Episode78 追懐の二人
◆
平和な田舎町ソルテール。
丘から町の勾配を眺めると清々しい。
冒険者としてたくさん旅をしてきた私だけど、最後の最後にはこの町で暮らすことになって―――落ち着く所に落ち着いて良かったと思う。
なんといっても、この町は長閑だ。
気候もちょうどいい。夏は吹きあげる風でそれほど暑くないし、冬は日差しの良さでそれほど寒くならない。最高の立地条件。スローライフを過ごすには持ってこいの町だ。
その町の小高い丘に位置する、私とアルフィ――夫との家。
ここは以前までは冒険者パーティーのアジトとして使っていた土地だ。一度は倒壊したそのアジトだったが、バーウィッチの貴族たち、ストライドさんの支援で建て替えて、今の住宅が完成した。
まぁ建て替えたと言っても、アルフィの意向でほとんど元のアジトのままにしている。
だから部屋数も多いし、広々としている。
新築だけど使い慣れた家。
私も気に入っていた。
その庭先に突き出たテラス。
そこの揺り椅子で、私は我が子をお腹に抱っこして、のんびり丘から見える町並みを眺めていた。
心地良かったのか、その子も今はぐっすり眠ってしまっている。
私にも、夫にもよく似た女の子だ。
まだ5歳くらいの子で、すくすくと元気に成長している。この子の無邪気な笑い声を聞くたびに、親というのは子どものために何でもしたくなるのは当然の事なんだなーとしみじみ感じる。
長いこと家族がいなかった私にとって、初めて家族が出来たようで幸せだった。
…
私は所謂、孤児というやつだ。
物心ついた頃には魔法学校に通っていて、父親のことも母親のことも知らない。兄弟や姉妹がいるのかどうかも分からない。
身寄りのない私を育ててくれたのは、魔法学校の校長であるガウェイン・アルバーティ先生だった。
アルバーティ先生は少し前まで、西の魔法大学で教授という偉い職に就いていたらしいけど、私の里親になると同じ頃合いに退任し、そしてこっちの地方に唯一ある魔法学校――バーウィッチ魔法学校の校長をしていた。
私は"リンジー"と呼ばれていた。
アルバーティ先生や、周りの子たちからも。
孤児だから、貴族や正統な家系を継ぐ人のような名字という物を持っていない。
魔法学校に通い始めた頃、ガウェイン・アルバーティ先生の息子ドウェイン・アルバーティが私の面倒を見てくれていたのだけど、年齢がそもそも彼の方が1個下で、魔力や魔法操作の腕前も私の方が上だったから、すぐその立場は逆転した。
私の魔力は他の子たちと比べても規格外らしい。
魔術詠唱を覚えるのも得意だったし、詠唱時間の短縮もお手の物だった。私にとってその技の数々は"既に知っている"もののようにも感じていた。
アルバーティ先生が言うには「前世の行いが良かったのではないか?」とはぐらかされた。それを聞いて、先生は何か私の出生や家族を知っているんじゃないかと勘繰りした事さえある。
それはそうと、そういった魔術師として優秀な才能もあってか、オタク気質で虐められがちなドウェインをイジメっ子から守っていたのは何を隠そうこの私である。
後々にはそんな子たちと一緒に冒険者パーティーを組む事になり、さらにはイジメっ子の方とはこうして結婚する事になったのだから、なかなか運命というものは不思議なものだ。
魔法学校卒業のときに、冒険者になる事を先生に相談して特に反対されなかったのも不思議だった。
「その好奇心はもっと外に向けるべきだ。満喫してきなさい」と快く言われたときには、私の方が寂しくなったくらいだ。
そうして色んな土地を冒険した。
隣の大陸に渡って、迷宮都市で冒険者としてのランクを上げたり、前人未到のダンジョンを初踏破する記録も残した。
だけど今はそれも良い思い出。
今はこうして1人の母親として、我が子の成長を見守っていきたい。
この子には変に期待もかけないように、健康に平和に育ってくれればそれでいい。
―――変に期待をかけないように。
育てるという事に関しては、私たち夫婦は1度失敗してしまっている。
期待をかけすぎると、それはその子の限界を超えて思わぬ"事故"に繋がってしまうんだ。
ジャックのことだ。
彼は不思議な男の子だった。
当初、バーウィッチで見かけて連れてきてしまったのも、私と同じ身寄りのない孤児を見過ごせなかったからかもしれない。
彼は最後の最後まで頑張り屋さんだった。
水の都ダリ・アモールで起こった誘拐事件―――それを解決へと導いてくれたのもジャックだ。
それから行方不明になってしまったけど、ストライド家の総力と執念で隣の大陸で発見されたらしい。
今頃はもう15歳になっているから、私たちの印象よりもだいぶ成長してしまっているだろう。
でも、聞く話によると相変わらず元気に暴れているようだ。
ジャックにはジャックの冒険がある、というのはアルフィの受け売りだ。
そのうちどこかで会えることだろう。
戻ってきたら快く迎えてあげよう。
「んぅー……ママ……」
「なーに?」
寝惚けて私を呼ぶ娘―――リナリーの愛らしい声が耳に届く。
名前の由来はある花に因んで名づけた。背伸びをしない小さな花だが、丈夫で健康な花"姫金魚草"だ。そして何より、赤く燃える父親譲りの髪が、リナリアの花色に非常によく似ていた。
私はその真紅の毛を優しく撫でた。
◆
水の都ダリ・アモール。
もはや形容する必要ないほどに何度も来た港町だった。
俺たちは長い船旅の果てに、ようやくその街に辿り着いた。
約5年ぶり?
感想でいえば、狭いって感覚だろうか。
自分の成長をこんな形で感じる事になるなんて……。
例えば、船から降り立ったすぐの所にある防波堤。
石材を積み上げて波除けとしている。以前はもっと広く、そして背が高く感じたものだ。今はその傍らを歩いてみても腰くらいしか高さが無いから物足りなさがある。
そして港町の中央通りを歩き、両サイドに並んで続く街灯。
この街灯も姿形は変わらないのに、背が低くなったように感じる。
昔、ここでケアと2人で近衛隊に追われたのは懐かしい思い出だ。
俺も随分変わってしまったらしい。
アルフレッドとリンジーは久しぶりに俺を見て気づいてくれるだろうか。
…
街の中央の円形の大広場―――サン・アモレナ大広場に辿り着く。中心には噴水池があり、カーニバルの最中にはこの噴水の周辺をぐるりと囲むように特設ステージと出店が並ぶのだ。
ここで俺はあの歌声に魅了されたのも懐かしい思い出。
メドナさん……。
今でもここに立つとあの透き通った歌声が聞こえてくるような気がした。
―――あの黒の歌姫は、俺が殺したんだ。
争いは新たな争いしか生まないと、彼女は主張していた。戦いを求めること自体が悪だと言っていた。
だけど、そうやってしか生きれない人間もいる。
世界中の人が戦わないなんて理想論でしかない。現に大陸を渡ればまた理不尽に死んでいく冒険者だってたくさんいたんだ。だったら、まだ俺みたいな人間だって必要なはず……。
正面に位置する観光スポット「サン・アモレナ大聖堂」――やはりこれも小さく見えた。いや、実際に小さくなっている。大聖堂は右翼廊の部分が木端微塵に吹き飛んでいて、内部から爆発が起きたというのがよく分かる。
これも戦いの爪痕だった。
大聖堂は立ち入り禁止になっていて、周辺を立ち入り禁止の立札とロープで覆われていた。
俺はそのギリギリまで近づいて、ひっそりと黙祷した。
―――メドナさん、俺は暴力は振るいません。
人を守るためだけに戦っていきます。
誓いの黙祷だった。
「ジャック、なにしてるのよ?」
ふと後ろを振り返るとアイリーンが相変わらずの近い距離で仁王立ちしていた。
「アイリーン、いつのまに……」
「さっきから居たわ」
「こんな近い距離に?」
「なぁにぃ? 嫌なの?」
アイリーンは余計に俺へと距離を詰めてきて、ぐいっと顔を近づけてきた。鼻と鼻があたりそうなほどだ。
確かストライドの家系はその昔、闇討ちが得意だったとか。隠密行動スキルというのもあるし、実は背後から忍び寄るのもアイリーンもお手の物なのだろうか。しかもかなり近い距離まで詰められるまで恐怖心を感じる。
俺は思わず上半身が仰け反って、顔を遠ざけた。
シアと比べるとアイリーンはけっこう背が伸びてるな。
「まぁいいわ。それよりジャック、見せたいものがあるのっ!」
「見せたいもの?」
アイリーンは俺の返事を待たずして、俺の左腕を引っ張ってくる。
「なんだ、何処にいくんだよ?!」
「いいから、いいから!」
向かう先は大聖堂とは、噴水を挟んで反対の方面のようだ。
○
連れてこられたのは、とある石像の前だった。
俺が知ってる限りじゃ、今までこんな石像がなかったはずだ。だが、ここの住民たちは然も珍しくなさそうな感じでやり過ごしているから、出来てからけっこう経つらしい。石像の前にはシアとユースティンもいた。2人はまじまじと石像の彫刻とその台座に彫られた文字を見比べている。
精密に彫られた石像は、どこかの少年のもの。
高々と掲げた右腕の手首から、奇凱化した何かが突き出ている。非常に精巧だ。かなり腕のいい職人が作ったんだろう。高い金がかかっていそうである。
そして服装もタイトな革製の軽鎧を表現していて、戦士というよりかは暗殺者のような印象だ。
「こ、こいつはもしかして……」
「そう! ほら見てー!」
そうしてアイリーンが指差したのはその台座に彫られた文字だった。
"ジャック・ザ・ヒーロー(名も無き英雄)"と書いてある。
「まじかよ……」
これが俺。
姿形は確かに当時の俺の装備と一緒だ。
だがこれは余りにも―――。
「美形すぎる!! 創る時に補完しすぎだろっ!」
「この街にずっと残していくんだから当然じゃないっ!」
「でも、もうこれは別人レベルだっ!」
「そう? けっこう似てると思うわ」
「………」
眼の彫りの深さと鼻筋を特に改造しすぎだ。
顔は美形なくせに、頭から下は勇ましい戦士の姿格好をしているから、そのアンバランス感が滑稽に見えてしまう。
見えてしまうとかじゃない、まさに滑稽だ。
本人がいる前で作ったわけじゃないから仕方ないかもしれないが、とはいえ、この像はアンダイン様で云う"黒歴史"という奴に他ならないだろう!
この町に来る度、美形補正した自分の石像が嫌でも目に入るって事だ。
ありがた迷惑とはこの事だ。
まさか子どもたちを助けた功績がこれとは……恩を売ったつもりなんて更々ないけど、仇で返されたような気分だ。シアとユースティンも俺に気づいて後ろをちらりと振り返ってから、また石像を見上げる。
俺とも見比べているようだ。
「やっぱり、これがロストさん?」
「僕なら恥ずかしすぎて海に転移させて消し去るな」
こんな風に、この少年の活躍を知らない人物たちが観光でこの街に来るたびに、この滑稽な像は何だと笑うに違いない。
観光にいった先の街にある、何をしたか分からない人の像。
それが自分でも作られてしまった時の事を想像してほしい。
もはや晒し者。
笑いどころ満載な見世物だ。
「将来はきっと、ボルカニック・ボルガすら作りだしちゃうんでしょうね」
「アーバン・フラタニティも決勝戦までいけそうだ」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
○
このダリ・アモールでは換金所もあるから、俺たちが今までリバーダ大陸で持っていたソリド通貨もすべてゴールド通貨に換金した。しばらくはこっちにいるだろうし、すべて変えてしまっても構わないだろう。
為替はゴールド通貨の方が通貨価値が高いため、財布も少しすっきりした。
ちなみにリバーダ大陸では国という概念がなかったが、ここからは王国の領土である。故郷ソルテールや商業街バーウィッチは"エリンドロワ王国"という国の領土内の町らしい。ダリ・アモールよりも南の方に王都があって、王都内の出入りはより厳密になっているとか。
いつかは旅行気分で行ってみたいものだ。
あとソルテールは国のかなり北端に位置していて、さらに北へ向かうと国境があり、友好国"ガルマニード公国"や"フリーデンヒェン"という小国が隣接している。
また見聞が広まったら、より広い世界の事も本で調べてみたいな。
船の到着が遅かったのもあり、ダリ・アモールで一泊することになった。適当な宿を見つけて泊まる事になったが、アザリーグラードで宿泊していたよりも飯も美味ければサービスも良い。
安めの宿なのに、向こうの高級宿レベルに泊まった気分だ。
生活水準レベルはやっぱり迷宮都市は低かったんだろう。まぁ冒険者の寄せ集めスラム都市だったし……。そんなところで思春期を過ごした俺たちだが、これから大丈夫だろうか?
俺もこう見えて出身は貴族だし、マナーや礼節はしっかり学ばないとまずいかもしれない。
そんな事をぼんやりと考えながら、テーブルマナーを気にして夕食を取る。
向かいに座るアイリーンは、やっぱりナイフやフォークの扱い方なんかはそれらしい。さすがバーウィッチの貴族令嬢だ。貴族の世界はよく知らないけど、社交の場なんかで培った身のこなしなんだろうか。
ふとアイリーンと目が合って、これからの事について問われた。
「ところで、ジャックは明日からどうするのかしら? さっそくリンジーさんのところへ?」
「とりあえず……そうかな。他に行く宛てもないし、一番ソルテールが住み慣れてるからな」
「行く宛てなら私の家だってあるじゃないっ」
アイリーンは目を輝かせて俺を誘惑してくる。
きっと屋敷を自由に使っていいわよ、と言いたいんだろう。幻想楽団との戦いのときは潜伏先として使ってたけど、あの屋敷は雰囲気がお堅いから寛げないんだよな……。
それに優先順位としては一番お世話になったアルフレッド、リンジー、ドウェインの所に先に行きたい。いずれはオルドリッジの屋敷にも向かう予定だけど。
「ソルテール……ロストさんの故郷はソルテール?」
黙って俺とアイリーンのやりとりを聴いていたシアが初めて口を挟んだ。耳をぴくんぴくんと振るわせている。呆然とした顔をしているが、町の名前に聞き覚えがあるようだ。
「故郷、かな……そこに仲間が住んでるから挨拶にいこうと思う」
「仲間ってのはアルフレッドのことだな?」
さらにテーブルの上に仰け反っていたサラマンドがその赤い胴体をひょっこり起こして言葉を重ねてきた。
こいつは行儀が悪いな。
レッドドラゴンってもっと崇高な種族じゃないのか?
「まぁ、そうだよ」
「それじゃあ、俺様もロストについていくぜ」
こいつの目的は分かりきってる。
アルフレッドが持つ本物のボルカニック・ボルガだ。
でも今のサラマンドにそれが取り返せるかどうかは疑問だ。
「アルフレッドやリンジーに何かしたら俺が許さないぞ」
「物騒なこと言うな。俺様も穏便に交渉するつもりだぜ」
何か隠してそうな気もする。
飼い主もいるし、大丈夫だろうけど。
「シアもソルテールに来てくれるのか?」
「はい」
特に迷うこともなく返事をしてくれるあたり、俺に付いていくと言ってくれたことは本気なんだろう。
なんだか嬉しいな。
特にあれから進展はないけど、まぁゆっくりでいいだろう。
「はぁ? なんで貴方もソルテールにいくのよ」
そこに怒り、不平、不満、妬み、嫉み、憎しみというありとあらゆる負の感情を顔に現したアイリーンがシアに食ってかかる。
「ソルテールに昔から行きたいと思ってたので」
「なんでソルテールを知ってるのよ」
「通りかかったことがあるので」
「なんで通りかかったのよ」
「両親と旅の途中でしたので」
「ん……」
"両親"という言葉を聞いてアイリーンも口を紡いだ。アイリーンもシアの事情を知っているだけに、それを言わせてしまってばつが悪そうだ。それ以上文句を言うつもりもないらしい。
「だったらわたしもソルテールに行くわっ!」
「アイリーンお嬢様、それはダメです」
背後に立つメイドのリオナさんが忠告を入れる。食事中のアイリーンを後ろからフォローするリオナさんやダヴィさんにはもう見慣れたものだ。最初は全然落ち着かなかったが、令嬢の護衛の意味もあるから仕方ないんだろう。
「なんでよっ」
「お嬢様はこちらに戻られたら、上層階級な社交に専念されるという約束を旦那様とされて飛び出ていかれたのですよ」
「そ、そうだけど……一日ぐらいいいじゃない」
「ダメです。もう既に従者へ言伝てを頼み、お嬢様が戻られたことは伝わっておりますからね」
「そんなぁ……」
アイリーンもいろいろと忙しそうだ。
俺たちみたいなのらりくらりの底辺階級の冒険者とは訳が違うんだろう。そもそも日常で貴族が外でふらふら歩いている様子なんて見ないし、俺が貴族階級の人物とこうして巡り合えたのは奇跡と言ってもいいくらいだろう。
「そういえばユースティンはどうするんだ」
聞くまでもないけど、話は振るのが俺なりの気遣いだ。
ユースティンはアンファンの遺体と一緒に、一度王都へ向かうという話を前々から聞いている。冷却して遺体は棺に入ったままだが、ユースティンも早く埋葬したいに違いない。
「僕は一度、王都へ向かって家族に会う」
「そうか……」
ユースティンも忙しそうだ。王都には姉がいるらしく、合流して郊外の屋敷近くにアンファンも埋葬するらしい。泣き虫ユースツンもだいぶ立派になったもんだ。男は泣いて成長するもんだからな。
王都へはダリ・アモールからも馬車で1ヶ月程度かかるそうだから、しばらくユースティンとはお別れかもしれない。
「落ち着いたらまた戻ってくるつもりだ。ストライドの家に手紙でも出そう」
「なんでわたしの家なのよっ」
「……他がみんな浮浪者だからな。僕には宛先が分からない」
確かに。
固定の家がないから連絡手段もない。アザリーグラードにいた頃はだいたいシムノン亭に行けばみんな集まってたからな。まぁアイリーン経由で集まれるだろうし、せっかく同世代の仲なんだからまたこうやって集まりたいものだ。
…
そんなこんなで、それぞれの目的のためにラウダ大陸に渡ってきた俺たちだったが、どうやらダリ・アモールでばらばらになるようだ。
夕食に姿を現さなかったグノーメ様だが、ずっと宿泊部屋で新しい魔道具の設計図を描いていたらしい。大陸を渡っても魔道具愛が迸っている。そのグノーメ様は「商売をするからにはバーウィッチだ」と言って、アイリーンたちと一緒にバーウィッチへ向かう事になった。
ユースティンは1人で王都に行くようだし、俺とシアとサラマンドはソルテール行きだ。
なんだか長年連れ添った仲だけに、ユースティンとしばらく会えなくなるのは寂しいな。アイリーンも忙しくなるみたいで、もしかしたらしばらく会えなくなるかもしれない。当の本人は全くそのつもりはなく、お忍びでソルテールに頻繁に来るつもりらしいけど。
何はともあれ、俺にも俺の目的がある。
帰ろう。
アルフレッドもリンジーもドウェインも、元気にしてるかな?