2021/01/31
1141.
「友よ!」
「何?」
「作者からお題が出た! “聖女”だ!」
「はぁ?」
1142.
「“聖女”って、どうすればいいのよ」
「そうだな・・・例えば、私らが聖女になって前回作者に消された兄たちを助けに行くとか」
「え、あれそのままなの!? まずいじゃない! 美々香の義姉になれなくなるわ!」
「ちょっとぐらい自分の兄を心配してやれよ・・・」
1143.
「じゃーん! 変身完了!」
「なんか突然衣装だけが降ってきたわね。作者の仕業?」
「だろうな。おっ? なんか杖っぽいのもあるじゃん」
「クオリティが文化祭レベルだけどね・・・」
1144.
「というか、こんな恰好で外に行かなきゃいけないの?」
「我慢しろ! 行くぞ! 最初の関門は玄関! 母が現れた!」
「美々香、遊んでばかりいないで買い物に行って来るんだね」
「断る! 食らえ、聖女の光!」
1145.
「ああ・・・私は娘になんてことを・・・買い物ぐらい自分で行かなきゃね・・・美々香、晩ご飯は期待しといてくれ」
「聖女の力すげーーーー!!」
「何に使ってるのよ・・・」
「よし、せっかくだし父も浄化してから行くぞ!」
1146.
「ん、なんだ美々香その恰好は。友達まで巻き込むんじゃないぞ」
「食らえ、聖女の光!」
「う、うお・・・課長! 来週は死ぬ気で働きます!」
「やべぇ! 何でもやるイエスマンになっちまった!」
1147.
「まあいい、仕事を真面目にやるのはいいことだ」
「え、あれほっといていいの?」
「兄を助けなきゃいけないんだろ?」
「そうだったわね。美々香の義姉にさえなれればお義父さんは多少やつれてしまっても問題ないわ」
1148.
「よし、魔王の要塞に着いたぞ!」
「近所の公園じゃないの・・・」
「あー! おねーちゃんたち変なかっこー」
「あぁん!? 死にたいんかワレぇ!!」
1149.
「聖女がしていい発言と顔じゃないからねそれ」
「お前たちなんてこうだ! 食らえ、聖女の光!」
「「・・・・・・ははぁ、聖女さまぁ」」
「洗脳してるんじゃないわよ」
1150.
「ここが魔王の城だな!」
「子供たちが作ってた砂のお城じゃないの」
「いざ、兄たちを助けに!」
「え・・・え? ちょっと、ああ~~! 吸い込まれる~~!!」
1151.
「ふぅ、ここが魔王のアジトか」
「なんで砂のお城の中に入れるのよ・・・」
「聖女の力だ」
「それで片付けないで?」
1152.
「いたぞ、兄たちだ!」
「美々香! それに崇妹!」
「助けに来ましたよ、お兄さん。これで私たちは将来安泰ですね」
「ごめん逆に尋常じゃないほどの不安を感じたんだが」
1153.
「おっ! あれは作者! お前もここにいたか!」
「よくここまで来ましたね、ゆう・・・勇敢なる聖女たち」
「今あいつ“勇者”って言おうとしたぞ」
「しかも、ごまかしたわね」
1154.
「細かいことはいいのです。さあ、兄を取り戻したくば、この私を倒してみなさい」
「いいだろう! 聖女の力、思い知らせてやる!」
「・・・ねえ美々香、何か外から声がしない?」
「あ? 知るか。ガキどもの洗脳でも解けたんだろ」
1155.
「あ、ママが呼んでるー。行かなきゃ!」
「あ! ボクもだ! でも、すなのおしろ、どうする?」
「こわしちゃえー!」
「「えい、やー!」」
1156.
「おい、ガキども! ちょっと待て! 中にはまだ私たちが・・・!」
「これは・・・まずいですね・・・」
「おいアンタ作者だろ! 何とかし・・・うぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
その後、彼女らの行方を知る者は、誰もいなかった。