表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編(ヒューマンドラマ)

時の流れはおんぶと共に

作者: 御厨カイト


「う、うわぁぁぁん!い、痛いよぉぉぉ!うあぁぁぁぁん!」


「あぁ、もうまったく。男の子が転んだぐらいで泣くんじゃないよ。」


「し、し、師匠ぉぉぉぉぉぉ!」


「……はぁ、仕方がない子だね、まったく……。ほら、おいで。」



そう言いながら、師匠は僕の事を優しくおんぶする。



「まったく、君という奴は。そんなことでピーピー泣いてたら、私の修行についてこれなくなるぞ。」


「そ、そんな事言ったって、い、痛いんだもん!」


「……はぁー、ホントにもう、仕方がない子だ。と言うかいつまでも私の耳元で泣くんじゃないよ。五月蠅くて仕方がない。」


「う、うぅう、だって、だって……」


「あぁ、もう、家に帰ったらちゃんと治癒魔法掛けてあげるからそれまで我慢しな!じゃないと夜ご飯抜きにするよ!」


「うぅう、ひどい……、……この鬼ババア……。」


「……何か言ったかい?」


「……何でもない。」


「うん、なら良いんだ。じゃあ、さっさと帰るよ。」



そうして、僕は師匠の大きな背中に背負われながら、家へと向かうのだった。









********








「お師匠様ー!そろそろお茶にいたしませんかー?」



僕はそう、森の中で魔法の鍛錬をしている師匠に声を掛ける。



「うん?あぁ、今行くよ。」


そう言い、師匠がこちらに来ようとした、その時






バタッ







「お、お師匠様!?」



いきなり師匠が倒れた。



「お師匠様!大丈夫ですか!?」


「あ、あぁ、大丈夫だ……。どうも魔力切れを起こしてしまったようだ。」


「はぁー、なんだ良かった……。もうまったく、気を付けてくださいよ!」


「う、うん、すまなかった。そうだ、ちょっと肩を貸してくれ。家まで歩く。」


「何を言っているんですか。そんな魔力切れでヘロヘロな人を歩かせるわけにはいきませんよ。ほら、僕の背中に乗ってください。」


「え、い、いや、そこまでしてもらわなくて、歩けるよ。」


「いいから、早く。」


「はい……」



そうして、僕は師匠をおんぶする。



「まったく……、君という奴は……。そこまでしなくても良いと言うのに。」


「弟子が師匠のことを心配して何が悪いんですか?いいから黙って、魔力切れを起こしたおっちょこちょいさんは背負われてください。」


「……むぅ、なんか悔しいな……。」


頬を膨らませながら、そう師匠は言う。


「……それにしても、君の背中は大きくなったな。」


「そりゃあ、人間ですからね。年々成長してるんですよ。……そう考えたらお師匠様は出会った頃から変わらず小さいままですね。」


「……小さいは余計だよ。まぁ、確かに私たち魔女は体の成長が人間で言う大体18歳ぐらいで止まる。だから、それからは体が成長しないんだ。」


「それはなんだか羨ましいですね。ずっと美しい姿でいることが出来るなんて。」


「そうとは一概には言えないぞ。確かにずっと若い姿でいることが出来るというのは良い事かもしれないが、逆に言えば愛した人と一緒に老いることが出来ないんだ。」


「あっ……、そうか……。」


「それに私たちは長生きだというのもあって尚更な。中々難しいよ……」


顔を少し背中にうずめながら、師匠はそう言う。



「……帰りましょうか。お茶冷えてしまいます。」


「そうだな、……おんぶしてくれてありがとう。」


「いえいえ、お師匠様のためならこれぐらい。」



そんな事を言いながら、僕らは家へと向かうのだった。





皆さんこんにちわ 御厨カイトです。

今回は「時の流れはおんぶと共に」を読んでいただきありがとうございます。


読んで「面白い」とか思っていただけたら、感想とか評価のほどよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ