番外編『伝わらぬ愛情』
番外編『伝わらぬ愛情』
エドワードに仕える侍女のシーシャは、王妃のお茶の時間に王妃の相手をしていた。
「最近のエドワードはどうしているかしら?不自由なく、のびのび過ごせているかしら?」
王太子として、もう大人と同じ扱いをされているエドワードに、王妃は彼がまだ幼いこどもであるように心配をしている。
シーシャはそんな王妃が好きだった。
自分もエドワードが幼い頃から仕えているので、我が子のように可愛らしかったし、その気持ちは王妃と同じなのだ。
ただ、残念なのは…
王妃はエドワードの身を案じはするが、全て使用人まかせで、自分は近付こうとしない。
エドワードと言葉を交わしても笑いもせず、品格を優先する。
「エドワード殿下は立派になりましたよ。ただ…アルヴィス殿下が忘れられない様子で…」
アルヴィスの名前を出すと、王妃の眉がピクリと動く。
「アルヴィス?さぁ、誰だったでしょう?」
冷ややかに、王妃はティーカップに口をつけた。
「あれは、王家を捨てた人間です。エドワードには早く忘れるように言いなさい」
「はい…王妃殿下…」
王妃の物言いに、シーシャは身をすくませた。
しかし、それは愛情の裏返し…
アルヴィスへの想いで、エドワードが苦しいのを王妃は知っている。
そして、アルヴィスは今、自由に生きている。
自由を奪いたくはない…
とにかく、王妃は不器用なのだ。
「シーシャ、あの子を頼みます」
相変わらず厳しい表情で言う王妃に、シーシャは朗らかに笑ってみせた。
「はい、もちろんです」




