番外編『リベンジは盟約リング』
番外編『リベンジは盟約リング』
「ヒューイ!今すぐ愛を叫びたくなるような盟約リングを作るのだ!」
辺境の町へやって来たアルヴィスは、冒険者ギルドへ顔を出したあと真っ先に錬金術師、ヒューイの元へ向かった。
「アルヴィスさんでねぇですかい。ヤケ酒するなら他を当たってくだせぇ」
国王陛下になんたる物言い。
通常なら死罪に値するが、アルヴィスは全く気にしない。
「ヤケ酒などしない!ほら、持ってきていないであろう!」
酒瓶を持っていないことを、手を振りながらアルヴィスはアピールする。
「実はな…我が剣と婚約したのだ!」
自慢げに婚約証明書を掲げるとアルヴィスは言った。
「婚約指輪という名の盟約の証の製作を依頼する」
「へぇ…。そりゃおめでとさんです。で、どんな指輪にしますんで?」
ヒューイは指輪がまとめてある資料を探しながら、アルヴィスが好みそうな素材を思い浮かべた。
「そうだな…。色は金」
「珍しっすね。黒系じゃないんで?」
ヒューイは資料を開くと、色々な形の指輪のデザインが記してある。
「我が剣との盟約リングなのだ。我が剣が飽きぬ永劫なる造形…真実なる輝きこそ相応しい!」
「なるほど?普通でいっすね」
「普通などとまとめるな!真実なる永劫の輝きである!」
ヒューイはそれを聞いて、基本素材は純金であると判断し、指輪二つくらいなら在庫があったはずだと探し始める。
「その真実は七色に光輝き…!光の加護により魂を映し出す…!」
「つまり、光に当たると七色っすか…」
思い当たるのは虹晶石。
小さくシンプルに埋め込めば、アルヴィスの要望に応えられるだろう。
「我が剣のリングには、夢魔の魔力を制御するものを」
「あー……カイルさん、知らないうちに魅了振りまくっすからねぇ」
「そして、我が剣との絆が決して離れぬよう、互いの鼓動が響き合う術を刻みたいのだ…」
「要するに行動認知っすか。GPSっすか。ストーカーっすか。最悪っすねぇ」
「我が剣の安全の為だっ!!」
ヒューイの小言に、アルヴィスは声を荒げる。
「盟約衣は失敗に終わった…。次こそは、受け取って貰わねば…」
「へいへい。カイルさんは実用的っすからね。魔力抑制があれば大丈夫じゃねぇですかい?」
そんなヒューイの言葉は見事に当たり、カイルは目を輝かせて喜んでくれたそうな。
「嬉しいが…嬉しいが…!我としては婚約だ、やったーと喜んでほしかったのだーーー!!」
ヤケ酒はしなかったが、ヒューイは愚痴を散々聞かされる事になってしまった。
「『愚痴厳禁』も扉に貼っとこうっすかねぇ…」




