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雷の申し子 II 《邂逅》



 村を出てから三日ほどが経った頃、シリウスはようやく大きな道に出ることができた。

 なぜ三日も経ってしまったかと言うと、普通に森の中で迷子になっていたからだ。当の本人はそのことに気付かずに村の立地のせいだと思っているが…。


「なんであんなところに村なんか作ったんだよ。不便で仕方ねぇだろ。…曇ってるな、一雨来ないといいが…」


 独り言をブツブツの言いながらその道を適当に歩いていく。しばらく歩いていると蹄の音と車輪の音が聞こえてくる。その場に止まって振り返ると後ろから馬車が二台来ていることに気づく。

 すぐに道の端に寄って、馬車に目を向ける。片方は荷馬車が大きく、もう片方は人が乗るようの馬車で人が四人乗れるほどの大きさだった。そしてその周りに護衛と思われる立派な装備をつけた兵士が六人ほど、一人は馬車を操作し、後の五人は馬に乗って馬車の周りを歩いていた。


(商人か? いや、それにしては護衛が多い…。どっかの国の偉いさんか? まぁなんにせよこの先に街がありそうだな)


 そう思い、馬車に着いていくが、子供の足の速さでは馬車に着いていく所か置いて行かれる一方であったため、すぐに見失ってしまった。魔力を使えば追いつけるだろうが、何があるかわからない、できる限り温存しておきたい。

 幸い食料も水も持っている、諦めてゆっくり歩いていくことにした。


「しっかし、のどかな雰囲気だなぁ。獣でも出てくれば食事休憩にでもなるのに道まで出てくるとほとんどいないな。ん? なんだ、この音は?」


 途中、何度か休憩を挟みつつ、景色を楽しみながらゆったりと歩いていると、先の方がなにやら騒がしい。

 風を切る音、鉄の打つ音、断末魔や悲鳴。何かまずい気がして先を急ぐ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「ん? なんでこんなところに子供が?」


 馬を操っていると道の脇に何かがいることに気づく。人間の子供だ。それもなんの装備もしていない、それどころか荷物すら持っていない子供。見たところ冒険者でもない。不審に思うのも当然だろう。


(迷子か?)


 しかし、乗せてやる訳にもいかない。この馬車は貴族の方が乗っている上に、後ろには大切な商品も積んでいる。子供とはいえ、身元もわからないような怪しい人物を乗せるわけにはいかないのだ。すまないと心の中で謝り、馬車を先に進ませる。

 そのまましばらく進めていると少し開けた水辺に出た。馬も疲れているだろうということで、少し休憩することにした。全員がゆっくりと寛いでいると、突然、全ての馬が騒ぎ出した。宥めても効果はない。全体が一方向を気にしながら暴れる。

 まるで何かから逃げようとしているかの様に…。


「ドウドウ、大丈夫か?」


「騒がしいな、何かあったのか?」


 馬車で休憩していた貴族も外の騒がしさに頭を覗かせる。


「いえ、突然馬が暴れ始めたものでして…」


 紡げた言葉はそこまでだった。ギィエェェと大きな鳴き声が辺りを包む。

 その場にいた全員、一纏めになり辺りを見渡す。しかし周囲にはなにもいない。


「なんだ今のは?」


「ハリオットさま、馬車にお戻りください」


「う、うむ、全員気をつけろよ。ミネルーガ、お主も中に!」


「は、はいぃ!」


 ハリオットと呼ばれた貴族とミネルーガと呼ばれた商人は急いで馬車の中に避難する。



「声の主はどこに?」


 周囲を見渡すが、獣の影も形も見えない。全員が困惑していると、一人が叫ぶ。


「違う! 空だ! 上からくるぞ!!!」


 その声にその場にいた全員が空を見上げる。そこには鷲の頭と翼と爪に獅子の胴体を持つ怪物『グリフォン』がこちらを見下ろしながらゆっくりと降りてきているのが伺える。全員武器を構え、様子を見る。


「グリフォン……だと…、討伐難易度B+以上の魔物がなんでこんなところに……」


 グリフォンは本来Bランク以上の冒険者やパーティーが推奨される危険度の高い魔物だ。この場にいる全員が挑んでも敵う相手ではないことは確かだ。

 それにグリフォンは馬を狙って襲ってくるため、出会っても馬を置いて逃げればいいのだが、それは人がいることがバレていない場合のことだ。グリフォンはしっかりとこちらを見ている。今更逃げることは難しいだろう。


「うおぉぉぉー」


「バカ! 一人で突っ込むな!」


 一人が雄叫びを上げながら、グリフォンに剣を振り下ろす。が、グリフォンが飛び上がってしまい、避けられて剣は空を切る。


「う、うわゎぁぁあ! たすけてくれぇぇ」


 グリフォンは剣を外した兵士を捕まえて、そのまま空へと飛び立ち、ある程度の高さで止まり、捕まえていた兵士を投げ捨てる。


「うわゎあぁぁぁ!!」


 叫び声を上げながら落ちてくる兵士。程なくしてグシャっと音を立てて兵士だった肉塊は動かなくなってしまった。

 その横にグリフォンが降りてきてギィエェェッと一声上げた。

 全員が動けずにいると、グリフォンが兵士たちに向かい猛スピードで迫る。一人が剣を仕舞い、前に出て手を前に翳す。


「全員下がっていろ! 《風よ、我が声に応え、敵を切り裂く無数の刃と化せ》」


 前に翳した手に魔力が集まり、詠唱により魔法陣が展開される。陣を介して魔力が属性を帯び始め、風の塊が生み出される。


「《ウインド・カッター》」


 風の塊が無数の風の刃となり、迫ってくるグリフォンを目掛けて飛んでいく。しかし、グリフォンは全く意に返さずに突っ込んでくる。

 風の刃はグリフォンに傷を負わすことができず、できても薄皮一枚切れるかどうかだった。


「なっ!? 俺の魔法が全く通じない!?」


 衝撃が大きかったのか、動けずにいると、グリフォンが勢いそのままに爪を横薙ぎに振り翳してきた。咄嗟に盾で防ぐが、防ぎきれずに吹っ飛ばされて木に激突する。


「ぐ、ぐぅぅ…」


 手元を見ると盾が腕ごと半分にへし折れていた。痛みで動けずにいるとグリフォンが目の前に来ていた。剣を抜こうにも力が入らない。


「うわぁぁぁ、やめ……」


 グリフォンに頭を咥えられてしまい、そのまま振り回されてしまう。遠心力で体の端に血が溜まり、血液の圧力に耐えきれず、皮膚や筋肉が裂けている。さらに周りの木々や地面に体を打ちつけてしまっている。


「うわぁあ! ハンズを離せぇ!」


 全員が助けようとグリフォンに斬りかかるが、傷一つ付けられない。


「どうなっている! 刃が通らねぇ」


 兵士の攻撃を全く意に返さず、噛みついた玩具(ハンズ)を一心不乱に振り回していたグリフォンだったが、程なくして飽きたのか、ハンズを地面に吐き捨てる。

 振り回されて木や地面に叩きつけられたためか、全身が変な方向を向いていて、足や手の先が裂け、血液が吹き出している。その上、首が取れかけており、辛うじて皮一枚で繋がっていた。

 仲間たちが目の前で殺されてしまい、グリフォンに傷一つ付けられない状況に全員が絶望してしまっていた。全滅という二文字が全員の頭を過ぎった時……。


「うっわ、なにこの状況」


少し離れたところから子供の声が聞こえてきた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 ポタポタと雫が落ちてきて、少しずつシリウスの髪から頬へと伝う。本格的に降り始め、雨粒が地面を濡らしていく。

 シリウスがまず見た光景は二台の馬車、興奮している馬、剣を構えて気丈に振舞っている兵士、絶望して膝をついている兵士たち、その仲間と思われる肉塊と関節の向きがおかしい兵士、そして兵士たちの中心にいる巨大な魔物。


「グリフォン…だったっけ? じいちゃんの話で聞いただけだから、初めて見るけど…。…獣がいなかった理由はアイツか?」


「なっ!? 少年、早く逃げろ!!」


 剣を構えていた兵士が大声で叫ぶ。その声にグリフォンは振り向き、唸り声を上げながらシリウスに向かっていく。


「雨の中で()りたくはねぇが、仕方ねぇな」


 速度を殺さず、その勢いのまま爪を振り翳すが、シリウスは脚の間を滑って尻尾の方に回避する。そして立ち上がりながら、尻尾を掴む。が……


「なんっだこれ! めちゃくちゃ重てぇ!」


 尻尾を掴み投げ飛ばそうとしたが、流石に大型の魔物。そう簡単に12歳の子供の力では投げ飛ばすに至らなかった。グリフォンにとってもその状況は不快だったのか、シリウスを後ろ脚で蹴り飛ばす。咄嗟のことだったので防ぐことができずモロに喰らって吹き飛んでしまう。


「少年、大丈夫か!? 今助けに…!?」


 仲間の死体の上を飛び越えて地面に転がり、糸の切れた人形のように動かなくなった少年を兵士が助けに向かおうとするも、グリフォンがすぐに間に入り、シリウスに近付いていく。

 負けじと兵士も尻尾を掴もうとするが、グリフォンが尻尾をムチのように使い、弾き飛ばされて木にぶつかり動けなくなる。

 グリフォンは兵士を意に返さずにシリウスにトドメを刺そうと口を開けて喉を噛み切ろうとした時、シリウスは目を開けて、首に飛びつき、後ろに回る。突然のことだったのでグリフォンも驚きはしたが、すぐに首を振って振り落とそうとする。


「せっかく捕まえたんだ、そう簡単に逃すかよ!」


 シリウスも頭の飾り羽を左手で握り、足を首に絡めて落とされないよう締める。そして、いつの間にか右手に持っていたナイフをグリフォンの右目に逆手で突き立てる。

 よく見ると腰にも兵士の持っていた剣がベルトに引っ掛けられている。蹴り飛ばされた際に、兵士の死体から拝借していたのだ。

 ギィエェェとグリフォンが大きく鳴き、さらに暴れ狂うが、シリウスは落ちない。


「まだまだぁぁ!!」


 ゴリュッ、ドチュッと音を立てて連続で目の付近から首までを刺し続ける。たまらず、落とそうと暴れるがシリウスは落とせないと見ると、翼を広げて空に飛び上がる。シリウスもこのまま落とされるとまずいと思い、飛び上がる直前にグリフォンの首から飛び降りる。

 少しよろけながら着地して態勢を立て直し、グリフォンの方を見ようと上を見上げるとシリウスを捕えようと残った左目をギラつかせて爪を突き出し、急降下してきていた。咄嗟に腰の剣を左手で掴み、前に出して爪と嘴を防ぐ。魔力で強化してあるからか、グリフォンを受け止めることはできた。

 しかし、所詮は子供の力。グリフォンにそのまま地面に押さえ込まれてしまった。


「…やっぱり力じゃあ相手にもならねぇなぁ……」


 キョエエェッとグリフォンが一鳴きし、口を大きく開く。魔力が口に溜まっているのがわかる。シリウスは何かまずいと思い、剣を離して、グリフォンの体の下に滑り込む。

 直後、グリフォンから膨大なエネルギーが放出され、グリフォンの口から直線上にあった剣と地面が抉り取られる。


「マジかぁ…、コイツ魔法が使えるタイプだったのかよ…」


 グリフォンの体の下を後ろに抜けながら呟く。グリフォンがこっちに振り向き、また口をガバッと開く。

 横に避けようとするも避けきれず、魔法が右腕を掠める。持っていたナイフは吹き飛び、服の袖が裂け、血がブシッと吹き出す。後ろからズシンと重い音がする。おそらく木を抉り倒したのであろう。


「マジかよ、掠めただけでこれかよ……。…驚いてる場合じゃなさそうだな」


 すぐに影に手を入れて、棍を取り出す。


(こんなことなら最初から出しとくんだった…)


 後悔しつつも、グリフォンに向かって突撃をする。グリフォンも爪で迎え撃とうとするも、それを回避してグリフォンの懐に入る。


(俺が雷でダメージを負うことはない…。木や剣のダメージ痕や俺の右腕から見ても火や地の魔法って訳じゃなさそうだな。それに痕を見る限り…、強力な力での捻りか無数の斬撃を放つ感じか……、考えられるのは水か風。漏電もしない辺り水属性ではなさそうだな…。おそらくは風属性の魔法と見ても差し支えないだろう)


 そう考えながらも棍を振り抜き、グリフォンの顔面に一発重たい一撃を喰らわせる。よろけて倒れそうになるもすぐに魔力を貯めて放出してくる。

 咄嗟にしゃがんで避けたため、竜巻状の魔法が頭の上を通り抜ける。


(覚えたばかりで魔法は一つしか使えないのか、それとも俺を舐めているのか……。まぁどっちにしてもさっさと終わらせるのが得策か…)


 シリウスを殺しきれないことに苛立ちを覚え始めたグリフォン。苛立っているのか攻撃が単調になってきている。

 シリウスは勝機を待ちながら、避け続けていると、泥濘に足を取られる。


(やっば!)


 シリウスの意識が足元に向いた、その一瞬のタイミングを逃さずに爪で攻撃をしてくる。シリウスは爪を咄嗟に棍で防いでしまい、そのまま地面に押し付けられる。グリフォンは完全にトドメを刺すために再び魔力を貯め始める。

 放出しようとした瞬間にシリウスがニヤリと笑い、棍から電気を放出する。グリフォンは驚いて上体を反らし、シリウスを押さえていた手を離してしまう。

 その隙を逃さずに嘴へと飛びつき、口を無理矢理閉じさせる。グリフォンは驚き、目を見開くが、すぐに切り替え、シリウスを振り落とし、口を開けようとするも開かない。

 まるで()()()()()かのように。

 魔法を解除しようとしてももう遅い。魔法が口の中で炸裂し、嘴が裂け、周囲に風が吹き荒れる。

 風の刃で頭が斬り裂かれ、グリフォンは声にならない叫びを上げて倒れる。


「ふぅ、つっよ………。結構楽しかったけど、あんまり頻繁には戦いたくない相手だな……。……てか、魔法使えばよかったわ…」


 直さなければな、などと頭を掻きながらブツブツと言い、グリフォンの絶命を確認するために近付くと、突然目を開き、口を開けて噛みつきにくる。

 グリフォンの最後っ屁を避け、側面に移動しながら、指先に雷の魔力を貯めてグリフォンの頭に向ける。


「やっぱり魔物はしぶといな」


 グリフォンに雷を放出する。一筋の稲妻が頭に炸裂し、グリフォンの上顎から上が弾け飛ぶ。それでようやくグリフォンは絶命した。


「ほんと、油断も隙もない」


 一息ついていると、兵士たちが近づいてきた。その中心には身なりの良い黄土色の髪と立派な顎鬚を貯えている貫禄のあるおじさんと恰幅の良い如何にも人の良さそうな顔のおじさんがいた。おそらく馬車に乗っていた人物であろう。

 何かと警戒をしていると突然中心のおじさんと周りの兵士が同時に頭を下げてきた。


「君が来なかったら、我々は全滅していた。彼らを代表して礼を言わせてほしい。ありがとう」


 突然の礼に面を食らってしまった。


「おっと、自己紹介がまだだったね、私の名前はハリオット・シンフォニア。この辺りの領主だ。よろしく頼む」


「シリウスです。よろしくお願いします」


 ハリオットから手を差し出されて、困惑しつつも手を握る。ハリオットも満足げに頷く。


「で、こっちがミネルーガだ。魔法道具や武具の商人をしている。気の合う友人だ」


「ミネルーガです。以後お見知り置きを」


「周りにいる兵士は私の護衛だ。立場上、護衛が必須なのだ」


 笑いながら話すハリオットにシリウスは面を食らい、固まっている。それを見るとハリオットは笑みを浮かべる。


「ははは、面を食らっているな。貴族は礼を言えぬと思ったのかい?」


「い、いえ…、そういうことでは…」


「ははは、冗談だ。まぁ礼をしたいのは本当のことだ。なんでも言いなさい。それよりグリフォンの死体の回収をしなくて良いのかね? 馬も落ち着いてきたことだし、夜までに街に着きたい。行き先が一緒なら、君も一緒に行かないかね?」


「良いんですか? こんな得体もしれない、見ず知らずの子供を乗せてしまっても」


「ここにいるもの誰も拒否せんよ。それだけ、君に感謝している。その程度のことお安い御用だよ。それにその程度で恩を返せたとは思ってはいない。礼はまた後日させてもらおう」


 その場の全員がハリオットの言葉に頷く。


「ではお言葉に甘えて…」


 その言葉を聞いてハリオットはフフッと笑う。


「なら早くグリフォンを回収して街に向かおうではないか。我々も手伝うぞ」


 ハリオットの一声で兵士たちがシリウスと共にグリフォンの解体に取り掛かる。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「さっきとは違って剣が入る!? 何故だ?」


「それはグリフォン自体が魔力で全身を強化してたからですね。魔力の出力でグリフォンの魔力を越えなければ、ダメージすら通らないんですよ」


「なるほど…、ところで一つ聞きたいんだが、俺たちの仲間が魔法を撃ったんだが、ダメージすらなかったんだ。それも何か理由があるのか?」


「…もしかして風魔法でしたか?」


 シリウスの質問に兵士は驚いて目を見開く。


「そうだけど、なんでわかったんだい?」


「簡単な話です。自分の得意な属性…、適性の高い属性に対しては耐性が高くなるのですよ。例えば、このグリフォンなら風属性の適性が高かったので、風属性に対して強力な耐性があったんです。ですから、風魔法はほとんど効かなかったんですよ」


「なるほど…、それさえ知っていればあるいは……。いや、そんなこと言っても仕方ないな。早く終わらせて街に向かおう。何が現れるかわからないからな」


「はい!」


 グリフォンの解体を進めていくと、仲間の葬いをしている兵士の方から声が聞こえる。


「うわっ、鋼の剣が捻り切られてる。どんな威力の魔法だったんだよ…」


「シリウス君、これって君の武器かい?」


 シリウスの棍を手に取ろうとしながら、声をかける。


「ッ!? それに触るな!」


 シリウスの剣幕に兵士の手が止まる。


「ど、どうしたんだい? シリウス君」


「危なかった…。俺の武器は魔法武具でして、俺以外が触れると触れた部分に稲妻を炸裂させて弾き飛ばすんですよ」


 危ない危ないと言いながら、シリウスは棍を影に収納する。それを聞いて止められた兵士は嫌な汗をかく。危うく、手が弾け飛ぶ所だったと言われれば誰でもそうなる。現に周りの兵士もあり得たかもしれない未来に恐怖を覚える。

 その後すぐに作業が再開される。兵士たちが手伝ってくれたためグリフォンの解体は想像より早く終わった。解体の間に馬車の準備と二人の仲間の葬いを終えていたため、すぐに出発することとなった。

 街は一体どんなものか、初めての出来事ばかりのシリウスはこれからどのようになっていくのか。



ありがとうございます

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