第46章
第46章
『プリンス様へ!
王都の様子はどう?
こっちは、剣士くんが魔王になったよ!
まだ、魔王就任式はこれからだけど、来れそうかな?
そうだ!
婚約の正式文書を一緒に入れとくね♡
剣士くんはもう署名済みだよ♡
魔王に就任したばっかりで、バタバタしてたから、とりあえず書いてもらったの!
プリンス様も署名して、大司祭様に渡しといて〜☆
ミナより!』
「こ、ここここ、婚約!ついに、我と我が剣が…!」
アルヴィスは驚きと喜びで震える手で、手紙を握りしめる。
「ミナ様ひどいんですよ。カイル様が忙しくて、色々サインしなきゃならない書類に潜り込ませたんですよ。サギです、サギです。トリムネはハトです」
トリムネの言葉が耳に入らないのか、アルヴィスは意気揚々とペンにインクをつけて婚約証明書にサインしている。
「これぞ契約の証ぃぃぃぃ!!!」
その頃、新魔王お披露目式の衣装で、カイルとミナが揉めていた。
問題の衣装は、もちろん『透ける軍服』だ。
「そんなの着ないからな」
「なんでなんでー?せっかくなんだから、オシャレしなくちゃー!」
「なんで透けるのがオシャレなんだよ!」
それなら!とミナは違う衣装を取り出す。
「これは?」
それはごく普通の白いブラウスだが…、
「これ、デカイだろ。サイズ合わないし……ズボンは?」
「ズボンはないよ!大丈夫、シャツが大きいから、ギリ見えないよ☆」
「そう言う問題じゃないだろ!」
ちなみに、アルヴィスのシャツを拝借してきたらしい。
「彼シャツ〜♡尊い〜♡」
「着ないからな?アルにちゃんと返せよ」
すると、聞き覚えのある声が……
「お困りのようだね。ここは、人間の貴族流の正装なんかはどうかな?」
ティントルテン伯爵だ。
「せっかく人間領で育ったキミが魔王になったんだ。人間の習慣を見せる絶好の機会ではないかな?」
ウィンクしてキメ顔をするティントルテンだが、一緒に来ているミリアの長い耳をしきりに撫でている。
「そうだ、うさぎのキグルミなんてどうかな?」
「それのどこが貴族の正装だよ!」
伯爵に対し敬語を忘れて、カイルは罰が悪そうにする。
「ははは、気にするな。もう魔王なんだぞ?私より位は上だろう?」
ティントルテンはそう言うが、辺境の町の領主だ。
魔王城で暮らす事になっても、カイルにとっては『自分の町の領主様』なのだ。
「まぁまぁ、まだまだ日がある事ですし、ゆっくりお決め致しましょう?」
そう言いながら、イリューシアが大量に衣装を持ち込む。
「さぁ、カイル様のファッションショーですわー♡」
「いえーい♪」
イリューシアもミナもノリノリだ。
「イリューシア様がミナの親戚だってなんかすごく分かる気がする…」
衣装の多さにカイルはうんざりしながら呟いた。
☆アルヴィスの中二言語日記☆
我が剣との真の契約、ここに記されし。
共に闇の僻地へと、我らを誘うは森の民。
今すぐ参ろう、我が魂は剣の元へ!
(ミナ風訳:婚約したぞー!ひゃっはー!
イリューシア魔王陛下も魔王城においでーって言ってるぅ♡
今すぐ剣士くんに会いに行くぅ♡)




