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番外編『女夢魔の秘密のレッスン』

番外編『女夢魔の秘密のレッスン』


レオは、森の中にある国境にカイル、アルヴィス、ミナを連れて来ていた。

いや、ミナは勝手についてきた…

と言うより、ストーキングして来ただけなのだが。


レオはとある夢魔を紹介する。


「こいつは夢魔のビビだ」


「チョリーッス」


ビビと呼ばれた夢魔の女は軽快に右手を上げ、砕けた敬礼をした。

ビビはスラリと細い、瑠璃色の角が生えていて、服とは言い難い下着のような服装をしている。


「キミがカイルくんかぁ。お姉さんが色々教えてあげるね♡」


カイルに近付こうとするビビの前に、アルヴィスが立ちはだかる。


「カイルに何をするつもりだ!?」


レオはそんなアルヴィスとビビにため息をつきながら言った。


「ビビ、誤解させるような言動すんじゃねぇ。アル、ビビには夢魔の生態を教えてもらうだけだ」


「そーそー、別にカイルくんをどうかしようとかー、思ってないしぃ?」


そう言う割には、ビビはカイルを見て舌なめずりしている。


「………っ」


カイルはその視線に居心地悪く、目を逸らした。


「プリンス様、怪しい女から剣士くんを守る彼氏力♡」


ミナは座り込んでスケッチブックを取り出す。


「で、貴様はどんな夢魔の生態を紐解くのか」


腕を組んで、アルヴィスはビビを見下す。


「紐解くってか、うち夢魔だしぃ?そのまんま伝えるだけだしぃ」


「そのままとは何なのだ」


アルヴィスはビビを見下したまま語尾を強めた。


「そうねぇ、たとえば…」


ビビの角がほんのり光を放つ。

アルヴィスはその角を見ると、たちまち立ちくらみがした。


「ぐっ…」


アルヴィスは膝をついて俯いてしまう。

ビビはアルヴィスの顎を指で持ち上げて、顔を上げさせるとおもむろに唇を寄せた。


「な、なにをっ!?」


アルヴィスは顔を真っ赤にしながらも、避けようとはしない。


ミナがショックのあまりスケッチブックを投げ出すと、レオがビビの肩を抑えた。


「ビビ、そこまでだ。捕食すんなら違うヤツ狙ってくれ」


「ほ、ほしょく…?」


アルヴィスは心臓をバクバクさせながら、腰が抜けたようにへたり込む。

そんなアルヴィスに視線を合わせるように、ビビはアルヴィスの前でしゃがんだ。


「そうだよ。さっきのは魅了。嫌じゃなかったでしょ?むしろ、うちとキスしたかったっしょ?」


「ウ、ウソだ…。我がカイル以外にトキメクとは…」


青ざめて歯をガチガチ鳴らすアルヴィスを、カイルは見下ろす。


「え?俺にトキメいてんの?キッショ…」


「キモイとかやめてー!」


アルヴィスは違う意味でも青ざめた。


「んじゃー、説明しまーす」


ビビは何処からともなくホワイトボードを用意すると、白衣を着て眼鏡をかけた。


「なんで白衣…?」


「あいつ、昔から形から入んだよ…」


カイルの疑問にレオが答える。


「はーい。ちゅーもく!」


ビビはホワイトボードに『栄養源』とデカデカと書いた。


「夢魔の栄養源は、他人の精力です。摂取の仕方は、肌を舐めたり、涙をなめたり、唾液を舐めたり!」


「ふむふむ…」


何故かミナが懸命に聞いている。


「んで、一番の摂取方法は…せい♡こう♡…いぃ!?」


ビビが言いかけると、アルヴィスが慌ててビビの口を両手で塞ぐ。


「我が剣に不埒な事を吹き込むな!」


「ちょっとー!なにすんのよぉ!いいじゃん、あんたらすでにヤッてんでしょぉ!?」


ビビは堂々とプリ剣R指定本を取り出し、ベッドシーンを掲げる。


「あー…、それ、全部ミナの妄想だから」


カイルの答えに、ビビは動きを止める。


「え…そうなの…?混血とはいえ、夢魔なのに信じらんない!栄養失調とかなんないわけ!?」


「え?別に」


カイルはサラリと何食わぬ顔で言う。


「まぁ…人間の血の方が多いんだろうな。食事は俺らと一緒だぜ?」


レオがそう言うと、ビビはふらふらと歩き出し、


「それじゃ、うち意味ないじゃん…。レオのバカァ」


と、走り去ってしまった。


「ふんふん、一番の栄養摂取方法は…」


ただ、ミナだけは真剣にスケッチブックにビビのした話をまとめているのだった。

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