Episode60 親子の絆
雪が降り積もる高原に2人の魔術師が対峙していた。
一方は綺麗な茶色いローブを召した壮年の魔術師。片や、汚れた漆黒のローブを召した若い魔術師。
2人は親子だ。
年齢は違えど、その容姿はまるでコピーしたかのように似ていた。
「Elektriche Kugeln―――! Triplikat!」
ユースティンは左手を払って空中に電気の塊を3つ空中に発現させる。
「Elektriche Kugeln」
対するその父親も、寸分違わず同じ言葉を詠唱した。浮かび上がるは一つの電撃球だった。マネしているのは先に詠唱したユースティンの方だ。自身の父親の魔術を追いかけ、そして体得したものだ。
「ユウ、魔法対決をしようというなら構わないが、魔術師としての覚悟を決めた上での事だろうな?」
「………」
「お前ももう良い歳だ。この戦いに負けたら大人しく魔法大学に行ってもらう。魔法学校の遅れを取り戻すつもりで勉強してもらうぞ」
なんだろう?
今の会話から推察するに、ユースティンは英才教育を拒否して家を飛び出したような言われ様だな。
「そしてアクアラム・ボルガもこちらへ渡してもらう」
先ほどからアンファンさんはボルガに固執していた。ユースティンの事よりもむしろボルガの方が目当てのような印象がある。
「schießen!」
ユースティンはそれに対して魔術で答えた。その問いを拒むのに加えて、絶対に勝つという意志が垣間見える。彼の周囲に漂う三つの電撃球は、一斉に父親めがけて放たれた。
「Mischen――Gefrorene」
さらに重ねあわせるようにアンファンさんの詠唱が続く。生成された電撃の塊の渦中、氷のつららが形成され、二つの魔法は混ぜ合わさった。
氷の弾丸に電気が帯びてバチバチと音を立てていた。それが真っ直ぐにユースティンに飛来する。
ユーステインが放った3つの電撃は、その氷の弾丸に呑みこまれて消え去った。つららに纏った電撃がより強力なものになり、ユースティンを襲う。
「……ッ! Brandstifter!」
ユースティンは火炎弾を生成して対処した。しかし溶かし切れたのは氷の結晶だけ。解放された電撃がそのままユースティンに直撃したようだ。
言葉こそ発していないものの、強力な電撃を浴びたユースティンは苦痛に顔を歪ませている。
「お前にはまだ混合魔術は教えていなかったな。学校では優秀な者にはこういったことも教えてくれる」
アンファンさんは饒舌に語っていた。
「認めるんだ。お前はまだ未熟だ」
「………違う!」
だがユースティンは意地を張る。意地を張って張り続ける。
「未熟な子どもだ!」
「子どもじゃない……!」
黒いローブの子どもは俺たちと一緒のときは"正義の大魔術師"でいられた。だが彼にとってはこれが現実なんだ。優秀の親の元、決められた道にそって常に親の後を追いかけさせられる。ユースティンはそんな世界にうんざりしていたんだ。
あいつはもっと自由でありたいと思っているに違いない。
「Brandstifter!」
「無駄なことだ! 1種類の魔法で混合魔法は対処できない!」
ユースティンは空中に火炎弾をまた作り出す。対するアンファンさんはまたしても氷・電撃の混合魔法を作り出した。
それを両者ほぼ同時に放った。
バスンと言う大きい音を立てて、両者の魔法は放出された。
見守るギャラリーには既視感が襲ったことだろう。
だがユースティンにも策があったらしい。
「Eröffnung!」
お得意の転移魔法。
ユースティンは火炎弾をポータルサイトによってアンファンさんの目の前へと転移させた。
それと同時に、別のポータルによって氷・電撃の混合魔法も転移させ、3種類の魔法で父親を挟み撃ちにする。
「ふん、この程度の発想………Eröffnung」
しかし転移魔法を得意とするのはアンファンさんも同じだった。
ポータルを開通させてさらに魔法を転移させる。
「Eröffnung!」
「Eröffnung」
「Eröffnung!」
それぞれ魔法を何度も転移させる。俺たちの目からは魔法がそこかしこから瞬間移動しているようにしか見えない。各々、四方八方から開通合戦を繰り広げている。
「魔力総量で僕に勝とうとでも? いずれ魔力切れでお前の負けになるぞ」
「Eröffnung!」
重なる詠唱によってユースティンの喉もがらがらになってきている。
もはや時間の問題かと思われたその時だった。
「Starkung―――von pat!」
ユースティンの握りこぶしが光った気がした。ユースティンはローブを翻した途端、その場から忽然と姿を消した。
間近で開通したポータルに飛び込み、父親の懐へと瞬間移動していた。
「なに……! 強化魔法?!」
魔術師が前線に出て戦うというスタイル。それ自体は珍しいことではない。そのため自身の肉体を強化させる強化魔法というものもある。
だが文武両道の才能を持った人物は少ない。魔術師が魔法で肉体強化しても戦士の近接戦闘には劣るし、近接が得意な戦士はそもそも強化魔法など学んでも扱えない。
でもユースティンは近接戦闘などしたことがない……と思って気づいた。
俺が日頃の遊びで拳闘術を叩き込んでいたんだった。
ユースティンは不意打ちに驚く自身の父親の腹へと、力いっぱいボディブローを叩き込んだ。
そのボディブローの打ち込み方は、俺自身の拳闘術を客観的に見ているかのようだった。
「―――Eiswand!」
壮年の魔術師は咄嗟に前面に防護壁を展開させた。しかしその一撃はそれでは防ぎきれない程度に重たかったようだ。瞬発的なガードすら突き抜けて、ユースティンの強化された拳は確実に腹に食い込んでいた。アンファンさんは苦しみに悶えて腹を抱えて蹲った。
「……くっ………」
「僕は………正義の大魔術師だ!」
その宣言が雪原に木霊した。
ただの子どもの意地っ張りだったかもしれない。
でもその叫び声にこの場にいた誰もが打ち震えた。
意地も張り通せば、叶うものである。
「……僕がいつまでも、子離れできてなかったようだ」
「………」
「認めよう。お前は一人前の魔術師だ……アクアラム・ボルガも、お前のものだ」
ユースティンは立ち尽くしたまま、目元を歪ませていた。
溢れ出る何かに耐えているようである。
その様子を見て、敗北宣言をしたアンファンさんは立ちあがり、腹を抱えたまま我が子の元へと近寄った。そして片手を彼の肩に置いて、ちょっとだけその体を近寄せた。
「ユウ、父さんが悪かった。お前の魔法はお前だけのものだ」
「………う、くぅ……」
ユースティンは父親の腹へと頭を預け、その場で泣き始めた。
その泣き声はこちらまで届かなかったが、ただ黙って立ち尽くす様子から、"男泣き"を見せつけられた気がした。
○
それから2週間かけて、迷宮都市アザリーグラードへと帰還した。
土埃の舞う汚い街だ。
ネーヴェ雪原では壮絶な親子喧嘩を見せられ、その末には親子愛も見せつけられた。
親、か……。
気になる。
俺の親はどこにいるんだろう。
俺のことを心配してくれているだろうか?
アンファンさんみたいに過保護に扱ってくれただろうか?
期待するレールを敷いてくれていたのだろうか?
仲間はいる。
ユースティンだって、シアだっている。
同世代の友達はいる
でも肉親というのは何だか、それとはまた別の存在だ。
どこにいるんだろう。俺の肉親は……。
「ロストさん、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ、うん」
シアに心配の言葉をかけられた。そんなに変な顔していたかな。
今はシアと2人で地下迷宮の探索中だった。
このエルフの子はそもそも親が既に亡くなっている。父親の手紙を読みながら泣いていたんだ。本人だってもう両親のこと気づいているんだろうな。その割りにこうやって落ち着いて過ごしているんだから強い子だと思う。
「シアは、将来なにかやりたいことがあるのか? なりたいものとか」
「……? なんですか、突然」
淡泊な言葉。相変わらずのジト目を向けられて、ちょっとだけ萎縮する。確かに何聞いてんだろう、俺。
「あー、いや、例えばアルバさんだったら最強の戦士になるとか、ユースティンだったら正義の大魔術師になるとか普段から言ってるだろ。だからシアも何かあるのかなーと思って」
「………」
ぼーっとした顔で見つめられた。
シアが何か考えるときはいつもこんな惚けた顔をする。
あざとい。
実にあざとい。
「私は特にありません。このまま変わらず、気軽に生きていきたいです」
「そうか……」
目指そうと思えば、有名な弓師にでもアイドルにでも何でもなれそうな気がするのに、なんだか勿体ないな。
かと言って、俺も特に目指していることがない。
似た者同士か。依存し合うのは良くないが、このままシアと2人で平凡な日々を送れたら確かにそれで満足と言えば満足かな。
…
採集クエストを終えて、迷宮から出た。
30層のアザレア城付近の森に生える発光植物をいくつか採集するクエストを受けていたのだが、これが簡単なわりに報酬がおいしいクエストだった。そもそも30層までたどり着ける冒険者が少ないからかもしれない。
冒険者ギルドで換金し、シアと2人で分け合った。
「やぁ、ロストくん。先日の雪原ではありがとう」
そこで声をかけてきたのは最近なにかと脚光を浴びているアンファン・シュヴァルツシルトさんだ。
隣にはユースティンもいる。
すっかり仲直りしたのか、親子として一緒に過ごしていることが最近多いようだ。なんだかユーちゃんが実親の元へ里帰りしてしまったような気分で悲しいよ俺は。
彼が話題になっている理由は、歳のわりに美男子であるということが1つだ。それに注目されているのはそのカリスマ性。落ち着いた物腰と堂々とした発言、そして冒険中は適格な指示をパーティーに飛ばすことで知られている。
そしてそれに合わせてユースティンも株価急上昇中だった。アーバン・フラタニティ以降の俺以上に。
最近では、ユースティンの方が街の女性陣に声をかけられる事案が多く発生し、その手の事には奥手なユースティンは、顔を真っ赤にして逃げるという可愛さも人気をあげる要因になっていた。
「親子水入らずですか」
「ロスト、勘違いするな! 僕もたまたま連れてこられただけだっ!」
顔を真っ赤にしてそっぽを向くユースティン。
そうそう、そういう反応が人気の一つらしいよ。
「ロストくんにお願いがあるんだ。今度の遠征に一緒に付いてきて欲しいと思っている」
「遠征? どちらに?」
「バイラ火山だ」
バイラ火山………覚えているとも。
火の賢者サラマンドが住むと言われる山だ。そこにはボルガ・シリーズの一つ、ボルカニック・ボルガが眠っているとされる。
ボルカニック・ボルガは俺の記憶の手がかりの一つ。
リズベスさんと知り合った今更ではあるけれど、でも興味はある。
俺はボルカニック・ボルガを知っている。
燃え盛る炎の刀剣。
その強烈なインパクトはいつまでも頭の中にイメージできる。
何度か心象抽出スキルで複製を試みたことがあるが、どうやってもその刀剣だけは作り出すことはできなかった。
でもその伝説の刀剣の持ち主とは、深い仲だった覚えがある。
ボルガの力は神秘の力。
俺のこの人間離れした能力とも関係しているんじゃないかと考えてはいるが、結局は正体不明のままだった。今回を機に、このモヤモヤを取っ払うために同行してもいいかもしれない。
「キミは噂によると土の賢者、風の賢者とも知り合いだと言うじゃないか。火の賢者とは?」
「いえ、会ったことすらありません」
「そうか……」
それとは別に俺が気になるのはアンファンさんの事だ。賢者たちに固執している印象がある。
「まぁ遠方だからそれもそうか。バイラ火山はニヒロ砂漠を越えた先の火山地帯にある。おそらく片道3ヶ月ほどかかるだろう」
「ところで何故そこまで賢者様に会いたいんですか?」
「僕は賢者たちとの謁見に興味があるわけじゃない。魔術ギルドを代表してボルガ・シリーズの確保を狙っている」
「え?!」
衝撃の事実が告げられた。
ボルガ・シリーズを確保する?
かなり前にだけど、風の賢者シルフィード様からボルガの力は人が持つべきものじゃないと忠告を受けたことがある。それを平然と「確保する」って。
「ボルガ・シリーズがどんなものか知っているんですか?!」
「知っているとも。それらは貴重なマナファクターだ。魔術ギルドはマナファクターを保護し、歴史的聖遺物として保全していく義務がある」
なんだ、悪用しようってわけじゃないのか。
それならいい……のかな?
"しかし、世の中にはエンペドのようにその力をつけ狙う魔術師もまだまだいるのです"
まだアザリーグラードに来たばかりの頃の、風の賢者シルフィード様の言葉が頭によぎった。
なんだか不安感が募る。
魔術ギルドの職員たちも魔法を究める魔術師だ。何かを付け狙っているわけじゃないにしても、悪用される危険性が出てくるんじゃないだろうか?
「保護は保護だ。今のままでは野盗に取られて悪用される危険性もあるんだ。我々が保護した方が安全というものだろう」
その意見は至極、真っ当だ。
否定すべきところはない。
だが、俺の直感は何か拒絶反応を示していた。
「ロストくん、どうだ?」
「………」
アンファンさんに再度、返事を促される。
「ロストさん」
「ん?」
返事に悩んでいると、隣に立つシアに声をかけられた。
そして顔を近づけられて耳打ちされた。相変わらずこれの動作はドキドキする。
「ボルカニック・ボルガはロストさんも気にしていたのでは?」
「そうだけど……」
「ここは自分に素直になりましょう」
「シアに言われたくない」
シアは悪戯に微笑んで再度付け足した。
「私も付いていきます。たまには気軽に生きてみませんか?」
その微笑みには弱い。
それはシアが目指している生き方だ。辛い境遇の中で気軽に生きていきたい。それを目指す彼女だからこそ説得力がある提案だ。
確かに難しく考えても仕方ない。俺が同行しようが、同行しまいが魔術ギルドの人たちは旅だってしまうんだ。とりあえず付いていくだけなら問題はないだろう。
◆
その日の晩。
ロストくんから了承をもらえて無事に事が運んでいる実感があった。
彼には不思議な魅力がある。
彼が居れば、賢者との交渉もうまく運びそうだ。
「シュヴァルツシルトの曹司よ」
「僕に何か用か?」
夜更け、部屋にジョバンバッティスタが訪れた。彼の方から僕に来るなど珍しいこともあるものだ。
「アクアラム・ボルガはいいのか?」
「いい、とは?」
彼の意図することは理解できる。アクアラム・ボルガは結局のところ息子の手中に収まっている。
我々の目的はボルガ・シリーズを集めること、そして迷宮の封印を解き、本来の目的であるリゾーマタ・ボルガを手に入れることだ。
それを自身の手元に置いておかなくていいのか、という話をしたいのだろう。
ジョバンは部屋の入り口で立ち尽くしている。
意図を理解しろ、という意味のようだ。
「ふむ、例えばお前の持つケラウノス・ボルガも僕の手元に置いているわけではないが?」
「我と貴様は契約を結んでいる。息子は契約しているわけではなかろう」
言いたいことは分かる。ジョバンバッティスタは、聖堂騎士団と魔術ギルドの契約により、ケラウノス・ボルガの力を借す義務がある。だがユースティンには何の義務もない。
いざ、リゾーマタ・ボルガを解放するときに拒否されたらそれまでというわけだ。
「お前は子どもがいないのか? 親子の慕情をなめてもらっては困る」
「……そんな不確かなものに委ねて事を進める気か、シュヴァルツシルトよ」
静まり返った高級宿の一室。
まるでジョバンが僕の失敗を予見していることを強調するかのような静けさだ。
「ふん……まぁいい。貴様の家系はここ一番というところで失敗する。抜かるなよ」
そう言い放って、ジョバンはすぐさま僕の部屋から出て行った。
長年生きている人間は家系を遡り始めるから喧しいものだ。
「……目的のためなら血縁の"契り"すら利用してやるさ」
◆
バイラ火山への遠征に参加するのはアンファンさんとユースティン、俺、シアの4人以外に魔法使いのジーナさんも参加するらしい。リズベスさんが来てくれないのは残念だが、バイラ火山行きが決まってから体調が優れず、長旅は難しいそうだ。
聖堂騎士団のコリンさん、ジョバンさんの2人も、また別件の仕事に回るらしい。
俺たち子ども3人組は完全にピクニックみたいなものである。
アンファンさんは俺の干渉力と交渉力を期待しているみたいだが、正直俺にそんな力はないし、今までも褒められたことはない。
今は、シアとユースティンと3人で、アザリーグラードのマーケットで3日後に控えた長旅の準備のため、食料や装備の調達を済ませている。このマーケットとも、旅の往復で約半年離れると思うと寂しいものだ。
「今回も食料はユースティンの便利ポケットに入れてもいいよな?」
「お前は僕をなんだと思っているんだ! 荷物持ちじゃないぞ」
「減るもんじゃないんだからいいじゃねーかよ」
俺は買った食材を片っ端からユースティンに向けて投げつけていた。これはいつものやりとりで、文句を言いながらもユースティンはちゃんと便利ポケットにしまってくれている。
ツンツンだが根は優しい奴だってことはみんな分かっていた。
「今日のシアはあんまり買い込まないんだな? 珍しい」
「私にはヒガサ・ボルガがありますから」
ヒガサ・ボルガ。
その機能は日傘、武器、移動手段、水源、ステルス装備と5つの機能を併せ持つ多機能日傘だ。俺の愛とグノーメ様のロマンが生み出した最強兵器。
実際、アクアラム・ボルガなんかより全然凄い代物だと言える。
シアはご機嫌そうにそのヒガサ・ボルガを差してマーケットを練り歩いていた。
俺とユースティンもそのあとに続く。
その刹那の事だった。
「見つけたぁーーーーーーーーーー!!!!」
甲高い声が突如として響き渡る。
背後からガバっと人に圧し掛かられた衝撃で、俺は前面にヘッドスライディングを決め込んだ。
「うぎゃ!」
しかも圧し掛かられただけじゃない。
背後の人物はやたらと顔を、俺の後頭部へと推しつけてくる。
そして圧迫される。
背中には柔らかい大きめな2つの山の感触があった。
それに良い匂いがする。普段、冒険者の土埃の匂いしか嗅いでいない俺からするとその香りは強烈だった。
「ジャックでしょ?! この顔とこの右腕、間違いないわっ」
やけに明るい声がマーケット中に響き渡る。
俺はむくりと上体だけ起き上がり、体を擦り合わせてくるその女の子を呆然と眺めた。
「ジャックって……」
まただ。
また俺の過去を知る人物が現われた。
「え……? わたし、アイリーンよ! アイリーン・ストライド!」
しかもかなり顔と顔が近い。
そんな近くで喋られても抵抗がある。
童顔で黒髪美少女だった。
スタイルも良い。身なりも整えられている。
服装も、やんごとない高貴さを示した衣装で、お嬢様感を漂わせている。
見た目で言えば欠点が見つからないくらい可愛い女の子だった。
「ロストさん、誰ですか?」
一方で、背後からは殺意を感じた。




