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第40章

第40章

「えー?着ようよ〜」


ビビはカイルに近寄り、胸を強調するようなポーズで尻を振る。


「だから、無理だって!中に着てるだけでももうダメ!死ぬっ!」


「死なないよ〜?」


カイルは羞恥心を克服するどころか、ビビが持ってきた女性用下着のような衣装を普段の服の中に仕込んで数日経つも、恥ずかしさを拭いきれなかった。


「おい、ビビ…。カイルはよくやってんだぜ?ドMの変態じゃなきゃ、こりゃ慣れねぇよ」


レオが居ても立ってもいられず、二人の間に割り込む。

レオの介入でカイルがホッと安堵すると、ギルド内の雰囲気も自然と和やかになった。


「へぇ〜…」


そんなギルド内の様子を察したビビはこんなことを言った。


「羞恥心の克服は仕方ないね。カイルくんには、純血夢魔にはない魅了の仕方だし」


腰をくねらせて、ビビは違う課題を出す。


「うちの指、舐めて♡」


「………は?」


突拍子もない課題に、カイルは固まる。


「こんな風に!」


ビビはプリ剣本を取り出すと、アルヴィスの指をカイルが舐めるシーンを掲げる。

それは濃密に、かつ艶っぽく描かれていた。


「それはミナの妄想…」


いつものミナのか…と、ため息をつくカイルだが、熱を出したカイルがアルヴィスの精力を吸ったことは覚えていないらしい。


「ふーん?妄想?こんなに正確に妄想できるのぉ?」


ビビは不思議そうに本を眺めた後、カイルに本を押し付ける。


「じゃ、これ読んで勉強しなさーい。それ、精力の吸い方正しいし、初心者向けだから」


「ふーん…?」


カイルはページをパラパラめくってみると、アルヴィスの指を舐めたり吸ったり、指と指の間まで丁寧に舐める描写がしてある。


「うわっ!無理っ!」


カイルは思わず本をゴミ箱に突っ込んだ。


「ひっどーい!うちの愛読本になんてことすんのよぉ!」


二人がギャーギャー騒いでいると、タルタルがゴミ箱から本を拾い上げた。


「いけません。本には叡智が詰まっています。大切に扱うべきです」


その本を丁寧にビビへと手渡すと、ビビはパッと明るい顔になり、


「そうそう、えっちな叡智が詰まってんの!」


「うわ……」


カイルは一歩、ビビから距離を取った。


「そうそう、今しがた王都から伝令が入ったのですが、戴冠式が行われたそうです」


「戴冠式?……アルか?」


タルタルがギルド同士で連携している報告書を取り出し、静かに語ると、レオが身を乗り出す。


「ええ。アルヴィスです。エドワード殿下を投獄し、王都の復興に勤しんでいるようですよ」


「アル…」


カイルはその名を静かに呟き、自分の中に込み上げる想いを確かめるように、拳を握りしめた。


その様子を見て、レオがぽんとカイルの肩を叩く。


「まぁ、そう気おうな。てめぇはてめぇのできることをしろ」


「……うん」


カイルは小さく、しかし確かな声でそう答えた。


「おっと、耳が速ぇな。迎えが来たぜ」


ギルドの外に、見覚えのあるペガサスがひく馬車が止まっている。

そこから出てきたのは、魔王イリューシアだ。


「ごきげんよう。小鳥のさえずり、木々のざわめきに、カイル様、あなたをお迎えするように承り、参上いたしました」


イリューシアの白銀の髪が、光に照らされピンク色に輝く。


「わたくしの勘違いのようなら、断って頂いてもかまいませんわ」


「…………」


カイルは、少しの沈黙の後、覚悟を決めたように頷く。


「行きます」


(アルも頑張ってるんだ。俺がやらないでどうする)


カイルは再び魔王領へと旅立って行った。

たくさんの不安と、固い決意を胸に秘めて。



☆ミナの推し観察日記☆

あーーーー!!

もう!

なんで体はひとつかなー!?

剣士くんがどうしてるか気になるぅ!

剣士くんがプリンス様以外に犯されてたらどうしよう?

心配だから帰ろっと!

るんるん♪

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