異能都市1位
私はアラームの音で起きた。
朝からガンガンうるさいもんだ、せっかくの夏休みなのに。
まあ切らなかった私が悪いか。
「朝ごはん作ってないな、外にでも買いに行こうか。」
朝からのんびりとした雰囲気だ、学校があったらこういうふうには行かないからな。
そう思いながら、私は外に出る準備をしているときに、電話がなった。
ディスプレイに写っているのは"陰"と一文字だけ。
「朝からめんどくさいなあ。」
そう言いながらも電話に出る。
「朝からどうしたの?」
『いや朝って言ってももう10時だろ。』
「10時でも休みの日はあさなんだよ?」
『馬鹿になったか』
「そんなことよりなにか用?」
こんなバカみたいな会話をしながらもちゃんと要件は聞く。
まあどうせそんなようではないと思うけど。
『朝からお前の家の周り大変じゃね?』
「へ?」
そう言われてやっと気づく、たしかに周りを囲まれている。
...いやちょっと待てどういうことだ、朝起きたら家の周りを知らない人に囲まれてるとか怖すぎだろ。
「なんかいっぱいいるな。」
『なんかって一応人だろ』
「というか陰が始末しろよ、わざわざ電話かけてくるなよ。」
『私今学校の補習受けてるんで』
めちゃめちゃめんどくさい、なんで夏休み初日の朝からこんな目に。
『まあでも知らないふりしてやり過ごせば。』
「うんまあそうだな、じゃあねまた後で学校行くわ。」
『はいはい、わかったじゃあね』
この一言で電話が切れる、じゃあ外にいるやつなんとかしなきゃな。
そう思い、外に行くようまあ要するに学校に行く用の服に着替える。
「朝ごはんをは後回しだな。」
そう言って外に出る。
当然のごとく囲まれる。
「何かうちにようですか?」
できるだけ一般人のふりをする。
「貴方は異能都市1位ですか?」
突然分けのわからない質問。
なるほどこの人達異能都市1位の人を探してるのか。
「残念ながら違いますね、私は異能すら使えないので、そんなことよりそこどいてくれますか?今から出かけなきゃいけないんですよ。」
「すみませんでした、この地区一帯の人に聞き込みをしてるんです。」
「聞いてどうするんですか?」
「もちろんそいつを倒して我々が異能都市1位になります。」
「そうですかまあ頑張ってください。」
そう言って私は足早にその場を立ち去る。
まあなんとかやり過ごせたみたいだ。
そう、異能都市1位は私と陰のことだ、私達はできるだけ面倒事に絡まれたくないと、異能都市順位を非公開にしていた、そのせいで1位2位が非公開という前代未聞のことが起こってしまい、打倒トップ!というアイツらみたいなやつの心に火をつけてしまった、でもまさか家まで聞き込みしに来るなんて。
そんな事を考えているうちに、学校につく。
「早かったな。」
私達が通っているこの学校は、異能都市最大の学校、時矢高等軍事学校という名前だ。
「いつ見ても名前がダサい、どういう付け方したらこの名前になるんだ。」
「この学校の創始者が時矢なんだよバカ」
後ろからさっき聞いたばっかりの声がする。
振り向くとやっぱりそこに陰が立っていた。
「朝からバカはひどい。」
「事実なんだからしょうがないだろ。」
そう、こいつは陰、本名は霧麗 霊名わたしの実の姉だ、ちなみにわたしの名前も霧麗 麗名だ。
下の読み方が何故か一緒なので、お互いに陰 陽と呼び合っている。
陰陽の由来は性格がぜんぜん違う、陰は暗い私は明るい、さらに異能がほぼ真逆であることから陰陽とよんでいる。
「本当に補習にかかったのか?」
「まあな、点数ギリギリを攻めてたら学科試験で一点分だけ落ちてた。」
「お前も馬鹿じゃん。」
私達は異能都市1位であることを隠そうと学校でもかなり低い成績を取っている。
異能都市では異能グループというものもあり、それも順位反映される。
それも私達のグループ、明星が1位を独占している。
それも非公開だがなぜか明星という名前が特定されつつある。
なんてめんどくさいんだろう。
「お前さっきから何考えてんの?」
「ああ、ごめん異能都市についておさらいしてた。」
「大丈夫か、ああそう、学校に来たんだったら個人練手伝えよ。」
「無理却下諦めて?」
片っ端から断る、まあそんなことが叶うはずもなく。
「朝ご飯食べてないんだろ?」
「ああ食べてないよ」
「手伝ってくれたら、学食おごるけど?」
「わかった手伝おう」
お金につられてしまう。
あいも変わらずこの人は策士だ。
というわけでこの人の練習を手伝うわけだが絶対トラブルが起きるんだよなあ。
そう思いながら陰の後ろについていくのであった。