第51章
第51章
リルルがレオやアルヴィスにカイルの叔父だと挨拶した時、カイルは壁際に同化して目立たないようにしていた。
「なんで剣士くん隠れてるの?」
ミナの問いかけに、カイルは言った。
「あんな変態が叔父だなんて恥ずかしい…消えたい…」
そんなカイルの視線の先には、しきりにアルヴィスの首筋の匂いを嗅いでいるリルルが。
「キミがアルヴィスくんかぁ。う〜ん、いい香りだね。ねぇ、僕も試してみない?」
「いや、我には我が剣だけが…」
しかし、カイルにそっくりなリルルに誘惑されてアルヴィスは茹でダコのように真っ赤に染まり、しどろもどろに答えている。
「夢魔ってみんなああなのかな…。ビビも変態だったし」
カイルはビビにされた色々な授業を思い出す。
羞恥心を克服すると言って、女性の下着のような衣装を着ろと強要したり、指を舐めろと言い出したり…。
「夢魔ヤダ。俺も変態だと思われる…」
「変態になっちゃえばいいじゃん。あたしの本みたいに!」
ミナは「読んで、読んで♡」と、薄い本をグリグリとカイルの頬に押し付けた。
「嫌だ。絶対読まない」
ミナから薄い本を奪うように受け取ると、カイルは窓から本を投げ捨てる。
「あぁ〜、あたしの萌えの結晶がぁぁぁ」
ミナは本を追いかけて、窓から外へ出て行った。
カイルが里帰りしていると聞いて、ティントルテンとアルゼンがギルドへやって来る。
「やぁ、カイル。衣装は決まったかい?」
「いや…全然です…」
ティントルテンにそう聞かれると、カイルはリルルを遠目に見て答えた。
「人間の暮らしが長いからかな?夢魔の魅力を引き出しつつ、カイルの個性も出そうと思ったんだけどね〜」
リルルはこれまでのデザイン画を見せると、アルヴィスとアルゼンは呼吸が苦しいのか、胸を押さえながら顔を赤くして息を吐いた。
「我が剣の禁断のエロスっ…!!」
「このお方は天才かっ…!?」
二人の悶絶ぶりに、ティントルテンもデザイン画を覗く。
と、それは襟を合わせただけの衣装で、胸元を大きく露出させ、しかし下品になり過ぎないようにハイネックのノースリーブを中に仕込み、下半身はマーメイド型のロングドレスに大胆にスリットを入れ、網タイツを穿かせて美脚を強調するものだった。
「これは…確かにカイルの趣味ではないな」
ティントルテンは苦笑いする。
「我が剣のために、我が闇の力を貸してやろう!」
アルヴィスがペンを握り、何やら紙に描き出す。
それは、黒い羽根で作ったファーの片マントに漆黒の翼の紋様。
しっかりと合わせられた襟は騎士風に金の縁飾り。
ふくらはぎまである長いブーツには謎の金のフリンジ。
そして、全て真っ黒だ。
「なにそのカラスみたいなヤツ…」
カイルは壁際から出てこようとしない。
「では、私からもご提案を…」
アルゼンも紙にペンを走らせる。
アルゼンが描いたのは、真紅の長く引きずるほどの丈の裏地に白いファーをあしらったマント。
上衣には襟付きの装飾が品良いシャツに、細身のズボンに革製の短いブーツだ。
襟にスカーフを巻き、マントに合わせて真紅の宝石をあしらったブローチで留めている。
「ちょっといいかも。でも、マントが派手すぎないか?」
カイルが少し身を乗り出す。
リルルが言うには、就任式といってもゆるい式らしい。
魔王領は基本ゆるゆるだ。
魔王を決める時も、ゆるーい感じに終わったのをアルゼンもスクリーンを通して見ていた。
「それなら…」
アルゼンはマントを腰辺りまで短くし、裏地のファーも外してカイルが身につけやすいよう、軽くする。
「うわぁ…やっぱり貴族は違うな」
そのデザイン画を見て、カイルは少し視線をあげるとアルヴィスを見た。
「………アルは王族なのに…。変なカラスみたいな衣装…」
「違う!イメージはブラックドラゴンだったのだ!」
何はともあれ、無事に衣装が決まった。
「王室に仕えていた経験が生カイルを救った…」
「……っ!??」
アルゼンの独り言に、気付かないフリをしたカイルであった。
☆ミナの推し観察日記☆
剣士くんの衣装、透けるとかヘソ出しになるとか、ズボン溶けちゃうとかないのかなー?
ないのかなー?
ないのかなー?
スケベハプニング募集中☆




