今じゃ言えない秘密じゃないけど出来る事なら言いたくないよ
フィクションです。猫が死にます。
気を付けてください。
猫が死にます。
前に彼女が飼っていた猫を殺してしまった事がある。毛布の中で丸まっていたのをうっかり踏んでしまったのだ。彼の名前はコロッケ。茶色の雄猫だ。
元々は保護猫で、彼女がどっかから貰って来た猫だった。彼を殺した日の事を今でも鮮明に覚えている。毛布の中に肉っぽい感触がして「シャー!」という怒鳴り声がする。この時は「ギャー!」という音の方が近かったかもしれない。彼は毛布から飛び出してガクガクと震えていた。おしっこを沢山漏らしてしまって、彼の周りに水溜りができていた。
その日から彼の体調は悪くなり2週間後には死んでしまった。
彼が死んでから彼女の機嫌も悪い。彼女は彼を何よりも愛していたのだから。新しい猫を飼うか提案しようかとも思ったがそういうものでもないだろう。彼女に猫のぬいぐるみを買って持っていった。茶色で、できるだけ毛の感触が彼に似ているやつを。
それにしても彼には酷い事をしてしまった。彼が5キロだとして僕は60キロな訳で、僕は彼の12倍で。
僕が、720キロの黒毛和牛に踏まれるようなものだ。
この罪を償う為に将来、僕が死ぬ時はトラックにでも轢かれるのかもしれない。
忘れたいがわすれられない。いっそ彼に出会わなければよかったとすら思う。ああ、でも彼に出会わないという事は彼女にも出会わないというわけで、大変悩ましい。
でも多分、近いうちに僕は振られるだろう。
ありがとうございました。




