


3.遠藤氏(主力)……無事

③ (自分の仕事を遂行して、また姿を()した)


4.女性達(三人)……不明

④ (その後なんと、三人共に行方不明に…?)




 今回の恐怖物語は、これで完結・終了しました。

 これまで読んでいただいて、ありがとうございました。


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