第五夜・『ブレイド』(映画)
ブレイド。大好きな映画の一つである。やっぱり最高なのは、無冠の『BLADE』!
のっけから血のシャワー。出だしから激しいバトル。しかもアメリカ映画なのに、主人公のブレイドは日本風の剣を装備している。
普段わたしの好きなのは、いわゆる『泣ける映画』。でもこの映画はその対極にある。ウリはとにかく『カッコいい』!この映画からカッコよさを取ったら何も残らないんじゃないかってくらいにカッコいい。
ブレイドを演じるウェズリー・スナイプスが、もう最高。『吸血鬼を狩るヴァンパイア・ハンターであるにも関わらず、吸血鬼の血が混じっている』という下地も好き。人間にもなりきれず、吸血鬼とも相容れない異端の存在。彼は母親を殺した吸血鬼、フロストを倒すべく日々吸血鬼を狩っていた……という設定。
敵役のフロスト(スティーブン・ドーフ)も良い味を出している。ただこのフロスト、顔は完璧な優男なのに胸毛が生えている。自分的にはそこがちょっと気になるが。
吸血鬼映画だけあって結構グロかったりするけど、一番えげつないのは初手の『血のシャワー』のシーン。血がぶっしゃぶしゃ飛沫いてなかなかにショッキングな映像である。でもそこ乗り越えると後はさほどでもないので(相対的に見て、だけど)そういうジャンルに耐性のある方は、ご覧になって損はないと思う。
でも元がアメコミだけあって、結構突っこみどころが多い。無冠ブレイドで一番「おぃい!」ってなったのは、敵役のフロストが日焼け止めつけて日中出歩いてたとこ。「乙女の紫外線対策か! それで日光浴びてもOKなんかい!」って思って吹き出してしまった。
以前は『BLADE』だけが珠玉で、後の『BLADE2』『BLADE TRINITY』は大したことないと思っていた。けれど、近所のTUTAYAでシリーズを見つけて、「せっかくだし……」と再見してみたら、2は結構面白かった。完結作の『TRINITY』はかなり「あれれ……」な感じの出来だったが、「まぁカッコよければいいじゃん」という結論に落ち着いた。
2はもう敵がバージョンアップしちゃって、ほとんど『エイリアンVSプレデター』みたいな気色の悪い造りになってしまっている。吸血鬼映画というより『やたら機敏なゾンビ映画』である。でもこの敵の親玉は、ブレイドのような複雑な出自を持っている。その設定一つで、なかなかの味わいが生まれた、とわたしは思う。
『TRINITY』は……2でせっかく復活(?)したブレイドのお師匠さん、ウィスラーが序盤で死んじゃうし(しかも『なんでここで死ぬ?』みたいな死に方)、人前で人間殺したことでブレイド窮地に追いこまれてたのに、その後白昼堂々人殺してるし、説明ゼリフやたら多いし……でやっぱりちょっと残念な作りだった。
でも一か所すごく笑えたシーンがあった。ブレイドが警察にとっ捕まって、もうろうとしながら赤シャツ姿で尋問を受けていた後のシーン。外部から助けが入って、ブレイド正気に戻った……と思ったら、次にドアぶち破って出てきたシーンでは、いつもの戦闘着スタイルになっている。「おい着替えてる場合かーいっ!」ってつい笑いながら突っこんでしまった。
もちろん泣ける映画も好きだけど、観る前に『観疲れる覚悟』がいるので、最近は二の足を踏んでしまう。気楽にかまえてだらっと観ながら、「すげえウェズリーかっけぇ!」って思える『BLADE』が、最近のリバイバルヒットなのである。
(了)