2021/02/07
1164.
「作者の都合で、フィールドが移った」
「全く、手間を減らすためとか、俺らに対する愛が足りないよな」
「もっかい殴り込み行くか?」
「いや、やめておこう。ああいうのは、頻繁にやると無視されやすくなる」
1165.
「まあしかし、こっちの方が喋りやすくはなってるよな」
「だな。前のフィールドは、1話当たり160字という制限があった」
「それで私たちのセリフがどれほど削られてきたことか」
「この作品のコンセプト的には、あまり長文にならない方がいいんだけどな」
1166.
「ていうかこの作者、みみっちいから文字数増えるんだよ」
「せめて“細かい”って言ってやれ。あれでも、無駄に文字数がかさまないよう努力はしているらしい」
「なお、その練習台として作られたのがこの…」
「おっとそれ以上はやめろ」
1167.
「しかし、160字制限から解放された今、その練習の意味も薄れてしまうことになったな。結局のところは作者がラクしたかったってだけだろ」
「そう言ってやるな。ここはポジティブに捉えよう。制限がなくなったことにより、この作品の幅が広がったと」
「しかし! 無駄に文字数が増えるということは! 単位文字数当たりのシナリオ進行度が低下することになる!」
「どうせこれ大したシナリオないだろ。今更だ」
1168.
「まぁあいつ、思い付きでポンポン書いてくからな」
「そのくせ、細かいこと気にして文字数だけが増えていく」
「だから登場人物の大半が細かいことばっか言う」
「せっかくお前みたいな頭空っぽな存在を生み出したのにな」
1169.
「あ? 誰が頭空っぽだって?」
「鏡を見れば分かるぞ」
「鏡に映るのは美しい自分だけさ」
「言ってろ」
1170.
「しっかし、作者のあの細かく書くクセは何とかならんのかね」
「本人が自力で何とかしようとすると、逆にかなり大ざっぱになるからな」
「バランス取れや」
「簡単にできりゃ苦労しねえんだろ」
1171.
「ま、何はともあれ、これから私たちのフィールドはこっちだ」
「だからって何が変わるでもないけどな」
「作者が楽になる」
「結局それか」