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第52章

第52章

その日、前の夜から魔王領には出店が並び、夏祭りのような活気が溢れていた。


街はたくさんの花で飾り付けられ、いつの間にか設置されていた広場のステージでは、生演奏に合わせて踊り子が踊っている。


現在アルヴィスが滞在しているため、王都扱いとなった辺境の町から代表して、国王のアルヴィスはもちろん、ティントルテン伯爵や甥のアルゼン、レオ、大司祭などが招待されていた。



「お祝っす〜!」


辺境の町でも魔族が率先して夜からお祝いムードで、伯爵邸の獣人たちは張り切って町を飾り付け、タルタルなども次の日の就任式生中継に合わせて皆で観覧するために、巨大スクリーンの設置に勤しんだ。


新魔王がカイルであることもあり、魔王領でも辺境の町でもプリ剣グッズの売り上げが凄まじい。



その頃、水晶宮では、カイルの最終就任式に向けたチェックが進められていた。


「ほ、本日はおあつまりイタダキマシテ……っ」


まるで棒読みロボットのように挨拶の練習を繰り返すカイルに、イリューシアはやんわりと微笑む。


「みんなー、ありがとう!よろしくー!だけで充分ですわ」


「でも……ちゃんと挨拶しなくちゃ……」


一方で、そんな真面目なカイルをしり目に、会場装飾の準備にミナ、アルヴィス、アルゼンは勤しんでいた。


「やはり、『闇の帝王・カイル爆誕』と入れるべきではないか?」


「いやいや、『かっこかわいい剣士くんをよろしく!』のほうがいいでしょ〜!」


「……普通に『カイル魔王 就任の義』でいいと思いますが」


三者三様の主張がぶつかり合い、結局、三人は横断幕ではなく、それぞれが好きなフレーズを書いたうちわを持つことで合意した。


「ボクもかいていいですか?」


パタパタと翼を動かしながら、ターリィがやってきた。


「いいよ!いっぱいあるからぁ!」


ミナは大量にうちわを出すと、ティントルテンやレオも寄ってくる。


「せっかくだから、私にも書かせておくれ」


「名前書いときゃいいんだろ?手伝うぜ」


すると、イリューシアの夫の獅子の獣人までもが参加する。

最後はイリューシアまで参加して、カイルはガチガチに挨拶の練習に勤しむのであった。



☆ミナの推し観察日記☆

うちわには剣士くんの似顔絵に、『尊い』『萌え』『かわよ』『尊死』……。


あとは、『こっち見て』『ウィンクして』『へそチラして』『パンチラして』っと!


あとはあとは…『プリンス様とイチャイチャして!』『ちゅーして!』


二人の絡み絵の巨大ポスター印刷して貼っちゃお〜♡

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