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第22章

第22章

辺境の町では、王太子であるエドワードの魔族狩りや神話による光の魔力を持つ勇者の末裔の王族の血統主義が顕になると、プリ剣ファンが闇の民を守るために、各々立ち上がった。


それに、辺境に暮らす者たちは、魔族とある意味共存関係にある。

冒険者ギルドをはじめ、職人ギルドや商業ギルド、その他町に暮らす住民たちにも、闇の民を守る活動が広まる。


そして、それに呼応するかのように、王都の神殿の司祭たちが町を訪れた。

司祭たちは、うやうやしくミナの前で膝をつく。


「やはり奇跡の子、ミナ様が関わっておりましたか」


ミナって…何者?

さすがプリ剣の創設者。只者じゃない!


ミナは目を丸くして、司祭たちに聞く。


「どうしてあたしが関係あるって分かったの?」


司祭の一人が、プリ剣本をそっと取り出した。


「絵柄や突飛な話の構成…。ミナ様しかありえません」


王都にもプリ剣の薄い本が流布している事を示唆していた。


それは当然、王城にも………



「なんだ、このいかがわしい本は!今すぐ発禁にしろ!」


エドワードが執務室で薄い本を破り捨てようとして思い留まる。


「あ、兄上の肖像を破くなど、私にはできない…!」


机を拳で殴りつける。


「これは…危険思想な本ですね」


アルゼンも手に取って中身を確認する。


「私が代わりに処分しましょう」


「やめろ!その表紙の卑しい奴を塗りつぶして、額縁に入れて飾るのだ!」


「はいはい」


アルゼンはにこやかに笑いながらも、心中ではエドワードを嘲笑っていた。


王都では、プリ剣本の発禁、所持している者を闇の民を擁護していると言う理由で断罪。等など、魔族狩りから発展し、エドワードの暴君ぶりが際立っていった。



その頃、辺境では神殿に密かに伝わる『隠された神話』と『予言』を司祭たちから聞いていた。


古より伝わりし、秘されし言葉…


 

-『双翼の伝承』-


いにしえ、天はふたつの翼を持ち、世界を覆い給うた。


白き翼は陽を巡らせ、昼と祝福を授け、

黒き翼は月を抱き、夜と静寂をもたらす。


されど人、己が恐れと欲望に呑まれ、

白を神と称え、黒を魔と断ぜし時、

天の翼は引き裂かれ、均衡は崩れ、争いの世となれり。


白き翼は王に力を授け、血脈を護らせしが、

黒き翼は影に沈み、ただ再びの刻を待ち続けたり。


やがて現れん、『色なき者』。

その者、光にも闇にも染まらず、虚と実を見極む眼を持つ者なり。


-『終焉と始まりの予言』-


暁と黄昏、双剣が交わる時、

裂かれし翼は、再び天へと昇らん。


白き冠を掲ぐ偽りの王、討たれ、

黒き影のすえ、真なる均衡をもたらすべし。


その時、色なき者、己が選びし道により、

国は裂かれ、人は惑い、されど新たなる秩序が芽吹く。


全ては、選びし者の意志に委ねられん。-




司祭たちは、重々しくその言葉をミナへと伝える。


「ミナ様…あなたの魔力は『透明』、即ち『色なき者』である以上、この地の未来は、あなたの選択に懸かっております」


「そう言う重いのヤダ!あたしがしてるの、推し活だし!」


ミナは思いついたように手を叩く。


「別に予言通りじゃなくてもよくない?だったら…」


アルヴィスの腕を掴むと、上にあげさせた。


「相手が血統ってうるさいなら、めちゃめちゃ本物のサラブレッド、プリンス様が王様になっちゃえばいいんじゃん〜!」


「はぁ!?我は闇のプリンスだぞ!」


アルヴィスが否定すると、プリンスはプリンスだし。

と返され、司祭たちからは感動の拍手が舞い上がった。


真の人間の王子として、光の魔力を持つ闇のプリンスが燈台することになったのだ。

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