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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

初恋の幼馴染との再会

作者: 継続は不可能なり


「「「かんぱ〜い!!」」」


「こいつさ、いつの間にか一人旅行ってるんだよぉ」

「へぇー以外、神谷君ってインドア派で休みの日とかに

アニメとか見てそうなのに」

「前とか東京行ったなんて時もあったよな」

「出かけるって言ってもそんな頻繁には…疲れたりした

時にだし……」

「でも1人でひょっこり東京とかに行っちゃう訳よ

ね?」

「は、はぁ…すみません。少しお手洗いに」


1人席を外した神谷こと神谷 玲音だが、


「『でもどんな子かと思ったら面白い子よね』」

「『後輩君見た目は陰キャっぽいしね〜』」

「『私も東京観光連れてって貰おうかなー、なんちゃっ

て』」

「『なら、誘ってやった甲斐が有るな。今日アイツ意気

消沈してて元気づけるため呼んだけど』」

「『何かあったの?』」

「『書類のミスで課長にドヤされて、土下座までしてた

からさw』」

「『今どきそこまでしなくても…』」


「(はぁー戻りづれ、このまま帰ろうかな)」


お手洗いを済ませた玲音は会社の先輩達との飲み会

を1人店を出て帰路に着く。


「(あの先輩強引だし、人の失敗談を嬉々とし酒の話の

ネタにするしで、今度からキッパリ断らなきな)」



「ヴォエエェェェェェ」


あー気持ち悪、もう何も考えられない。シャワー浴び

てさっさと寝よ。



朝目を覚ましたはいいが今日は休日だ。


この季節は本当に寒いな…。

そう思いながらクローゼットの中を覗いてはみたもの


あれ冬物こんなに少なかったけ……。

はぁー、新しくコート厚手のもの買いに行こうかな。



何も買えなかった…。

友達なり彼女が居れば仕立ててくれたのかな……。


(【アイツ】はお洒落だったな、いやあれは趣味みたい

なものか)

________________________


『玲音何ボーッとしてんだよさっさと帰るぞ』

『波瑠ー今度の試合助っ人で頼む!』

『いいけど、5000円なw』

『ゲッ、金とんのかよw』

『ハハハ』

『そういやよお、波瑠なんでいっつも神谷と帰ってん

だ?』

『何でって?家が真向かいで幼稚園時代からの幼馴染だ

から』

『てっきり神谷のやつが波瑠の奴隷なのかと思ってた』

『ちげーよ』

『…』

『悪い待たせた』

『いや…』


ようやく教室を出て廊下を歩いてると


『ワッ!!』

『脅かさないでよイリーナ』

『玲音と波瑠ももう帰り』

『ああイリーナもか』

『うん!』


3人揃っての帰り道は小学校に戻ったみたいに楽しかっ

た。

一つ変わったとすれば、

『玲音、イリーナとコンビニ寄ってくけど行く?』

『いや、俺は帰るよ』

『えー、行こうよレオト』

『ごめん、この後塾だから』

『そっか、頑張ってね』

『うん…』


波瑠とイリーナは付き合っていた。

この頃にはもう4ヶ月程経っていただろう。


『(はー、めんどくさい。コッチは居心地悪いんだよ)』

________________________


懐かしいな…

2人は高校卒業と同時に東京へ行ったんだっけか。


過去を思いふけりながら、雪の降り積もった歩道橋を1人歩いていると不意に昔の面影を残した女性とすれ違ったが声を掛けることはしなかった。

しかし、


「あれ、もしかしてレオト?」

「え?」


不意に名前を呼ばれ俺は振り向いた


「やっぱり!レオトだ〜!!」


寒さで頬を軽く紅く染めた自分と同い歳近くの女性が嬉しそうに笑っている。


「イリーナ?」

「そうよ。久しぶりレオト」


彼女の名前は市ノ瀬 イリーナ日本人の父とロシア人の母とのハーフだ。

母親の遺伝子が強くロシア系のいかにも外国の人という顔が特徴的で生まれつきのブロンドヘアに淡い青色をした瞳、でもどことなく日本人の面影を残した綺麗でおっとりした女性だ。


彼女とは小学校時代からの仲で云わば幼馴染というやつだ。

いつも、俺と波瑠とイリーナで学校帰りに遊んだり、小学生時代の男女として意識し出す前なんかはお泊まりも頻繁にしていたな。


そして、中学に上がった後の俺の初恋の人だ。


でも、隈もできてるし顔色が少し悪そうというか、

「(イリーナってこんな雰囲気のやつだったけ?)」


にしても、相変わらず可愛いな…。


「ねえレオト、久しぶりに会ったんだしお茶でもしない」



喫茶店にやってきた俺たちは店員案内された席につきお互い軽食とドリンクを注文した。


「しばらくぶりね」

「ああ、前に東京に2人の結婚式に行った時いらいだもんな」

「うん…」

「波瑠ともあれ以来LINEを少しする程度になってここ数年は全然やり取りしてないな」

「…」

「波瑠もこっちに戻ってきてるのか?」


カチャン


「あ、大丈夫?服とかにこぼれてない?」

「大丈夫、大丈夫、ごめんね手滑っちゃって」


このときの俺は知る由もなかったイリーナがどんな気持ちで俺とこうして話しているのか、地元に帰省してきたのかを。


2人でテーブルの上にこぼした水を拭き取っていると、ふいにイリーナが呟くように口を開く


「波瑠は【遠く】にいるの」

「遠く?外国とかってこと?」

「……うん」


「ごめん、体調が悪くなってきたから私行くね」

「え、大丈夫?家まで送るよ。少し歩くけどコインパーキングに車停めてるし」

「いいよ、そこら辺のホテルにでも泊まるつもりだったから」

「そっか……」


でも、なんと言うか、このまま1人にさせたら二度と会えないような危うさが見て取れる。


「待って!!イリーナ」

「え?」

「ごめん、その…今のお前見てると心配で、だから…今日は俺の家に泊まってけば?」

「…でも……、玲音の家族に迷惑になったりするし」

「今は一人暮らしだからそこら辺は大丈夫」

「……わかったわ」

「うん、ここで待ってて今車持ってくるから」


車を走らせること40分程度で家に着きいた。


「夕飯どうしようか?」

「私は食欲がわかないからいいわ」

「そっか」

「えっと、バスルームはそっちでトイレは廊下の左にあるから自由に使って」

「ありがと」

「で、俺はリビングで寝るからイリーナは俺のベッド使って寝てくれ」

「え、いいよ。私がリビングで寝るよ」

「いいっていいって」

「じゃあ…お言葉に甘えるね」

「うん」


「(彼女いない歴=年齢の俺の家に女性を招いてる。しかもシャワーを浴びてるよ)」

幼馴染で小学校の頃はお泊まりもしてたとはいえ、今はお互い成人してイリーナに至っては人妻だ。

意識しない方が無理ってものだ。


おっと、着替えを用意しなきゃな。

クローゼットを開け、衣装ケースから上下セットアップのスウェットを用意する。


「イリーナァ、着替えここに置いておくぞ」


と、バスルームにいるイリーナに声を掛ける。


「ありがとう」


っ///マズい変な気を起こしてしまいそうだ。


「じゃ、おやすみ」

「うん…おやすみ」


「(一応波瑠にも連絡しておくか)」

電話を鳴らすも

《おかけになった電話番号は現在使われておりません》


「(なんだよアイツ、番号変えたのか)」

にしても、眠れない


「ねえ、レオト起きてる?」


そう言って寝室から暗い廊下を通ってリビングにイリーナが来た。


「ああ起きてるよ」

「ごめん、眠れないの」

「」

「その…一緒に寝てくれないかな」

「え…、わ、わかった」


床に敷いた布団は1枚なため否が応でも体が密着する。


「(ヤバいよ、本当に。いくら幼馴染とはいえ、大人の女性だぞ初恋の相手だぞ。勃っちゃいそうだよ)」


変な気持ちを起こさぬよう理性を保とうとし、玲音は

昔の思い出話をイリーナにもちかけた。

「なんというか、こういうのって小学校の時以来だな」

「うん、そうね…」

「あの時は3人の誰か彼かの家で泊まって夜遅くまで興奮して騒いで親に注意されてさ」

「…」

「こうして、イリーナとアイツも、波瑠も帰ってきたらさ、3人でどっか旅行とかにでも行きたいな」


この時、玲音は純粋に思った事を口に出した。



高校生になり、波瑠とイリーナが付き合い始めた。

波瑠は勉強も運動もできてかつルックスも良かった。

俺がいくら頑張っても届かない舞台にいて、アイツはいつだってクラスの中心にいた。

あの頃からか、劣等感からか波瑠のことを少しずつ避け始め、同時にいつも波瑠の隣に居たイリーナのことも避けるようになったんだよな。


これは波瑠もイリーナも知らない俺の思い出だ。



「ねえ、レオト…」

おもむろにイリーナが口を開く。


「ハルはね……もう…【いないの】」

「ああ、外国に行ってるんだよな」

「違くて、…2年前に自殺をしたの」

「え………」

「会社の上司に酷いいじめを受けて……」

「(嘘だ…嘘だろ…………アイツが波瑠が、死んだ?)」

ハハッハァハァッ

「レオト?レオト!?レオト!レオt…!」

ハァッハァハァッハァハァハァハァ


・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・




気がつくと見知らぬ天井が目に入った。

どうやら過呼吸を起こし病院に搬送されたみたいだ。

病室のカーテンの隙間からは日光が入ってるのがわかるため今は朝なのだろう。

室内にある時計を見ると10時を過ぎたあたりだ。

すると、看護師の方が入って来る。

「神谷さん調子はどうですか?」

「…はい。大丈夫です」

「そうですか?良かったです」

「…」

「今日には退院できますが、無理はなさらぬようにしてください」

「はい、ありがとうございます…」


短い病室生活を送り家に帰宅するとイリーナの姿はなく、代わりにメモ用紙に


〖ありがとうレオト、ごめんね〗


とだけ記されていた。


無性に嫌な予感が湧き、入ってきた家のドアを開けっ

放しで家を飛び出した。


さすがにまだ東京には帰っていないだろうと思い、家の周辺から実家や当時通っていた高校、中学校、小学校を走り回ったが一向に見当たらなかった。


「(クソッ、人間あーいう精神状態の時何をしでかすかわからねぇってのに)」


と、走っていると人集りが見えてきた。

そこは、高校時代3人でよく下校の際通った橋だった。


「(おいおい、嘘だろ。早まるなよ)」



「(ごめんね、レオト)」


でも、私もう疲れたの。

ハルが死んで今まで2人で過ごしてきた部屋で1人になって、部屋も家具もハルが使ってたデスクもハルが死ぬ前の状態で今も綺麗に整頓されているのに、なのにハルだけがいない…。


仕事をしていても、手につかなくなって自分から辞職願を出した。

そうして時間が経過して、ようやく精神的に落ち着き地元戻ってきた。

レオトと再会して私は困惑した。

波瑠のことをどう伝えるべきか、でも伝えなくてもい

いんじゃないかとも思った。

けど、ハルはよく言ってたな。


『俺にも言えなかったり困ったことがあれば、玲音を頼れ。

アイツは俺の幼少期からの馴染みで俺が1番信頼してるやつだからな』


だから、レオトにハルのことを話した。

でも、まさかあんなことになるなんて、一瞬とはいえ

私のせいでレオトも失ってしまうと思ってしまった。

そう考え出すと、怖くなった。


「私が死ねば、レオトを苦しませなくて済むし、ハルに会えるかな」


いよいよ橋の手すりに足を駆け出そうとした。

その時、


「『イリーナァァ!!!』」

遠くから声が聞こえる。



俺は人集りに突っ込み群衆をかき分け、イリーナと対面する。


ハァハァハァ

「レオトまた呼吸がっ!」

「馬鹿野郎!ハァ、これは、お前を見つけるため街中走り回ったからだ、ハァハァ」

「…」

「何してんだ、そんな危ねぇ所にいないで戻ってこい」


だが、イリーナはゆっくり首を振る。


「私はハルに会いたいの」

「そんなこと波瑠は望んでねえだろ」

「どうしてレオトがそんなことわかるの!!」

「それは…、アイツとは幼稚園時代からの幼馴染でいつも一緒に居たし、俺が劣等感に苛まれた時もあったけど、それでもアイツを1番信頼してたからな」

「ッ!!『俺が1番信頼してるやつだからな』」

「さ、取り敢えず俺の家に帰ろう」


そう言って手をイリーナに向けて出し、イリーナもその手を掴もうとしたが、

その時イリーナが足を滑らし体が宙に投げ出され、橋の下を流れる川へと真っ逆さまだ。

玲音は無我夢中で自身も身を投げ出し、空中でイリーナを掴まえると片手で抱き、もう片方の手で彼女の頭を守りそのまま落下した。

まさにアクション映画さながらの光景である。


そして、玲音は意識が薄れていく前に彼女を抱きながら川岸に上がると、そのまま目を閉じた。



「…ト、…オト、レオト!」


目を開けると視界にはつい数時間前にも見た天井と涙で顔を汚したイリーナの姿がうつった。


「まさか1日に2回も病院に搬送されるとはなw」


と軽口を叩くと

イリーナが泣きながら


「心配したんだから、グス、もしこれで目を覚まさなかったらって思ったら」

「お前も橋から落っこちたのになんでそんなヘッチャラそうなんだ?体頑丈過ぎやしないか」

「///っーバカ!」


とボディブローをお見舞された。



そして、日が落ち辺りが暗くなる頃に俺【たち】は病院を後にした。

「イリーナはこれからどうするんだ?」

「私は…1度東京に戻って荷物をまとめて、家も売って

コッチに帰ってくるわ」

「ってことは実家住まいか」

「そうね、それもいいけど……」

「ん?」

「レオト、レオトが良ければ私と一緒に居て欲しいの…」

「それって…」

「うん…」

「……俺さ、ずっとイリーナのこと好きだったんだ」

「え…いつからなの?」

「中学の時から…だからさ高校に上がって2人が付き合い始めたの知って、3人で下校してる時も凄い居た堪れなかったんだw」

「そうだったんだね…」

「だからさ、イリーナが一緒に居て欲しいって言ってくれたことが凄い嬉しいんだ」

「私は正直…まだわからない。ハルが死んで…1人になって辛くて、コッチに帰ってきたのももうどうすればいいかわからなかったから」

「…」

「だから今思えば最期にレオトに会いに来たんだと思う…」

「…」

「でもレオトと再会して、一緒に居て貰って、やっぱり1人は寂しいの…」


きっとイリーナは沢山辛い思いをしてきたんだろう。

それこそ、さっき彼女は波瑠の後を追おうと身を乗り出していたし。


「じゃあさ、その東京に戻って色々片付いたら、い、…一緒に暮らそう!」

「…」

「…」

「うん!!」



「やっぱり俺も東京ついて行かなくて良かったか?」

「大丈夫だよ。レオトは心配性だなーw」

「自殺未遂者がよく言うわ!」

「…///大丈夫だよ!」


「行ってらっしゃい、待ってるよ」

「うん、行ってきます」


そうして彼女は飛行機の搭乗ゲートへと歩いていった。



それから4年の月日が流れた。



「パパーー」


ブロンドヘアを風に靡かせながら小さい少女が駆け寄ってくる。


「あんまり慌てると転ぶよ」

「大丈夫ー」

「ねえねえパパ、ママとどうしてけっこんしたのー?」

「それは…」

「こら、エレナ余りパパを困らせちゃダメよ」

「イリーナ、俺は困ってないぞ」

「あら、にしてはどもってたじゃないの【ア・ナ・タ】」


クスッw

「パパ早くぅ」

「ああ!」


「(波瑠、お前の分もイリーナ、そして俺とイリーナのエレナを守っていくよ。だから安心して見守ってたくれ)」



今回初めて小説というものを書いてみました。

至らない部分があったり、

つまらないと感じるかもございませんが、

少しでも気にいっていただけたのであれば

★1つでも凄く嬉しく思いますのでお願い致します

( . .)"

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