①.最期の恐怖【前編】
黒いトンガリ帽子と黒いマントと黒いローブの三点セットを身につけた…かなりお歳を召した…この老婆…。
そんな変な格好をして、魔女なのか、それとも死神なのか、正直…よく解らない。
この老婆が、とある地方の山奥の山小屋に住んでいて、普通の人間の老婆とは、若干違うような感じの老婆であることは、まず間違いない。
…そもそも人間なのか?
そんなある日の夜のこと、
この老婆が、山奥にある暗い山道を歩いていると、丁度…木と木の間の道の真ん中に、"細長く黒い…ひとつ眼" の『高坊主』がよく出現している。
※『高坊主』とは、山道や夜道などの道の真ん中に突っ立っていて、凄く細長くて(約3m~5m位?)黒い、眼がひとつだけの化物(妖怪)で、人が道を通ろうとすると、よく「トオセンボ」してきて睨み付けてくる。
だがしかし、それ以上の事は、特に何もしてこない。
(※この物語での設定なので、本来と若干違うかもしれない)
「なんじゃ…お前さんは…全く邪魔じゃのおー!」
「―――」
「なんじゃとっ!? 邪魔なのは…お前の方だ…じゃとっ!? この黒助がぁっ!!」
「―――」
「ムッキィーッ!! この黒助がぁーーっ!!」
「―――А」
「ふん、ただ突っ立って睨むだけの能無しが、よくもエライ口が聞けるモノじゃなぁ!!」
「ВАК―」
「うるさい!! 黙れっ!!」
怒ったその老婆が、怒りで顔を赤くしながら、高坊主の横をそのまま通過して、その先の道を歩いていった。
そんなある日の夜のこと、
とある地方の山奥まで、ハイキングをしにやって来ていた、この三人の女性。
最初は順調だったのに、どこかで間違えたのか…道に迷ってしまい、どんどんと山奥の方に入ってしまい、ハイキングコースから完全に外れてしまった。
「ねえ、もしかして…道を間違えた…?」
「ねえ、なんだか…どんどんと山奥の方に入ってない…?」
「ねえ、ヤバくない? もしかして…遭難した…?」
などと言いながら、その暗い山道をどんどん歩く、この三人の女性。
それを―――その様子を高い木の上から見ている…あの不気味な謎の老婆。
「ヒヒヒ、おやおや、久しぶりのお客様のようだねぇ~♪ これはしっかりと、もてなさないとねぇ~♪ ヒヒヒ」
すると…その老婆の姿が、忽然と消えてしまった。
この三人の女性が迷いに迷ったあげく、とある山小屋を発見した。 辺りもかなり暗くなって、もうすっかり夜遅くまでなっていた。
この三人の女性が持つライトの明かりに照らされる山小屋。
「あっ、あんな所に山小屋を発見したわよ!」
「ラッキー、助かったわ! こんな所で野宿なんて、シャレにならないわよ!」
「とりあえず、あそこで一泊して、明日…下山しましょう!」
この三人の女性が、今夜はとりあえず、あの山小屋で一夜を過ごすことにした。
早速だが、その山小屋の中に入ると、部屋の中は意外にも綺麗にされており、キッチン・トイレ・シャワー・洗面所(脱衣所)・テーブル・イス・赤い寝袋や白い布団などがあり、何故か電気・ガス・水道も通っていて、さらには、暖炉や薪もしっかりあって、少し広めの1LDKといった感じの所である。
それにしても、これほど色んな物があって、しかも部屋の中がかなり綺麗にされているのに、誰もいないのは……?
「へぇ~ 山奥にある山小屋にしては、なかなか過ごしやすそうよねぇ~。」
「ええ、これなら…一晩は越せそうよねぇ~。」
「ホント、一時はどうなるコトかと思ったけど、これなら一安心よねぇ~。」
だけど、イマドキの若者には、そんなことは気にしないし、あまり考えない。 なので怪しまないで好きに使ってしまう。
そんな三人の女性を、仮に…A子さん、B子さん、C子さん…とするよ。
その三人は今日一日で散々歩き回ったので、相当に疲れ果ててしまい、まずはシャワーを浴びて汗を流したいのである。
でもシャワー室は狭いので、一人ずつしか入れない。 そこで話し合いの結果、A子さんから先に入ることになった。
「じゃあ、先に入るね~♪」
「ええ」「了解」
まずA子さんが狭い脱衣所に入り、服や上下お揃いの水色の下着を脱いで全裸になり、そのまま狭いシャワー室に入った。
「はぁ~ 気持ちいいわ~♪ こりゃー、生き返るわ~♪」
A子さんが気持ち良さそうにシャワーを浴びていて、そこでさっぱりしたA子さんが全裸の身体を拭いて、シャワー室や脱衣所から出てくると、水色の下着姿に肩には白いタオルをかけて、二人が居る部屋に戻ってきた。
「お先に~~♪」
「……あっ、来たよ」
「次は私の番ね」
次にB子さんが狭い脱衣所に入り、服や上下お揃いのピンク色の下着を脱いで全裸になり、そのまま狭いシャワー室に入った。
「ふふ~ん、ふんふんふ~ん、ふふ~んふんふ~ん♪」
B子さんが気持ち良さそうにシャワーを浴びていて、そこでさっぱりしたB子さんが全裸の身体を拭いて、シャワー室や脱衣所から出てくると、ピンク色の下着姿に肩には白いタオルをかけて、二人が居る部屋に戻ってきた。
「お先に~~♪」
「……出てきたよ」
「じゃあ、私の番ね」
今度はC子さんが狭い脱衣所に入り、服や上下お揃いの黄緑色の下着を脱いで全裸になり、そのまま狭いシャワー室に入った。
「…まさか、こんな山奥でシャワーを浴びれるなんて、思ってもみなかったわ~♪」
C子さんが気持ち良さそうにシャワーを浴びていて、そこでさっぱりしたC子さんが全裸の身体を拭いて、シャワー室や脱衣所から出てくると、黄緑色の下着姿に肩には白いタオルをかけて、二人が居る部屋に戻ってきた。
こんな山奥を下着姿で過ごしている、この三人の女性が…。
「ねえ、お腹すかない?」
「ええ、そうね」
「あっ、確か…食料、持ってきたよね…?」
そこで下着姿の三人の女性が、キッチンで持参した簡単に作れるインスタントのカレーライスやラーメンを作って、部屋のテーブルの上に置いてイスに座って、黙々と食べている。
「ふ~う、持ってきて良かったよ~。」
「う~ん、美味しいわね。」
「インスタントにしては、なかなかの味よね。」
そして、夜食を食べ終わると―――
「もうそろそろ寝ない?」
「ええ、そうね。 明日も早いしね…。」
「もう疲れたしね…。」
そこで三人の女性が、凄く疲れているので、明日に備えて、山小屋にあった白い布団や赤い寝袋を3つほど拝借して、下着姿のままで、赤い寝袋に入って、床に敷いた白い布団の上で、そのまま眠りにつく。
「おやすみ~」
「……おやすみ」
「おやすみなさい」
こうして、始まったばかりの深夜は更けていった…。
そんなある日の夜のこと、
とある地方の山奥の暗い山道を歩いている一人の成人男性。
「くそ、ここは何処だ…?」
どうやら道に迷ってしまったらしく、未だに目的地に辿り着いていない…。
「ちっ、道に迷ったか…?」
その一人の男性が持っていたライトで、暗い山道やその周囲を照らしながら歩いている。
「まったく、この俺が…何故、こんなことを…っ!?」
この一人の男性が独り言・愚痴を言いながら、先程からの暗い山道をまっすぐ歩いている。 勿論だが、その道があっているのか、どうかも、よく解らないけど、とにかく先を急ぐ。
今夜は月が出ていない。
そこに、その男性の目の前に、またしても…あの高坊主が出現していて、突っ立ったまま…男性のことを睨み付けている。
だがしかし、その男性の方は…高坊主が見えていない。
「………」
なので、その男性が高坊主の横をそのまま何事もなく通過して、その先の道を歩いていく。
「…この道で…あってるはずなんだが……?」
その一人の男性が、どんどんと暗い山道を歩いていくと、またまた…あの高坊主が出現していて、突っ立ったまま…男性のことを睨み付けている……のだが、この男性は全く気がついていない。
「………」
その後も所々の道で高坊主が出現しては、この男性がまるで…それを無視…? して、その先の道を急ぐように歩いていく。
「…だ…大丈夫、あってるはずなんだ…。」
そんなこんなで、ようやく―――
そして、遂に彼が目的地に到着した。
「ふふふ、やっぱり…あってたな…。 これで一安心だな…。ふふふ」
そこで、その男性の懐にあるポケットの中から、一枚の写真を取り出した。
「…ここで…間違いない…みたいだな…。」
その写真には、周囲がうっそうとした森林に囲まれた、一軒の山小屋が写っていて、そこで男性が目の前にある一軒の山小屋と見比べている。
その写真に写る内容とは、
『とある山奥の森林に囲まれた、一軒の山小屋があり、山小屋自体が全体的に赤いオーラがかかっていて、山小屋の屋根の上に、黒い人影が宙に浮いている。 こんな心霊写真……?』
―――なのである。
そして、その心霊写真に写る山小屋も、その一人の男性の目の前にある山小屋も、ハイキングの途中で道に迷った三人の女性が、今現在も宿泊・就寝している山小屋……まさにそこであった。
心霊写真に赤みの帯びたオーラなどが写ると、撮影者・被写体などが非常に危険な状態であり、もうじき大変な事が起こる前兆だとも言われている。
(※例えば、火事や血液に関係する事など)
この写真がいつ、誰が、何処で、何の目的で撮影されたモノなのか、全く判然としないけど、その後で偶然だが、この男性が入手した。
さらには、山小屋の屋根の上に宙に浮いている黒い人影が、あの老婆に、心なしか…どこか似ている……?
「よーし、この中に入って…確かめてみるか…。」
その一人の男性が、心霊現象を確認する為に、その山小屋の中に入ってみることにした。
(※ちなみに勿論だが、この中に三人の女性が居ることなど、この男性は知らない?)
※不定期投稿更新なので、次回の予定は未定です。
ご了承ください。