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誇示畏怖表現の被害者
私は人間だよ?
せっかく人間なのだから、
強欲の限りを尽くすのは当然だろう?
とある情報屋のウワサがある。
名を〝チェシャ猫〟と云う彼はあらゆる情報を制し、政治家や警察官僚を黙らせ、ヤクザやマフィア等にも通じ、表にも裏にも彼に逆らえる人間など居ない……。
そんな都市伝説の様に曖昧な、信憑性の薄いウワサ。
だが、知る人ぞ知る。
ある者は彼を「人生の救済処置」と呼び、
ある者は彼を「人生の終着点」と畏れる。
幸福と不幸を撒き散らし、さながら高所から人間を見下ろす猫の様に、静観し、楽観し、ただただ心の底から〝満面の笑み〟を浮かべている。
彼は居る。
今日も何処かで〝強欲〟の気の向くまま、
チェシャ猫は笑い続ける……。