Episode72 アザレア大戦
俺が目を覚ましたのは、例の親子から惨敗して3日後の事だった。
あの直後にアイリーンとその使用人2人が森まで駆けつけてくれたようである。救出された後はドワーフの村人たちも手伝ってくれたらしい。
その後、シルフィード様とグノーメ様の賢者様2人も森で倒れているところが発見され、2人が起き上がるとサラマンドも何処かからひょっこり現れた。
俺の体に刺さった矢の事だが、ダヴィさん曰く、わりと重要な臓器を貫いていて、普通の人間だったら1日と持たずに死んでいただろうとのこと。だが弓矢を切除した後、身体が勝手に自己修復し、ボディ自体はすぐ回復したみたいだ。
我ながら不気味な身体になってしまった。
もはや本当に戦闘兵器の類になっている。
だが、そんな戦闘兵器にも弱点があることが分かった。
―――キミの魔力無効の力は古典的なものでしかない。
アンファン・シュヴァルツシルトに暴かれた弱点。
俺が今まで霧散させてきた魔法は、火・氷・雷・聖・闇の5つの基本属性の魔法だけだった。
言われてみればそうだ。魔術ギルドが先進的に開発している「新規の魔法」―――つまり、あの親子が得意とする重力魔法や転移魔法は無効にできないのだ。確かにこれまでも、俺はユースティンに何度も転移魔法の術中にハメられた事がある。
女神ケアが託したこの力は、古代の力を無いものにするだけ。
そこは自覚しておかなければいけない。
迷宮都市の方は酷いことになっているそうだ。
メイドのリオナさんや魔術師ジーナさんが、崩壊した迷宮都市での救助活動に出ているらしいが、そもそもアザレア城から這い出るモンスターたちの対応で、人員が足りていない。
何日かの攻防の果てに落ち着きは見せたものの、アザレア王国の軍勢は相当のものだったようだ。その亡霊――ブラックコープスの量は想像を絶するらしい。
また、例のゴキブリも増殖スピードが半端ないようで、どれだけ燃やしても延々と湧き出てくるようだ。
そんな状況だったけど、俺も本調子になれずに1週間休んでいた。
シアが心配だったというのもある。
アンファンに無惨に攻撃された彼女を見て、やっぱり俺はシアという女の子が大切な存在なんだと気づいた。この冒険者生活を5年も傍で支えてくれたんだ。
大切じゃないはずがない。
彼女は俺より2,3日遅れて目を覚ましてくれた。
両親との"再会"も果たして、今では瞳に闘志を燃やしている。
今まで以上に頼もしくて俺もしっかりしないと、という気持ちになってくる。
…
今は会議中だった。
シルフィード様の謁見の間である大木の根の下で、各々、胡坐をかいたり、脚を崩して適当に座り、議論していた。
精霊様3人は幼女の姿になってる。
3人ともこの1週間、これからの戦略について話し合いをしていたが、特に良い作戦が思い浮かんだということもなく、結局は、強行突破の押しの戦略で話がまとまりつつある。
本当にこの人たちって賢者なのか……?
それとも幼女化の影響で、知能まで幼く……?
「本当に何も考えなくていいんですか?」
一番聞いてはいけない事の気もするが、俺は恐る恐る確認を入れる。
それに応えたのは幼女姿のサラマンドだった。
本気で殴り合ったときのセクシーさは無いのが残念だが、まぁこっちの方が可愛げがあって良い。
「仕方ねぇだろ。戦力がなさすぎる」
「にしてもまた封印する方法とかをさ……。乗り込んでシュヴァルツシルト親子と戦っても何も解決しない」
アザレア城は地上へと浮上してきてしまった。
アンファンやユースティン、そして聖堂騎士団の奴らを叩いても、城自体をなんとかしないと意味がないんだ。
「そもそも、封印は解けてしまったのですか?」
シアがそこに口を挟んだ。
「リゾーマタ・ボルガ解放には5つのボルガが必要なのですよね?」
確かにまだよく分からないところがある。ボルガ・シリーズのうち4つを手にした彼らが、封印解除に身を乗り出したのは言うまでもない。
だが、解放されたのはアザレア城だけだ。
リゾーマタ・ボルガを彼らが入手できたようには思えない。
籠城しているみたいだし、もし手に入ったならすぐ逃げ去りそう。
「はい、シア・ランドールの仰る通り、まだリゾーマタ・ボルガは奪われてはいないと思います」
それに答えたのはシルフィード様だった。足を横に払って座っていたが、立ち上がって空中にふわふわと浮かび始めた。
幼女姿のシルフィード様もなかなか良い。
「リゾーマタ・ボルガの話をしましょう」
それからシルフィード様はジェスチャーも加えながら、はるか昔に起きたリバーダ大陸の騒乱の話をし始めた。それは千年前に起こった実録の話だ。
それを目の当たりにした本人が語る話。
その辺の文献よりも史実そのままなんだろう。
◆
実際の史実は、絵本で知っていたエンペドの物語とは、似ても似つかないものだった。
そもそもエンペドがいた時代は豊かな時代ではなかったそうだ。
それはまだリバーダ大陸に種族ごとの国があった頃の話。
大陸は戦争ばかりで人間もエルフも巨人族も魔族も疲弊しきっていた。
その中でも大国だったのが、人間が築き上げたアザレア王国と、エルフとドワーフが共生していたクレアティオ・エクシィーロと云う国の2つだった。この二国は、イリカイ川を隔てていがみ合っていたそうだ。
アザレアとクレアティオは当初、後者にアドバンテージがあった。その差とは、すなわち魔法によるものである。
エルフは魔法が得意で、ドワーフは工作が得意だった。さらにはバイラ火山の麓に住まう魔族もクレアティオ・エクシィーロ側と同盟を結んでいた。
ちなみに、サラマンドは魔族の崇拝対象のドラゴン族出身、グノーメ様はドワーフ族出身、シルフィード様はエルフ族出身で、昔はクレアティオ・エクシィーロ側の一国民だったらしい。
彼らの強力な魔法と兵器、魔族の戦闘能力を前に、人間側―――すなわちアザレア王国は敗戦を間近に控えていた。
エンペドという人間族の男は、そんな疲弊した国に突如として現われた。
歳はまだ10代だったという噂もある。
どこかの噂話によると、5歳の頃から類い稀無き魔力を有し、誰も聞いた事のないような珍妙な知識を持っていたそうだ。富裕層が、我が子の5歳の誕生日から魔術の教育を施し始めるようになったのは、このエンペドの逸話が由来しているとか……。
それはさておき、突如現れたエンペドは敢えて敗戦間近なアザレア王国側に付いた。そこからの彼の戦略手腕は見事なものだったらしい。アザレア王国は一命を取り留め、エンペドは王国からの信頼を集めた。
彼の出生は謎だが、注目を集める頃には既にアザレア王国の参謀役として、王の側近に控えていた。
そのカリスマ性から、王国内でも特権階級として扱われていた。
アザレア大国の統治していたルクール大森林やネーヴェ雪原への出入りも自由だったらしい。
アンダインともその頃に知り合ったとかなんとか。
エンペドは知的好奇心が強かった。
王の側近であるにも関わらず、国外へふらふらと出歩く事が多かったそうだが、ほぼ敵なしの魔力を持っていて、わりと無防備だったようだ。
そんな中で、エンペドはエルフの大国クレアティオ・エクシィーロとの平和条約を結ぼうと提案してきた。
天才と謳われた大魔術師が言うからにはと王も承諾し、クレアティオ側もエンペドの手腕を兼ねてから評していた事もあり、条約を結んで不可侵の関係を結ぶことにした。
…
それから数年経った頃、エンペドはその好奇心から、クレアティオから独特の魔法や魔工房について学ぶため、エルフとドワーフの民に取り入った。そのとき、エルフの魔法について教えたのは他でもないシルフィード様だったという事だ。
シルフィード様は、当時のエルフ族の中でも魔法に関しては右に出るものはいなかったそうだ。
エルフやドワーフ独自の魔法とは、すなわち風魔法や土魔法である。
しかし天才魔術師エンペドが一番興味を示したのは"ボルガ"という存在である。
"ボルガ"とは神秘の力である。
実在はするが、謎のヴェールに包まれている。本来は神と称されるだけに、神からの恩恵がない限りは成し得ぬ魔法だ。
だというのに、エンペドはその存在を知った翌年には、リゾーマタ・ボルガという魔造兵器を作り出した。
羅針盤だった。
いくら天才魔術師と言えども、ボルガの力を利用すること、さらにはそれを利用した魔道具を作り出すことなんて、出来るはずがなかった。
エンペドがリゾーマタ・ボルガを作製できた理由は精霊たちにも分かっていない。
……異変に気づいたのは、"戦争中だったにも関わらず"、ネーヴェ地方に住まうアンダイン様が「平和条約はどうしたのじゃ」と騒ぎ始めた事からだった。その言葉を聞くまで、"平和条約が結ばれていた"という史実が無くなっている事に誰も気づかなかった。過去が改竄され、相変わらずアザレアとクレアティオ・エクシィーロは戦争を続けていたのである。
すべてを思い出したシルフィード様は、他の賢者たちと力を合わせ、ティマイオスの伝手で神と契約を結び、いわゆる5つのボルガ・シリーズを造り出したそうだ。
契約とはすなわち、輪廻からの解脱。
生命の営みから外れ、精霊として未来永劫リバーダ大陸の統治を手伝わされる、というものである。
精霊になった彼らには、リゾーマタ・ボルガの改竄を見破る能力があった。幾度の過去改竄に対しても、精霊たちには改竄前の記憶が残っていた。
そしてエンペドの陰謀を全て暴いた彼女らは、クレアティオ・エクシィーロの国民とともにアザレア王国へと攻め入り、参謀という名の"暴君"と化していた彼を、アザレア城ごと封印したのである。
アザレアの咲き乱れた綺麗な桃色の大国は、封印により地下深くへと埋まってしまった。
残るのは、殺伐とした荒涼な大地だけである。
勝利を納めたクレアティオ・エクシィーロも戦争による資源の枯渇で砂漠化し、時代が移るにつれて、現在のニヒロ砂漠となった。
この戦争を、"アザレア大戦"という。
一度終結させても繰り返される、終わらないその戦争。
その戦犯は、因果を書き換える羅針盤――リゾーマタ・ボルガを生み出した大魔術師エンペドであると言われている。
ちなみに封印は、5つのボルガを鍵として施錠している。
アザレア城内には、敬意を表して各ボルガを守護する賢者の像を建てたそうだ。しかし封印後もその禍々しい魔力は溢れ、アザレア城から派生するように地下の大迷宮が形成されてしまった。
―――通称、アザリーグラード。
迷宮都市はこうして生まれた。
その迷宮には他に類を見ない魔石や強力な魔物の素材が集まるため、冒険者の挑戦の場と変貌してしまったのである。
◆
「私たちの封印はエンペドに対して施したものです。アザレア城はセットで封印されただけですから、4つの鍵が外れて不安定になり、城が地下から浮上してしまったのでしょう」
5つの鍵で厳重に施錠されていた封印が、4つ開錠されてしまったということか。つまり残り1つの鍵―――ボルカニック・ボルガを差し込んでしまえば、エンペド本人の封印が解けてしまうということである。
「もう一度封印する方法はないの?」
黙って聞いていた黒髪お嬢様のアイリーンが初めて口を挟んだ。
「一度差し込んでしまえば、もう封印は無効です。再度引き抜いたところで鍵は解除されたままでしょう」
「だから、最初から全部封印し直すしかねぇってことだ」
会話の主導権を握って解説を続けるシルフィード様と、そこに補足を付け加えるグノーメ様。ここにいる3人の精霊は仲良さげだけど、もしかして歴史上の同盟国出身だから仲良いのだろうか。
「最初から全部……というのはどういうことですか?」
シアも今回に関してはとても前衛的だ。
「うーん………そうですね……」
それに対して、シルフィード様が言いづらそうに言葉を濁す。
「だからよ、もう1回全部解除してエンペドを引っ張り出さなきゃならねぇってことだ―――お前の偽ボルガでな?」
サラマンド幼女は遠慮もなしに俺に喋りかけた。
その表情は好戦的なサラマンドらしく、ニヤついている。
「それならもう封印じゃなくてぶっ倒しちまえばいいじゃねぇか」
〇
というわけで、作戦会議から一日後、早速にも迷宮都市アザリーグラードへと舞い戻った。
最後のサラマンドの爆弾発言はさておき、一応、シュヴァルツシルト親子と聖堂騎士団の勢力をどう対処するかの作戦は練ってきた。
アザリーグラードは、既に俺たちが知る街ではなくなっていた。
以前までは街の中心部には冒険者ギルドが拠点を構えていたが、そこには巨大な城が望める。地下迷宮の30層付近で何度も見かけたあのアザレア城だ。
こうして地上に這い出ると、より大きく映る。
街自体も以前の平和さがない。
街の門を潜って、土埃舞うメインストリートを進む。
ここまでは前と一緒だが、冒険者の賑やかな行き交いが無くなっている。
だから寂しい横風が容赦なく吹き付け、もの悲しさを演出してしまっていた。
「なにここ……? 変わりすぎじゃない」
アイリーンが隣を歩く俺の二の腕を掴み、寄り添ってきた。
「これも全部、あの魔術ギルドの奴らのせいだ」
俺の中で苛立ちが強まっていく。
楽園シアンズの事件を思い出す。
アルフレッドやドウェインと一緒に決戦に向かったときもこんな苛立ちを覚えていた。
でも彼女らの場合は、平和や慈愛を求めて子どもを誘拐していただけだ。
争いを好まず、人を傷つけることをむしろ反対していた団体だ。
だが、この惨状は……。
…
それからいつもお世話になっていた宿屋に足を運んだが、客や女将含めて、もぬけの殻だった。
女将や、いつも挨拶を交わしていた常連客の行方が分からない。話を聞いた限りだと、街に溢れ返ったブラックコープスの餌食になってしまった可能性もある。
それだったら長年お世話になっただけに、後味が悪すぎる。
行きつけのシムノン亭に訪れたところ、そこが緊急避難所になっていた。
テーブルは乱雑にカウンター付近に投げ出され、ベッドとして使えそうであればテーブルクロスを敷いて怪我人を寝かせている。カウンターテーブルには食事ではなくて、包帯などの救急治療セットが並べられていた。
この街の冒険者たちだっただろう人物たちが忙しなく、ヒーラー役に回って出たり、装備を整えて武器の点検をしていたりする。
「そこのあなたはヒーリング回って! 早く次の布陣を整えないと奴らがやってくるわよっ!」
そんなシムノン亭の忙殺の中心には、リズベスが指揮を執っていた。
姿は魔術ギルドのローブを着ているものの、その勇ましさはリベルタ時代、そしてそのリーダー、アルフレッドの姿を思い出す。
「リズ!」
「ジャックじゃない! 目が覚めたのね」
話には聞いている。
リズベスは魔術ギルドとの縁を切った。俺やシアを保護するため、ルクール大森林でアイリーンら一行とともに介抱してくれたそうだ。そして現在では街の攻防のためにひと肌脱いでくれている。
「リズ、ありがとう。迷惑をかけたみたいで……。俺はこの通りもう大丈夫だよ」
大げさに右腕で力こぶを作ってみせる。
弱点の見つかった右腕だが、それでも頼もしいのには変わりはない。
「ジャックは相変わらず背伸びするのね」
その温かく微笑んでくるリズも相変わらずだった。どんな組織に所属しても、やっぱりリベルタ時代からの一本筋は変わっていない。自分の信念を曲げない様は、まさにリベルタ流だ。
「街がこうなったのは俺にも責任がある……ボルガ・シリーズを手に入れる手伝いをしてしまったんだから……だから、なんとかしないと。ケジメってやつだよ」
俺の意思を組んでくれたのか、リズベスも頷いて、俺を奥へと案内してくれた。シアやアイリーン、シルフィード様は怪我人たちの治療に回り、概要は俺とグノーメ様、サラマンドが聞くことになった。
…
奥というのは、シムノン亭の厨房である。
そこの広い調理台に、大きなマップが拡げられていた。
どうやらアザリーグラード全域の地図のようだ。
乱暴に落書きされていて、かつての冒険者ギルドの位置に大きい丸、そしてその周囲に小さい丸が3つ付けられている。
俺とグノーメ様、サラマンドはその調理台の周囲を取り囲み、リズベスは現状を教えてくれた。
背が低いのか、グノーメ様もサラマンドも調理台に身を乗り出して足をばたつかせている。その小さな太ももが揺れ動く様……!
不謹慎だが可愛い……!
「この大きな丸がアザレア城の城壁よ」
リズが大きい丸を指でなぞる。
「この壁の周囲には大きな谷ができてるの。多分、大規模な隆起のせいで地下迷宮へと陥没しちゃったんだと思うんだけど……ただ、小さな3つの丸のところでこっちの陸地と繋がっているのよね」
地図で言うと、南のアザレア城門側で一か所、そして西側の離れた所で二か所だ。だからモンスターの進攻は南と西で被害が大きく、東側や北側の住民はそれほど被害はないようだ。地面を這う系のモンスターばかりで良かった。
そして、こちらから陸の橋を渡る場合、城門の周囲をさらにぐるりと取り囲む森(と言ってもかなり面積は少ないようだが)に入り、その森を超えると城壁に辿り着く。
北と南に城門があるようで、南から直進すれば直接城内に入れるそうだが、内部からのモンスターの押し寄せ具合も凄まじい。
西側から攻め入れば、森をぐるりと外周して北門から入ることも可能だった。
「私たちは今、南側の橋を抑えているけれど、西側にはジーナとリオナさんが出向いてくれているわ」
モンスターの大群にも波があるらしい。
突然大量に湧き上がって街へと突進し、それを抑えると小休止に入る。それも繰り返しのようだが、どんどんその周期が早まっているようで、兵力が持たなくなってきている。
「そうか。ズドンと正面から押し入るか、ひそひそと回り込むかで南か西か選べってわけだな?」
サラマンドが腕を組んで面白おかしそうに地図を眺めている。自慢の赤い尻尾もビタンビタンと床でうねらせていた。
こいつ、この状況を楽しんでないか?
「ちょっと待ってよ。押し入ってどうするわけ?」
「ボルガの封印を解く!」
「あなたバカなの?!」
「バカとはなんだ。俺様はドラゴン族の長にして火の賢者だぞ! もっと崇めろ!」
賢者ならもっと分かり易く説明してくれよ。
「サラマンド、封印のことは後回しだ。とりあえずアンファンを止めてボルガを取り戻すのが先決だ」
俺がサラマンドを制し、リズにはアザレア城に籠城している彼らを叩くためだと補足した。
「どっちにしろ城の中には潜入しないといけないんだ。手分けして入った方が効率がいい。もう少し人員を集めて、南からも西からも攻め入ろう。モンスターが押し寄せるなら、戦力は多い方がいい」
俺が思いついたことを矢継ぎ早にその場で話すと、他の3人は口を開けてぽかーんとしていた。
「う……俺なんか変なこと言った?」
「ううん、なんだかジャック、アルフレッドみたい。リーダーになったわねっ」
「そ、そうかな」
まぁアルフレッドは俺の中で理想のリーダーだ。
そう言われて悪い気はしない。




