プロローグ
思い付きと勢いで初めて見ました。
宇宙。
いつの時代も人々を魅了してやまない、無限に広がる大海。
あるものは見上げ、またある者はコロニーやステーションから、種族も住む場所も異なる様々な人達の思いをすべて飲み込む広大な宝石箱。
「うわぁ! すっげー!」
母親に手を引かれた少年がはしゃいだように叫ぶ。
「これみんな宇宙船なんだよね!?」
「そうよ、ここは宇宙港だからねぇ」
少年の眼前にはところ狭しと並ぶ、大きさも形も様々な宇宙船の数々。
この星系の中心惑星の宇宙港らしく停泊中の艦船だけでも相当の数で、それがひっきりなしに発着を繰り返すさまは少年の好奇心をくすぐるには十分すぎるほどであった。
「これから手続きしてくるからね。あんまり遠くへ行っちゃだめよ。」
「はーい!」
母親への返事もそこそこに少年は食い入るように艦船を見ながら歩いていく。
「いろんな形があるなぁ。あっ!あれには大砲がついてる! かっこいいなぁ!」
母の言葉などもう頭の中からはすっかり消え失せ、目の前に広がる光景に少年はもう夢中だ。
「あの船、 なんだろう。」
少年の目は一隻の船にくぎ付けになった。
その船は特別大きいわけでもない銀灰色の数世代前の型落ちの船だ。
しかしなぜか少年はその船から目が離せなくなった。
「古くて、あちこち煤けててボロボロの船がなんで泊ってるんだろう。」
「ほぉ、坊主。 あの船が気になるのかい?」
「えっ!?」
急に声をかけられた少年が振り返ると近くのベンチに一人の老人が座っていた。
「おじいさん、あの船のこと知ってるの?」
「あぁ、よぉく知ってるともさ。 あの船は特別な船だからな。」
そういうと少年を手招きし隣に座らせる。
その老人からはわずかにオイルと船の電子機器の発するオゾンのにおいがした。
それは少年にとって初めてのにおいだがどこか懐かしいような、そんなにおい。
「特別って?」
「あの船は休んでいるのさ。 ボロボロになっても乗組員を守って戦った。もうここから宇宙に漕ぎ出すことはねぇ。」
「あの船戦ってたの!?」
しみじみと老人が話す言葉に少年は目を輝かせた。
「そうともさ。あの船にゃあとてつもない伝説がある。 坊主、お前さんはアーサーを知ってるかい?」
「もちろんだよ! アーサーは50年前にこの国を作って初代の王様になった英雄じゃないか!!」
目をキラキラと輝かせた少年に老人は目を細めつつ語る。
「そうかい、英雄かねぇ。 じゃあ坊主にちょっとした昔話をしてやろう。」
懐かしそうに老人の見つめる先にあるあの船
「この国のできる前の話だ。 この宇宙にはとっても不思議なことがあるもんでなぁ、 」
人と船が激しく行き交う宇宙港の片隅の小さなベンチ、そこで一人の老人が語る宇宙の片隅で起きた小さくて大きな物話。
その物語のタイトルは
転生宇宙アーサー王物語
映画のタイトル前みたいなイメージです。