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未完  作者: 未定
1/1

未定

 香りは記憶を鮮明に呼び覚ます。忘れていたあの懐かしい夏の記憶が一気に蘇ってきた。

私を囲んでの一家団欒の夕食。あれが最後の団欒になろうとは思ってもいなかった。無邪気なあの頃の私は、両隣に座った祖父母に笑顔で話し掛ける。

「今日はみんないて、楽しいね」

祖父母とその奥に座る両親がこちらに笑顔を向ける。私と対面に座ったまだ幼い弟は、口の端からケーキを覗かせていた。

誕生日でもないのに、豪勢な食べ物とケーキ、それにいつもは忙しくて一日のうち数分程度しか顔を合わせない父が同じ食卓に座っているのが、ただ嬉しくてたまらなかった。

今思えば、私と弟以外は全て知っていたのだろう。ジャスミンの香りが食卓を覆う頃には、優しい家族の笑顔は張り付いたものへと変わっていた。


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