番外編『ティントルテン辺境伯』
番外編『ティントルテン辺境伯』
私はティントルテン。爵位は伯爵。
ティントルテン家は代々辺境の町を王家より賜っている、由緒ある家柄である。
町外れの小高い丘に屋敷を構え、人間領よりも魔王領がよく見渡せる。
私の趣味は双眼鏡で魔族ウォッチング…
ゲフンゲフン。
私の仕事は魔族たちの監視である。
私は魔族を監視する為、魔族の一種である獣人族を使用人として雇っている。
オオカミ族とウサギ族を雇って、小グループに分け、オオカミ族と人間の中に一人ウサギ族を入れる。
ウサギ族を何故入れるか?
それは、いきなりの訪問客などに対応する為だ。
ウサギ族は耳がいい。
よって、訪問客の足音を即座にキャッチ。
客に気付いたウサギ族が足で床を蹴ると、屋敷中に伝わる。
それを聞いたそれぞれのウサギ族が、グループの長に誰が来たか、人数などを報告。
私もそばにウサギ族を置いている。
直ぐに対応可能、と言うワケだ。
そして、何故オオカミ族かと言うと、オオカミ族は縄張り意識が高いため、グループ事にここからここまでと決めてやると、その中ならば懸命にこなすプロフェッショナルだ。
それに、オオカミ族は序列に厳しい。
グループの上にウサギ族、その上に人間と決めておけば、ウサギ族を虐めることも人間を見下すこともない。
もちろん、主である私にも敬意を表してくれる。
獣人族は見た目は人間に動物の耳や尻尾をつけたくらいで、特に違和感もないし快適だ。
成人した獣人族は耳と尻尾をしまって人間に擬態できるし、有事の時にも便利である。
昨今はプリ剣の影響で夢魔族が人気だが…
私はやはり獣人族が…
あの耳と尻尾が揺れたり、ピコピコ動いたり、もふもふしていて可愛い…
ゲフンゲフン。
私は生粋の貴族である為、魔族は嫌悪している。
勘違いしないで欲しい。
その時、屋敷が揺れるほど何処かに配置されたウサギ族が床を蹴った。
「ご主人様、大変です!鎧の人数名と、立派な馬車がこちらに向かっています!」
「立派な馬車だと?」
私はウサギ族の報告で、直ぐさま双眼鏡にて馬車を確認する。
あれは、王室の…!
連絡もなく来るとは、いくら王族でも傲慢すぎる。
「ミリア、使用人は全て人間に擬態!あの馬車は王室のものだ、もてなす準備を!」
「はーい!」
ウサギ族のミリアは、床を足で蹴ってウサギ族に報せる。
数分後、エドワード殿下が来た。
晩餐をして一泊したら、直ぐさま町へ降りていった。
町では何が起きているのか…?
いや、これは冒険者ギルドに任せよう。
そんな事より、使用人たちがバレなくてよかった。
うん、やっぱり私は獣人族派だな。




