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第50章

第50章

カイルはリルルに衣装デザインの依頼をきっぱりと断り、辺境の町へ里帰りしていた。


「もっと、もっと僕の悪いところ言って♡断る理由に、もっと冷たさを盛って♡」


と、リルルに請求されたが、その時のカイルの目つきだけでリルルは満足したらしく、すんなりと衣装デザインの仕事から降りてくれた。


「はぁ…。リルルさんは本当に俺の叔父さんなのかな…」


ため息をつくカイルに、ミナはそわそわしている。


「ドS剣士くん×ドM夢魔の新ハプニング〜プリンス様は剣士くんを救う〜」


「別にドSじゃないし…」


「うん!ドじゃないけどSだね!」


いきなりリルルの声がして二人は振り向く。


「ついてきちゃった。えへっ☆」


「やだー!あざと可愛い剣士くんだぁ♡」


顔だけはカイルにそっくりなリルルである。

ミナに褒められて、リルルはぶりっこポーズをする。


「やめて…気持ち悪い…」


カイルはそれを見て蒼白な顔をした。


「そんな顔しないで!萌えるけど!」


「萌えるんだ…」


呆れながら歩いていると、いつもの冒険者ギルドに到着し、ホッと懐かしさが込み上げてくる。


カイルが扉を開くと、冒険者ギルドと言うより創作ギルドのような雰囲気で、冒険者たちが慣れない手つきで漫画を描いていた。


「………なにこれ…」


「これはこれは魔王陛下」


タルタルが丁寧にお辞儀する。


「皆、遊んでいるように見えますが、依頼の合間の趣味ですので」


「副ギルドマスター、今まで通りカイルでいいですよ」


「そうですか」


タルタルは眼鏡をクイッと上げる。


「で、その純血夢魔はどちら様で?」


ギルド内が一気にリルルに注目した。

視線を浴びて、満点の笑顔をリルルは振りまく。


「視線のシャワーだ!どうもぉ〜、カイルの叔父のリルルでぇっす!カイルに精力吸われる模擬体験したい奴らはリルルの前に並べよこんちくしょう♡」


「え!?今度は俺様なの?俺様キャラなの!?剣士くん俺様バージョン〜♡」


リルルの前には行列ができている。

カイルは興奮するミナとリルルを置いて、そっとタルタルと抜け出した。


「しかし、どうしたのですか?魔王就任式の準備で忙しいのでは?」


「それが…衣装が変なのしかなくて…」


タルタルに愚痴を零しながら執務室に行くと、レオが驚いた顔をしてカイルを迎えた。


「カイル、どうした?」


「それが…」


カイルが言いかけた時、いきなり正面から腰に手を回し抱きしめられる。


「我が剣よ、会いたかった!」


「え!?アル!??」


アルヴィスはそのままカイルの額にキスを浴びせる。


「ちょっ!なにすんだよ!」


困惑するカイルに、アルヴィスはカイルの手を取り指輪を嵌めた。


「カイル、我は必ず幸せにする」


「………は?」


事態を飲み込めないでいるカイルに、レオはため息をつきつつ一枚の書類を見せる。

それは、カイルとアルヴィスの正式な婚約証明書だった。


「……はぁ!?」


カイルには身に覚えがなかったが、そこには確かに自分の署名がしてある。


「悪ぃ。大司祭が正式に発行しやがったもんだから、俺には取り消せねぇ」


レオは罰が悪そうに明後日の方向を見る。


「…この指輪…」


カイルの指に嵌められた指輪は金色で、光に当たると美しく七色に輝いた。

アルヴィスも自分の指に嵌っている同じ指輪を見せながら言う。


「そう、これは婚約指輪と言う我らが永遠(とわ)に繋がりし盟約の証…。魂は深淵なる…」


「これ、夢魔の魔力抑制ついてんじゃん!めっちゃ嬉しい!ありがとな!」


「あ…そこ…?」


アルヴィスは受け取って貰えただけでも良しとする事にした。



☆ミナの推し観察日記☆

リルルさんマジえろい。

やっぱり夢魔だー!

えろ剣士くんだー♡


って、リルルさん観察してたら、プリンス様が剣士くんに婚約指輪はめてた!

プリンス様、受け取って貰えてよかったね♡

盟約衣の時は捨てられちゃったからね〜。

剣士くんったら照れ屋さんだからね〜♡

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