表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

第五話 実日子を待ち受けていたもの

 ここ数日の間、テレビで、父親の事件が明るみに出た。実日子は少しだけぞっとして、ベッドに向かった。すると、潤子から連絡がきた。

「ミカ、大変だよ。友達から聞いたけど、あの新聞社の事件、ミカのパパが起こしたって?」

「そ、そんなことどうして?」

「どうしてもこうしてもないわよ。ネットでもう、いろんな情報が特定されてるわよ。ねえ、あれ、本当にミカのお父さんが起こしたの……?」

「……うん、そうだよ」

「……そっか。ねえ、明日からさ、私、別のグループの坂口さんたちにお昼ごはん食べようって、誘われてるんだ」

「もしかして……私抜きで?」

「ごめんね、ミカ……」

 潤子はそこで電話を切った。

 実日子は絶望にうしひちがれ、そのまま眠りについた。


 翌朝学校に行くと、机に、「父さんが倒産だ」「犯罪者の娘、もう来るな」「もう一回留年しろ」と落書きされていた。あたりを見渡すと、実日子を独りにして、周りの生徒がにやにや笑みを浮かべている。潤子の姿を見たが、悲しそうな表情をして、すぐに潤子は視線を逸らした。実日子は、浮かんできた涙を、必死でひっこめようとした。


 それでも、帰りになると、潤子がSNSで、

「ミカ、中庭で待ってるね」

 とメッセージを送ってきて、放課後そこに行くと、

「ミカ、一緒に帰ろ」

 と、言って、潤子は実日子へのいじめの首謀者の悪口を言いまくった。実日子はそれがすごく嬉しかった。


 実日子へのいじめはひどくなっていった。理科で使うBTB溶液で椅子が濡らされていたり、女子生徒に消毒スプレーをかけられ、笑われたり。実日子へのいじめをやっていたのは、基本的に坂口というリーダー格の女子グループだった。だが彼女らのいじめは狡猾で、犯罪に行くか行かないかギリギリのラインでいじめをとどめていた。


 秋ごろになると、実日子はもう、転校することを希望した。潤子にまでいじめの手がくることを恐れたのである。そういうわけで、ある日、潤子と帰る時、心の中で転校することをどう母親に話すか考えていた。


 ところが、家に帰ると母親はいない。七時ごろまで待ったが、帰ってこず、一本の電話が入った。


「W警察署の者です。古畑さんのお宅で間違いないですね」

「……はい」

「あなた、娘さんですか?」

「……そうです」

「直ちにR病院に来てください。お母さんが事故に遭いました」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ