第16章
第16章
町中を歩いていると、行き交う人々がカイルに見とれて足をとめる。
「視線が痛い…。この装備目立ちすぎんだよ…。みんな引いてるし」
「我が剣よ、堂々としていろ。皆、貴様の美しき容貌に見とれているのだ」
そんなアルヴィスに、不満そうにカイルは言う。
「どう見てもドン引きだろ…」
ミナがカイルのスカートをペロッとめくる。
「やめろーーー!!」
カイルは顔を真っ赤にしながらスカートを押さえ、アルヴィスや町の人々は目を見開いて凝視した。
「男物だー。つまんなーい。紐パン履いてよ、紐パン」
「我が剣になんて事を!恥を知れ、変態娘!」
アルヴィスも顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「青だった!」
ミナがカイルの下着の色を言うと、アルヴィスも
「あ、青だったな…」
と、視線を宙に漂わせながら相槌を打つ。
「見てんじゃねーよ!」
アルヴィスまで変態化していることに、カイルは頭が痛かった。
そんなこんなで、冒険者ギルドにたどり着く。
大きな扉をくぐると、冒険者や受付嬢が三人に注目する。
「なんかめっちゃ見られてる…」
アルヴィスの後ろに隠れながら、カイルがボヤく。
ギルドの冒険者たちは、一見興味なさそうに酒を飲んだり談笑しているが、ちらちらと視線はカイルたちへ向けられていた。
(絶対目合ったし…絶対今、ヒソヒソされた…)
妙な視線にカイルが身を縮めていると、奥の席のほうから聞こえてくる。
「なぁ、あれカイルだよな…?」
「え、マジ?剣士くん…女装?」
「え、推しが尊すぎてつら…」
「プリンス様も一緒にいるし、実質…公式供給じゃね?」
「わかる…最高…」
ミナの布教活動がここまで進んでいるとは…。
カイルの顔から血の気が引いていく。
「おい、我が剣よ。堂々と胸を張れ。これは貴様の偉大なる人気の証だ」
「変な意味で有名になってる気がする!ミナが分裂してる!」
アルヴィスはご満悦、ミナはスケッチブック片手にニヤニヤが止まらない。
そこへ、見覚えのある左眼に眼帯をした大柄な男がカウンターの奥から出てきた。
「父さん…」
カイルが思わず声を漏らすと、男…カイルとアルヴィスの養父であるギルドマスターは振り返り、
「お、帰ってきたか。随分遅かったじゃ…」
そこまで言いかけて、カイルの姿を見て固まった。
「………」
静寂が訪れる。
そして、
「おいおい…まさか女装趣味に目覚めて帰ってくるとはよ…」
ギルドマスターは天井を仰ぎ見る。
「父さんまでそんな…」
カイルは言いかけて、体の変化を悟った。
「あ、あれ…?」
いつの間にか男に戻っていたのだ。
男に戻った体はスカートのウエストが少しキツい。
「程よく引き締まった筋肉がそそりますなぁ♡やっぱり若い子の太ももは萌えるぅ♡」
ミナがヨダレ垂らしそうな勢いでスケッチブックを構える中…、
「貴様…!我が剣の尊き肉体をそのような目で…!」
アルヴィスは顔を真っ赤にしながらも、目はしっかりとカイルの太ももを凝視していた。
「お前も見てんじゃねーか…」
アルヴィスはカイルに睨まれ、
「み、見ていない!見るまいと思っても、まるで闇に輝く宝石のように…視界に入るのだ…っ!」
「同じじゃねーか!」
ギルドマスターは額を押さえながら、ため息をつく。
「てめぇら…何があったんだ…。執務室で聞かせろ…」
「うんうん!レオたんにも色々萌え話聞かせてあげるからね♡」
「ミナ…レオたんって呼ぶのいいかげんやめねぇか…」
ギルドマスター、もといレオは、三人を執務室に連れて行くのであった。
☆ミナの推し観察日記☆
プリ剣めっちゃ浸透してる!
照れ照れ剣士くんかわゆす♡
なんだかんだ言ってえっちな目で剣士くん見ちゃうプリンス様かわゆす♡
レオたんのお父さんっぷりも萌えるぅ♡
レオたんの目を盗んでイチャイチャしちゃう二人とか…
ありそーー!
ありそうで尊いー!
うきゃーーーーーー♡




