表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/67

第11章

第11章

ギルドで報告を終えたアルヴィスが建物から出て来た。


「ごめん、全部任せて」


カイルは申し訳なさそうに言った。


「気にするな。愚弟のせいで気まずかろう」


報告はアルヴィスに任せて、カイルとミナは外で待っていたのだ。


「彼氏感!頼れるプリンス様もう旦那様!」


「旦那様か…。我が剣の為ならば、やぶさかではないな!」


アルヴィスはどこか満足げに、両腕を大きく広げてみせた。

何かを期待するようにチラチラとカイルを見る。


いつもならここでツッコミが入るはずなのだが…、


「…ん…。ありがと」


と、ひと言だけ言って歩き出す。

アルヴィスは慌ててカイルを追い、王都の門を出るが…、カイルは一度も振り返らなかった。


様子がいつもと違うことに不安を覚えたアルヴィスは、心配そうに先回りしてカイルの前に立つ。


「我が剣よ、具合でも悪いのか?」


「あ、へーきへーき」


そう言いながらも、カイルの頬はうっすら紅潮し、瞳は潤み、視線はどこか宙を彷徨っている。


「なにその顔!えっろ♡もしかして、プリンス様への想いを自覚しちゃったとか?」


「っ!!そ、そんなっ!し、しかし!魂の契約を果たさんとするならば…歓迎しても…」


アルヴィスが顔を赤くしながら言いかけた、その瞬間。

カイルはふらりと体勢を崩し、アルヴィスの胸にもたれかかる。


「あ、悪い。ぼーっとしてた」


らしくない仕草に、アルヴィスは肩を貸しながら木陰まで連れて行く。


「カイル、触るぞ」


そう告げてから、アルヴィスはカイルの額にそっと手を当てた。

……熱い。


額をさらされ、角があらわになると、カイルはわずかに首を振って、力なく抵抗した。


「やめろって…へーきだから…」


ミナも心配そうに顔を覗き込む。


「剣士くん、角の色、濃くなってない?」


遺跡の封印を解いた頃には、根元だけが薄紅に染まっていたカイルの角。

だが今では、その色が半分以上にまで広がっていた。


アルヴィスは額に手を添えたまま、慎重に魔力の流れを探る。


「魔力が乱れている」


おそらくは、今まで眠っていた夢魔の力が、古代遺跡で触れ動き出した副作用だろう。

ミナが地図を広げて道を確認する。


「ちょっと遠いけど、宿があるよ。安静にした方がいいんじゃない?」


アルヴィスは頷く。


「そうだな、帰る前に休んで行こう」


カイルを背に負い、アルヴィスは歩き出す。


「……萌えシチュ…♡ありがとう、世界…♡」


その様子に、ミナはヨダレを垂らした。


数分後…、とある温泉宿にたどり着く。

小さい外観だが、異国情緒溢れる古風な造りに、宿主のこだわりが見て取れる。


「すまない。三人なんだが部屋はあるか?」


迎えた女将は、グッタリしたカイルを見て、あっと声を上げた。


「これは大変!すぐご用意しますね」


部屋に案内されて、ミナはスケッチを始めた。


「これは和風だねぇ。浴衣とかあるのかな?温泉で火照った二人が急接近とかぁ?ありかもぉ?」


アルヴィスはと言うと、カイルを布団に寝かせて心配そうに髪に触れている。


「お連れ様は私が見ていますから、温泉に浸かって疲れを癒してはいかがですか?」


女将は静かに提案する。

が、アルヴィスは首を振って断った。

カイルを見る女将の目が、やけに熱っぽく見えたからだ。


「提案はありがたいが、仲間のことは仲間でなんとかする」


「そうですか。では、ごゆっくり…」


名残惜しそうにカイルを横目で見ながら、女将は去って行った。


「……また女が剣士くんに色目使うし…」


不服そうにミナが呟くと、アルヴィスはため息をつく。


「こいつは昔から人を惹きつける…。しかし、今は昔より危険かもしれない」


「やっぱ、夢魔の力?」


ミナの鋭い指摘に、思わずミナの顔をじっと見つめた。


「ふふーん。ミナさんには分かっちゃうのだー。剣士くんの溢れ出る色気!古代遺跡の霧と似た甘ーいかおり♡」


「あの霧は無臭だったが…?」


アルヴィスは首を捻る。


「甘かったよぉ♡むふふー♡」


ミナはあの時に見た幻を思い出して、にやにや笑った。



☆ミナの推し観察日記☆

剣士くんの色気がダダ漏れでヤバイ〜!

プリンス様、めちゃくちゃ我慢してんじゃね?

剣士くんのこと『こいつ』とか言っちゃって、いつもの中二が出てないしー!

このまま看病イチャイチャライフ確定かも?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ