第48章
第48章
王都にいるアルヴィスは、魔王との婚約を王室からの公式文として発表した。
魔王、すなわち恐ろしい者との婚約で民は大いに戸惑ったが、大司祭お墨付きであるため、不安ながらも仕方なしに祝福した。
その後、アルヴィスは婚約者の近くに少しでもいたいと、辺境の町への引っ越しを表明。
「本当はすぐにでも魔王領と統一して、カイルと一緒に水晶宮で暮らしたいんだが…」
大司祭曰く、『婚約』ではまだ効力が弱いとのこと。
『結婚』するまでは、魔王領と人間領の境界は維持しなければいけないそうだ。
魔王領へ出かけていたティントルテン伯爵は、ミリアを連れて戻り、アルヴィスを迎える準備を始めた。
「おじ上!王家の紋章は必ず掲げなければいけません!」
「アルヴィスはそういうの嫌いだろ?いらないんじゃないか?」
相手は気心の知れたアルヴィスだ。
「アルヴィスの好みだし、なんか黒ければいいだろ」と適当に考えていたら、すかさずアルゼンに鋭く睨まれるのだった。
エドワードを裏切り逃げて来たが、やはり王室に仕えていただけあって、装飾など格式にはアルゼンは強いこだわりを見せる。
「アルヴィス殿下…いや、陛下…。やはり本のようにカイル一筋なのだろうか…」
すっかりプリ剣に染まっているアルゼン。
そんなアルゼンをこっそり指差しながら、クロックは笑いを堪えてティントルテンに手を差し出す。
ティントルテンはクスッと笑いながら、クロックの手の平に金貨を一枚落とすのであった。
その頃、リルルに色々と聞いたあとカイルは呆けていた。
まさか自分の身体が両性具有だとは…。
ミナは目をキラキラさせて、新刊を描き直すと言っていたが…。
「いやいやいや、混血だし、完全に男の可能性もあるよな?」
「確かめてあげるー♡」
ミナの馬鹿力で脚を掴まれる。
「ばっ!やめろ!」
ミナの顔面を蹴り倒し逃れると、カイルは自室に逃げ込んだ。
「もし俺がそんな体なら…とっくに気付いてるよな…?」
カイルは自分に言い聞かせるようにしながら、確かめるかどうか迷っていた。
正直怖かったからだ。
すると、部屋をノックする音がする。
ミナが追いかけてきたのでは?と警戒していると、扉の向こうから声がした。
「ターリィです。夕飯の時間ですよ」
ターリィの声にホッとしたカイルは、扉を開けて一緒に食堂へと向かう。
するとターリィから意外な一言が…。
「カイル様は男性ですよ」
「……へ?」
カイルは思わずターリィを見る。
「ボク、吸血鬼ですので、血の匂いでわかるんです。女性の血は甘くて、男性の血は少し酸っぱい匂いがします。両性具有は苦いです」
しかし、ターリィは血は生臭くて嫌いだと言っていた気がするが…。
「皮膚下に流れる血の匂いは好きです」
「そ、そうなんだ…」
改めて魔族は色々いるな、と思い知らされるカイルであった。
☆ミナの推し観察日記☆
剣士くんは完全に男の子かぁ!
ターリィくんが言ってたぁ。
それなら、ぜひとも女装を…
あっ!そうだ!
そっかぁ!そうだった!
魔王就任式は女装がいいね♡
リルルさんにお願いしなくっちゃー♡
新刊直さなくても大丈夫そ〜!




