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しずく  作者: 藤泉都理
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バカ言ってろ




 私は下着を履き、連なる鬼灯の実が描かれた浴衣を着て脱衣所を出て、居間を通り過ぎて窓を開けてベランダへと出た。

 すれば、ソファの一種であり、アルミフレームとメッシュの組み合わせのシェーズロングに腰を下ろした君が居たので、私は君の隣に座った。

 君は私を一瞥したかと思えば、また夜空へと視線を向けた。

 穏やかに流れる熱風とは裏腹に、星がたくさん煌めく夜空は冴え冴えとしていた。


「相変わらず似合わねえな、その浴衣」

「相変わらず身体を横たえさせないねえ、君は。せっかくのシェーズロングが形無しだよ」

「外にずっと置いてるもんに身体を全部預けたくねえ。服も髪が汚れる」

「尻は汚れてもいいって?」

「尻は叩けばいい」

「気に入らないなら片づければいいのに」

「形は気に入っている」

「だったら部屋の中で使えばいいのに」

「これは外のもんだ。それにベランダにはよく映えるが、部屋の中だと映えねえ」

「こだわるねえ」

「おまえの浴衣と同じくらいな。似合わねえって言ってんのに、ずっと着てやがる」

「私は似合っていると思っているからね」

「おまえ。折角風呂に入ったのに、外に出たらまた汗が噴き出して、風呂に入る事になるぞ」

「いいよ別に。今度は君と一緒に入るから」

「入らねえし。ほらメシ作るぞ」

「今日は何?」

「冷や麦、焼き鳥、トマトとキュウリと紫蘇のサラダ」

「ワタシ、ヒヤムギヨリ、ソウメンガ、イイ」

「おまえの素麺、まだ残ってただろ。別々の鍋で湯がけばいいだろうが」

「あ。まだ残ってたっけ。よかったよかった」

「同じ小麦粉から作られてんのに、何で冷や麦が苦手なんだか」

「しょうがないだろ。苦手なんだから」

「まあ、どうでもいいけど」

「はい。本日二度目の冷凍発言頂きました」

「バカ言ってろ」











(2024.8.18)




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