個人練習
結局個人練についてきたけど、どこまで行くんだろう?
校舎は広い、異能都市の5分の1が校舎だ。
そのせいで、校舎内で何かをしようとしても遠い、いつもだったら異能を使ってすぐ行くところだが人が多いから異能を使って順位がバレるのは避けたい。
「どこまで行くの?」
「軍事練習場」
物騒な答えが帰ってきた、軍事練習場=体育館のことだわざわざ怖い名前にしなくてもいいだろうに。
軍事練習場と聞くたびにそう思ってしまう。
「遠いな、あとだいだい...2分くらいでつくか。」
「それぐらいだな」
「でもなんのために軍事練習場に行くの?個人練だったら個人教室でできるじゃん。」
個人教室は普通の教室と違い異能グループ共同で使える教室のことだ、今日私は個人練をしなくてもいいので実質、陰だけが一人で使えるはずだ。
「先生に呼び出されてるんだよ。」
「へえ、またそれはなんで?」
「わからない、ギリギリで落ちているから先生直々に補習というわけではないと思う。」
嫌だなあ、個人練なんかに付き合うんじゃなかった。
なぜかというと我らが担任が面倒くさいからだ、私達の先生は輝龍という先生だが、名前はかっこいいが女子には人気がない、すぐ補習をかけるし他のクラスより多く宿題を出すから嫌いな人も多い、だけど教え方はうまいし優しいところはある、そんな感じの先生だ。
「輝龍先生直々に呼び出しとは本当になにかやっちゃったんじゃないの?」
「何もやってないよ、やるとしたら麗とかだろ。」
麗は一番の問題児にして、私達を除いたら学校トップの実力者だ、グループも2位とかなり好成績だが私達のせいで1位に何をやってもなれないという可哀想な人だ。
「麗呼ばれてるの?」
「呼ばれるわけ無いだろう、実技とテスト両方トップだよ。」
「流石というか何というか...そこまで行けるのに一位になれないのが可哀想。」
「1位にさしていない人が何をいうか。」
そんな感じの会話をしていると軍事練習場の前についた。
「着いたね。」
「ああ、着いたな」
ドアを開けて入ってみる、そうすると中央付近に男の人が立っているのが見えた。
間違いなく輝龍先生だろう。
「入ってきたやつ名前を言え。」
いきなり言われる、何故か後ろを向いて立っているので、誰が入ってきたのかわからないんだ。
「高校一年二組霧麗 霊名です」
「同じく一年二組霧麗 麗名です」
輝龍先生は少し固まって言った。
「どっちが補習者だ?」
少し戸惑ったような声、そうか両方同じ名前だからどっちが補習者かわからないのか。
めんどくさい名前だ。
「えーっと、わたしの方です、最初に言ったほうが補習対象者です」
「そうか」
そう行って輝龍先生はゆっくり後ろを振り向いた。
「今日はよろしくな、えーっと、なんて呼んだらいいんだ?」
「どっちも同じ名前なんで何でもいいです。」
「わかった、改めてよろしく」
一番早い区別方法は陰陽だが、先生にそう呼ばれるのは嫌ならしい。
「で、先生なんで私は呼ばれたんでしょうか?」
「お前には特別補習をかけようと思ってな」
一番面倒くさいのが来た、どういうことだろう、ギリギリで落ちているから大丈夫だろうと陰はいっていたのに。
「どういうことですか?そこまで悪くないと思うのですが、わたしの点数だと一人で個人練をして再テを受けて合格であればいいはずですが。」
「今までの点数もかなりギリギリだからだ、大体の生徒は一回ギリギリだと少なくとも、次のテストはめちゃくちゃ勉強して点数がいいんだ、だけどお前はずっとほぼ横並びの点数だった、それだけでも特別補習をかけようとしていたのに今回落ちたからな、特別補習は当然だ。」
陰が小さく舌打ちをしていた。
よほど輝龍先生の特別補習を受けたくないんだな、もう少し高い点数を取っておけばよかった、というのが顔に出ている。
「で、特別補習というのは何なんでしょうか?」
陰が諦めたように聞く。
そうしたら思わない答えが帰ってきた。
「そんなに難しいことは考えていない、先生たちもそこまで鬼じゃないからな。」
なんだか嫌な予感だ、こういうときの先生は大体難しいのを言ってくるんだ。
そう考えていたら嫌な予感が当たってしまった。
「この俺に異能バトルで勝つというのが、今回の当別補習のテーマだ。」
嫌な予感が当たってしまった、異能バトルで勝つ?無理ではないのだが輝龍先生は相当な実力者だ、それに勝つということはその勝った生徒もそれなりの実力者であるということがバレてしまう。
そうすれば、陰の異能都市順位は十番以内に入っていないことがおかしいという話になってくるそれで十番以内に空いている順位は1位だけだ陰の順位がバレてしまう。
陰もそれだけは避けたいのか必死に先生に言っている。
「それはが限りなく不可能に近いのではないでしょうか。輝龍先生の実力とわたしの実力があっていませんし勝てるとしても麗ぐらいでしょ。」
「それはそうだ、だから特別補習で俺に勝てるくらいまで実力を上げるんだろ。」
脳筋め、どうやっていま実力を隠している陰をお前に勝てるくらいまで上げるんだ、無理に決まっているだろ。
だけど陰はわかりましたと小さく呟いていた。
「陰本当にいいのか?かなりめんどくさいと思うけど。」
「大丈夫だ、要するに輝龍先生に勝てばいいんだろ?」
そういった陰の顔は笑っていた。
あ、こいつやばいなそう思っていると陰がありえないことを言い出した。
「輝龍先生に勝てばいいんですよね?」
「ああそうだ、そのために俺がしっかりと鍛えあげt...」
輝龍先生が言い終わる前に陰が言った。
「では、いま戦っていただけますか?」
「...!」
先生はとても驚いたようだ、それもそうだ、さっきまで嫌がっていたのに。
「お前正気か?どうやって今のお前が俺に勝つんだ」
「どれくらい差があるのか確かめたいだけですよ、お相手をお願いできますか?」
「...まあ構わないが、絶対勝てないぞ?」
そう言って輝龍先生は戦闘態勢に入る。
まじでやろうとしてるわこの人、ちょっとは止めろよ。
「いいのか陰?勝ったら勝ったでややこしいぞ。」
「良いんだよ別に、特別補習受けるほうが嫌だ。」
いやどんだけ受けたくないんだ、そこに私がちょっとだけ引いていると、陰も戦闘隊形に入る。
陰が勝つな絶対、異能都市1位である実力を見せても大丈夫なのか?
そんな事を思っていると、陰が下がってろと合図してきたので私は壁に背中をくっつける。
これ、わたしが戦闘開始の合図出さないとだめだよな、しょうがないなあ。
一回私は考えるのをやめ目の前の戦いを見ることにした。
「では行きます、異能力バトル時間無制限ルールは禁忌・異能・個人所有武器使用可で。」
ふたりがうなずく。
それじゃあ行くか。
「いきます、用意、初め!」
そういった瞬間二人が同時に動いた。