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第47章

第47章

「夢魔らしく、これなんかいいんじゃない?」


ミナが取り出したのは、布面積が少なすぎるパンツとブラのセット。


「それ、女用の下着だろ」


「では、これはいかがかしら?」


イリューシアが取り出したのは、フェイクファーがたっぷりついた襟のマントに、メルヘンな世界の王子のようなカボチャパンツと白タイツ。


「うわぁ…」


カイルは顔を引きつらせながら、そっとカボチャパンツを戻した。


「だめですよー。ここはデザイナーと相談しながら誂えないといけません」


ミリアが長い耳をピクピク動かしながら言った。

さすがは人間の貴族に仕えているだけはある。

手際よく有名デザイナーに魔王城に来てもらうよう手配をしてくれた。


「ミリアは優秀だろう?」


自慢げにティントルテンは胸を張る。


「まぁ!デザイナーに来てもらうなんて発想はありませんでしたわ!」


魔王陛下は意外と庶民的なようだ。


数分後、やって来たデザイナーの容姿に一同は驚いた。

カイルをもっと成長させたような、そんな男性夢魔だったからだ。

違うところと言えば、髪色と同じ色の角が控えめに髪の間から見えている。

角にはピアスをし、髪飾りのようにも見え、服装も夢魔らしくなく露出が控えめだ。


「もしかして、カイルパパ…?」


ミナが呟く。


「いやいやとんでもない!お初にお目にかかります、僕はリルル。カイル新魔王陛下の父の弟にあたります」


デザイナーの夢魔、リルルは丁寧に挨拶してみせた。


「こうしてカイルに会えるなんて…超絶に嬉しさ爆発してるから鼻水が止まらない!兄のラルルにそっくり過ぎて、もう洪水の嵐だー!」


言い方は独特だが、リルルは甥との対面に涙をポロポロ流した。

……確かに、鼻水もひどい。


「………父は、どんな人ですか…?」


カイルはおずおず尋ねると、リルルは太陽のような笑顔に瞬時に変わり、こう言いきった。


「変人だったよ!あ、僕には敵わないけど!あはははは!!ちなみにね、ラルルは双子の兄なんだ」


「そ、そうなんですか…」


カイルは戸惑いながらも相槌を打つ。

カイルの父、ラルルがリルルの兄ならば、カイルのこの性格は母親似か、環境の影響が大きいかもしれない。


「で、魔王就任式の衣装ね!カイルにピッタリなカッコイイのデザインしてあげるよ」


「あ、あの…、父ってご健在なんですか?」


採寸を始めようとするリルルをカイルは遮る。

すると、リルルは寂しそうに目を細めて言った。


「カイルは人間領で育ったから知らないかもしれないね。夢魔はね、本気の恋をすると、その相手からしか精力を摂取しないんだよ。……ラルルは、国境の山で倒れていたのを発見されたんだ。極度の栄養失調で、ラルルの相手が誰だか分からず、精力を与えることができなかったんだ」


シンと静まり返る中、ミナがスケッチブックに走り書きする音だけが聞こえる。


「夢魔ってエロいだけかと思ってた!めっちゃロマンチックじゃん!」


しかし、はたと手を止めて疑問を口にした。


「あれ?その本気の恋が片想いだったらどうなるの?」


「気が弱い夢魔なら、死んじゃうね。だって、その人からじゃないと、精力が摂れないんだもん」


その答えに、ミナは衝撃を受ける。


「け、剣士くん!死んじゃダメだよ〜!?」


「死なねぇし。人間の食べ物で栄養取れるし」


「あっ!でも大丈夫だねぇ♡プリンス様とラブラブだもんねぇ♡」


「ラブラブじゃねぇし…」


そんな中、リルルはあっけらかんと言った。


「うん、カイルは大丈夫だね!混血だからか、アルヴィスくんじゃなくても大丈夫みたいだし?」


リルルはR指定のプリ剣と、プリ剣から派生した二次創作『カイル総受け』本を懐から取り出して眺める。


「ちょっ!それただの創作ですから!」


同人誌を本気にしている人が多すぎる…。

カイルは頭を抱えたが、現実にアルヴィスと婚約者同士になっている事を本人はまだ知らない。



☆リルルの夢魔情報☆

カイル!ちゃんと避妊しようね!

赤ちゃん欲しいならいいけどね!

夢魔は性別転換できるけど、あれ実は転換してるわけじゃないからね?

体内収納したり、出したりしてるだけ。

夢魔は見た目だけ男女変化できるってだけ!


ぶっちゃけると…

僕らは両性具有ってやつ?

カイルにちゃんと教えなきゃ♪

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