綺麗な空はある日突然に
次の日の昼、私はエグチに言われた通りやって来た。
そこには人外の大きさを持つチアキとババがパン屋の前で話していた。
一度互いに敬礼をした後話しかける。
「ババくん、チアキくん久しぶり。エグチくんも昨日ぶり。」
ババとエグチが手を振って返してくれる中で、見上げきれない大きさのチアキが返事をしてくれた。
「アリカワさん久しぶり。最前線で会った時以来だね。無事にお互い生き残れてよかったよ。ざっとエグチくんから相談について聞いたけど、僕とババ君はこれから最前線の拠点まで戻るんだ。だから途中まではドウゾノさんを探すのを手伝えると思うよ。アリカワさんも同じ軍属だからもちろん知ってると思うけど、割と融通はきかせられる立場ではあるからね。細かい話は軍演習場でしようと思ってるんだけどどうかな。僕の体は交通の邪魔になっちゃうからね。」
チアキは少し恥ずかしそうに笑いながらそういった。
「もちろんよ。考えてくれてありがとうチアキくん、ババくん。演習場で話ことも異論はもちろんないわ。ただ話をつけてくれたエグチくんのパンをたくさん買うから、少し待っててもらえるかしら。もちろんチアキくんババくんの分も奢るわ。」
「お買い上げありがとうございまーす。」
満面の笑みエグチに誘われ、私は大量にパンを購入しチアキ、ババと軍演習場に向かった。
私達は昔話をしながら、演習場に歩をすすめた。
「私達の異世界転移もようやくフィナーレね。普通あーいうのって若いうちに終わるもんじゃないのかしら。気づいたらもうアラサーよ。まぁ生き残っただけ、マシって言えばマシだけど。」
これまで無言を貫いていたババが口を開いた。
「クラスメイト36人中23人が確実に生き残った人数だ。軍隊だったら全滅だな。4人は生死不明だがな。アリカワの探してるドウゾノもそのうちの1人だな。」
「今更だけど、なんで私達だったのかしらね。」
「さあな。ただ呼び出された人だけで数十万人といることからも、本当にランダムなんだろうな。そういう宿命だった、ってことでいいんじゃないか。」
「まあ、そうなんだけど。わからないことに理屈をつけたがるのは人間の性なのかしらね。今なら昔の人がいろんなわからないことに妖怪変化を当てはめてた気持ちがすごくわかるわ。もっと私にも神力があればポジティブな感覚があったのかしら。チアキくんはどうなのよ、そこのところは。」
「そうだね。僕が1番クラスメイトの中では神力が強いとは思うけど、最初の方は本当に毎日、この世界を恨んでたよ。でもここでの生活に慣れてからは理屈とか関係なく、こうなる運命だったんだって強く思うようになったかな。僕は特に不可逆的な変化もあったからね。それも含めて僕は満足してるよ。あっ、門が見えてきたね。」
そして私達は演習場に到着した。