少年
僕は、ねずみ年生まれで血液型はA型。
母さんは、僕を夫にする女の子は幸せになると いつも言っている。
なんでも、ねずみ年の男は細々と良く動き、良く働くA型は綺麗好きらしい。
そう言われると当たっているかもね!
今日は、学校から帰ったら友達誘って野球をするつもりだ。
僕の学年は野球好きが揃っているので、誘えばすぐに試合が出来る。
急いで帰って、自転車で行くつもりだ。
「キーン コーン カーン コーン」
「おーい、帰るぞ!」
バタバタと一目散に僕達は学校の門をでた。
「明、ボール頼むぞ」
「OK!]
「ベースは誰の家にあるんだ?」
「俺の家」と健二が手をあげた。
「じゃあ、忘れるなよ!」
「OK!]
話ながら3角にきた。
「じゃあ皆、急いで来いよ!」
「あぁ、わかっているぜ」
「後でな、バイバーイ」
僕の家は、この道をまっすぐに行き 2本目を曲がれば直ぐだ。
走りながら、僕ははんこ屋の手前で止まった。
この家には、大きな身体の女将さんと、僕の苦手なペットがいる。こいつが店先で寝ていたら、僕は遠回りをしなければ往けなくなる。
「今日も外にいないでくれ」と、 心の中で祈った・・・。
秋の夕方、僕はお使いを母さんに頼まれた。
僕の自転車は、パンクして修理に出していたので、僕は歩いてスーパーに行った。
「卵と食パンで300円です」
「有難うございました。」
スーパーをでた僕は、まっすぐな道を空を見上げて歩いた。
はんこ屋は、水曜日が休みだ。
僕は、ふっとはんこ屋の看板の下に目が行った・・・。
目が光る物体が動き出した!
僕は、一瞬身体が固まって袋を手から離してしまった。
一目散で走って逃げた!
「はぁーはぁー」
「どうしたの?」
「母さん、出たんだよ!」
「何がさ!卵とパンは?」
「・・・・・・」
それ以来、僕ははんこ屋の前を通るのが苦手だ。
母さんは、僕がねずみ年だから怖がるのかなと不思議がる。
あの時の卵は、全滅だった! 母さんに、こっぴどく怒られたぜ!
「あー、今日はこのまま、まっ直ぐに帰りたい!」
心の中でさけびながら はんこ屋の看板の下を見た。
あいつは看板の下で横になっていた。
僕と目があった、はんこ屋の看板猫・銀は「二ャァー」と僕に挨拶をした。
僕は、回れ右をして 一目散で走った!「あー駄目だ!」
家は直ぐそこなのに、僕は遠回りをして帰るはめになる。
母さんは、銀は可愛い猫だと言ったけれど、僕の心の中で銀は、あの夜から化け猫に変身しているんだ!
走りながら、大公園で待っている友達の顔が浮かんだ・・・
猫が怖くて、遅くなったなんて言えないぜ!