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プロローグ、第1章

プロローグ


かつてこの地を黒々と

禍々しい血で染め上げた闇の民

闇の王、人類を滅ぼさんと矛を振り上げた時

聖なる光に包まれし

加護の勇者現れん

白き聖なるその加護は

闇の魔王を討ち果たす

闇の民はたちまち大人しく

白き勇者に打ち滅ぼされたし


~国家誕生神話より抜擢~


第1章

とあるダンジョンでスライムが大量発生したとの依頼を受けて、剣士のカイルと「闇のプリンス」を名乗る魔法使い、アルヴィスはスライムの掃除に来ていた。


「ふははは!我の黒炎でスライム共を殲滅してやろう!」


「いや、お前の炎は光だろ。つーか、攻撃魔法苦手だろ」


アルヴィスの言葉にカイルが返す。

闇属性だと自称しているアルヴィスは、それとは反対の光属性で、しかもサポートタイプの魔法使いだ。


「中二病め」


「なんだと?我の聖なる闇の光を中二等と愚弄するか!…ふっ、まぁいい…。貴様のような愚鈍な輩に我の矜恃など分かるはずもない…」


「聖なる闇の光ってなんだよ。闇なの?光なの?」


「う、うるさいっ!」


アルヴィスは顔を真っ赤にして叫ぶ。

そんな会話を繰り広げつつ、カイルは淡々とスライムを薙ぎ払う。


「キリがないな…」


「ふふふ…、無様だな。我の闇の力を纏わぬ貴様はただ鉄の塊を振り回すしか取り柄のない…」


「はいはい、その闇の力でサポートしてくれよ」


呆れ気味に適当に話を合わせ、バフを要求する。


「いいだろう…」


アルヴィスは大袈裟に片手を前に出す。


「奈落を見詰める契約の刻印よ、我の魔眼に呼応し…」


「そういうの要らないから」


カイルに拒まれ、渋々普通に強化魔法をかける。


「全く…面白味のない奴だ」


「悪かったな!」


魔法で強化されたカイルは、持ち前のセンスも合間り、大量のスライムを片付けていく。

カイルの動きに合わせてアルヴィスは絶妙に速度を上げたり回復したり…

息がピッタリ合った連携は、長年共闘している事を容易に連想させる。


「いくらスライムとはいえ、この数はさすがに辛いな」


「我が剣が弱音を吐くなど…。貴様など我の炎で頭を冷やすがいい!」


カイルの体があたたかな光に包まれる。

アルヴィスの体力回復の魔法だ。


「お、さんきゅー。やっぱ光魔法って便利だよな」


体が軽くなり、一気にスライムを掃討する。


「光魔法ではない!れっきとした闇魔法だ!」


アルヴィスが何か叫んでいるが、カイルは無視してスライムを相手にする。


「無視するなー!カイル、我を見るのだー!」


「中二の次はかまってちゃんかよ」


そんなこんなで、最後のひときわ大きいスライムを討伐すると、中から人が出てきた。


「ふわぁー!助かった〜!」


似合わない大きな斧を持った、真っ赤な髪と瞳の小柄な少女だ。

カイルとアルヴィスを見るなり小さな悲鳴をあげる。


「うひゃあっ!見つかっちゃった!」


カイルとアルヴィスは不思議そうに顔を見合わせると、怪訝そうに少女に訪ねた。


「貴様、何者だ。真名を答えよ」


意味もなく威圧的な態度で告げるアルヴィス。


「あ、うん!あたし狂戦士のミナ。スケッチに夢中になってたら、巨大スライムに飲み込まれちゃって〜」


狂戦士がなぜスケッチを…?

疑問は残るが、ミナはこう告げた。


「ねぇ、あたしをパーティーに入れてよ!あたし、プリンス様と剣士くんのファンなの!」


「プリンス…様?」


「え…?剣士くん…?」


どうやらプリンス様とはアルヴィスの事で、剣士くんとはカイルの事らしい。


「二人はあたしの推しなの♡さっきの戦闘も最高!二人の掛け合いがもう夫婦でしょって感じで結婚した方がいいよぉ♡」


カイルはミナが何を言っているのか分からず押し黙っていると、


「そ、そうか…、我が眷属に名乗りを上げるとは、なかなかに聡い娘ではないか」


と、アルヴィスは何故か顔を赤らめている。


「うん!眷属にも下僕にも奴隷にもなるから!推しのために♡推しの幸せはあたしの幸せなのぉ♡」


こうしてミナが仲間になった!


「え?マジで?」


「よいではないか!自ら下僕になる事を望んでいるのだ!断る理由はなかろう!


そんな二人のやり取りに、ミナは満足そうに微笑んだ。

頬が緩んでヨダレが垂れる。

ニヤニヤと二人を眺めながら、ミナはそっと口元を袖で拭った。


☆ミナの推し観察日記☆

やっと推しのパーティーに入れた!

プリンス様×剣士くん最高に尊い…♡

この二人が無事に結婚できるように間近でサポートするのだ☆

うへへへへ……

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