第19章
第19章
「やばっ!バレたっ!」
場違いなほど陽気なミナの声がギルドに響いた。
「…っ!!」
エドワードはアルヴィスに目を留めると、すっくと立ち上がり、アルヴィスの前で膝をつく。
「兄上!やっと見付けました…!」
そうして、隣に立つカイルを睨みつける。
「卑しい奴…まだ兄上を連れ回すか!」
エドワードは冒険者全てに聞こえるように振り向き、大袈裟に演説を始める。
「国の宝、アルヴィス王太子を攫ったのだ、この夢魔は!あろうことか魅了を振りまき、兄上を洗脳している!それになんなのだ、この媚びた格好は!」
エドワードはカイルのミニスカートを指差し叫ぶ。
カイルは自分が女物を着たままだったのを思い出し、赤面してスカートの裾を押さえた。
「……エドワード」
「はいっ!兄上っ!」
アルヴィスに声を掛けられ、満面の笑みを浮かべる。
「我が剣のミニスカート姿は最先端の流行だっ!」
いつの間に履いたのだろう…。
アルヴィスがマントを勢いよく脱ぐと、そこにはスカート姿のアルヴィスが…。
サイズが合っていないのか、ファスナーは全開、それでやっと腰に留まっている。
「あ!あたしのスカート!え、ちょ、いつの間に!?でもめっちゃいい♡麗しいおみ足っ!」
ミナは混乱しつつも、スケッチブックを握りしめ興奮気味に叫んだ。
「なんと!兄上のスカート姿!なんて眩しいのだっ」
ミナとエドワード、異なる意味で目を輝かせる二人の声がハモる。
「うわ…」
カイルはアルヴィスを横目で見てドン引きしていた。
その目が気に食わなかったのか、再びエドワードはカイルに食ってかかる。
「その目はなんだ、その目は!!お前のような下賤な夢魔が、兄上にそのような視線を向けるなど許されないことだぞ!!」
さらに興奮気味にエドワードは続ける。
「だいたい兄上は、輝かしいこの国の希望、王族の誇りだぞ!?それに比べてお前は!色気を振りまくしか脳のない、卑しいっ!ハレンチなっ!!」
言葉に詰まって赤面するエドワード。
それに対し、アルヴィスは言う。
「我も今まさに色香を放つ闇の化身。よってエドワード、貴様も我に魅了されたと思わないか?我が剣が色香を振り撒く卑しい眷属だと言うのなら、我も奈落に堕ちている!」
「よっ!さすがプリンス様!ハレンチ王子!」
ミナがノリノリで合いの手を打つ。
「さぁ、我らはハレンチの悪魔。共に逝こう」
アルヴィスはカイルの手を取る。
「いやいやいや、俺はハレンチじゃないからな!?」
顔を真っ赤にして否定するカイルを、アルヴィスは涼しい顔で見下ろす。
「ならば、我の眷属として、更なる堕落を受け入れるがよい」
悪ノリなのか、本気なのか、アルヴィスはカイルの腰に手を回す。
「近い近い!離れろ!」
カイルは今度は顔を青くして、アルヴィスから逃れようとする。
エドワードはと言うと、プルプル震えながら混乱し、唇を噛み締めている。
「くっ、兄上まで…っ!夢魔のせいで、兄上まで正気を失ってしまった…!」
エドワードは目に涙を溜めながら、ギルドの扉まで走る。
「夢魔のせいでっ!私の兄上がっ…!!」
そのままギルドから飛び出す。
騎士団も慌ててエドワードを追っていった。
「なるほど、夢魔に合わせてジェンダーレスの流行ですか」
副ギルドマスターのタルタルは、眼鏡をクイッと指先で直しながら呟いた。
「面白いですね。私も推奨しましょう」
そう言いながら、いつの間にかタルタルまでスカートを履いている。
シックながらもスリットが大胆に入ったスカートだ。
「副ギルドマスターまで!?」
普段は真面目な印象が強いタルタルなだけに、カイルは唖然とする。
そこで、戻って来たレオは呆れてため息をついた。
「おいおい、マトモなヤツはいねぇのかよ…」
☆ミナの推し観察日記☆
剣士くんを庇ってスカート履いちゃうプリンス様尊い…♡
タルたんまで乗ってくれるなんて、神なの!?
神でしょ!
プリンス様の下着は黒だったー♡←これ大事!




