第13章
第13章
深い静寂に包まれる暗闇に、小さい灯りの元で、変わらずに汗をかきうなされるカイルを、アルヴィスはどうすることもできずに見守るしかなかった。
ミナと交代し、彼女も疲れていたのか、部屋の隅で大人しく横になっている。
(くそっ、カイルがこんなに苦しんでいるのに…)
アルヴィスは己の無力さに腹が立っていた。
回復魔法は何回も試した。
が、一向に回復しない。
光でも闇でも、効果がなければ無に等しい。
しかし、この状況…
「懐かしいな…」
カイルと二人で、辺境にある町の養父に拾われ、その数日後、幼いカイルは熱を出した。
無理もない。あの小さい体で無理をしてきたのだから。
古代遺跡の体験も、無理をした結果だろう。
「お前はなんでも抱え込みすぎだ」
カイルの汗ばんだ頬に触れ、不謹慎にも笑みが零れる。
そう言えば、あの時のカイルは回復が早かった…。
養父が何かしたのだろうか?
確か…
思い出すように、アルヴィスはカイルの口元に指を持っていくと、カイルは唇をアルヴィスの指先に寄せ、すすり始めた。
「……っ!!待て待て!やめろっ!理性が崩壊してしまうっっ!」
アルヴィスはカイルから離れようとするが、両手で手を掴まれてしまう。
カイルはアルヴィスの指の間に舌を這わせながら、深く息をした。
(これは…、魔力が吸い取られている…?)
魔力が抜けていく感覚…。
しかし、そこに疲労はなく、心地良ささえ感じてしまう。
(これが夢魔の…)
脱力感と共に、体が疼く。
(いかん!耐えるんだ!)
「やだぁ、えっろー♡」
その時、ミナの大きな声が聞こえた。
アルヴィスがびくりと肩を揺らし振り向くと、ミナはすやすや眠っている。
「なんだ、寝言か…」
心臓がバクバクと大きい音を立てた。
しかし、ミナのお陰で頭が冷やされ、冷静さが戻ってくる。
「…………ん?あの時、なぜ知っていたんだ…?」
あの時、養父がカイルに魔力を吸わせた事になる。
それは、ひとつの真実を物語っていた。
「カイルが夢魔の血を引いていることを知っていた…?」
-よう、ボウズ。焦らなくていい。ゆっくり吸え。
なぁに、心配するな。
てめぇみてぇなちっせぇ奴に、全部持ってかれっかよ-
養父の言葉が記憶からよみがえる。
あの時は、やっと安心できる場所を得て、カイルが甘えているだけかと思っていたが…
「帰ったら聞いてみなくては…」
ふと、指先から魔力を吸われる感覚がなくなった。
暗がりでよく見えなかったが、角の色が遺跡に行く前に戻り、顔色がよくなっている。
「…よかった…」
熱は下がり、魔力の流れも整った。
アルヴィスは、カイルに吸われた自分の手を見つめた。
ごくりと生唾を飲み込み、出来心で自分の指を舐める。
「な、何をしているんだ!これではただの変態じゃないか!」
とっさに指を口から離し、そのまま横になる。
「………ギャンかわ…」
いつから見ていたのか、ミナが小さく呟いた。
☆ミナの推し観察日記☆
なんか、えっろい夢見てたら、公式もえろかった。
プリンス様、そこ、耐えなくていいから!
もう襲っちゃえ〜♡
悶える姿がかわゆす♡
尊い…♡
これでご飯三杯はいける…♡




