戦犯との対面
しまった忘れてたと後ろを振り返るとやはり思った通りの人物が立っていた。
「戦神...」
「まだ俺との戦いは終わってねえだろ?」
やってしまったそうだこいつから逃げたのに。
「どうする陰?」
「どうするもなあ戦うしか無いだろ」
「今度は陰がやってよ」
「いや自分の戦いは自分で落とし前をつけて」
いやお前のせいで戦ってんだけど?という言葉を飲み込み(言ったら絶対喧嘩になる)しょうがないなあと陰にいう。
「その代わり今度は全力で秒で片付けるから」
「おけ、わかったがんば」
こいつこの障害解決したら絶対にぼこぼこにする。
それも飲み込んで麗、いや戦神と向かい合う。
「秒で片付けるだと?舐められたものだなあそんなことできるわけがないだろう」
そんな戦神の言葉を聞きながら集中する、自分だけの世界に入る。
魔力をフルで解放する。
そうしてつぶやく。
「上限解放500」
その瞬間私は覚醒する、500というのは自分の本気の500分の一の力ということだ。
まあリミッターがいくつかあってそれの第一のリミッターの上限の500分の一だけど。
「おいおい、なんだ上限解放ってそんなことしたところで私には勝てるわけがないだろ...」
言い終わる前に、私の上限解放はできていた。
それを見た戦神は青ざめる。
なぜなら私達霧麗家の覚醒はありえないくらいの魔力が放出されるから。
地面が揺れ、ひびが入る。ああ、久しぶりだこの感覚。
自分に対する負荷、周りの空気が揺れる、この感覚は親に教えてもらったばかりの頃大好きだった。
そうして両目の色が変化する、左が黄色右が赤だ。
髪につけている飾りもこの二色だ、そうしてつぶやく。
『死滅 死滅電撃斬』
ありえないくらいの速さで戦神に近づく、そして斬りつける、向こうもなにか言ったようだがそのまま切り捨てる。そしてそのまま戦神は倒れた。
「相変わらずの力だねー」
陰がのんきに言ってくる。
「全く、上限解放したのいつぶりだよ」
そういった私はもう元の姿に戻っている。
「最後にしたのが3年前くらいだな」
「結構昔だな」
「そんなことより麗どうするんだよ見事なまでに一閃でキレイに切れて死にかけだけど」
「あー、そこまで深く入ると思わなかったんよね」
倒れている麗は見るも無惨なまでに切られている、出ている血の量は多いし息も切れ気味で弱い。
「どうしよっか?」
「ほんとにどうしよう」
しばらく考えて出した結論は
「自分たちで治すか」
「それが良いな」
自分たちで治療するか、病院に転送するか迷ったけどこれは多分病院に『治癒』の異能力者がいないと無理だろうし。
「陰、じゃあ血とかよろしく」
「はいはい」
そう言いながら私も異能『治癒』を発動させる。
すると傷口がふさがっていき、何もなかったようにきれいになる。
その間に陰が服についた血や床に飛び散った血などを死滅してくれる。
「これでいいか」
「大体はな」
治療が完了したが麗は目を覚まさない。まあ、あんだけ切られたら怪我がどうこうより気絶するわな。
「ここからは病院に任せよっか」
「そうだな、じゃあな麗」
そう言って転送するそうして私は陰に向き合う。
「じゃあ、最上階行こっか」
「そうだな、いよいよ戦犯との対面だな」
そうして私達は異能で気配を消しながら4階へと登っていく。
4階について見えたのはやけに何もない部屋とその奥にただ一つだけある机と椅子に座っている一人の人物だった。