2021/01/24
1124.
「私のプリンが何者かに食べられた! これは・・・事件の予感!」
「で、一家全員容疑者ってワケかい。あたしゃあんな甘ったるいの食べないよ」
「と見せかけて、一番怪しいのが母だ!」
「推理ごっこなら1人でやっとくれ」
1125.
「まず状況を整理しよう。昨日の夜、確かにプリンはあった。しかし、今朝起きた時にはなくなっていた」
「お前が起きたの11時だったけどな」
「起床時間は問題ではない。私は、窓や玄関全てに鍵が掛かっていることを確認した。つまりこれは、密室殺人!」
「別に殺人ではないだろ」
1126.
「ていうか俺らみんな鍵持ってるんだから密室でさえないぞ」
「この際鍵があるかどうかは関係ない。とにかく、密室だった」
「お前もう密室ってことにしたいだけだろ」
「そんなことはない。私は、プリンの無念を晴らしたいだけだ」
1127.
「ああ、私に食べてもらうのを待っていたプリン!」
「にゃは~・・・」
「おいクレセント! お前も立派な容疑者なんだぞ!」
「猫がプリンとか食うのかよ」
1128.
「付き合ってられんな」
「待て親父! ここでの離脱は容疑を認めると捉えるぞ!」
「好きにしろ。それで満足ならな」
「な、に・・・ッ!?」
1129.
「アタシも下りるよ。2人でやっとくれ」
「父と母が辞退した! 残る容疑者は、兄とクレセント!」
「容疑者の辞退が認められるなら俺も下りるんだが」
「なにィ!? つまり犯人は、ただ1人残ったクレセント!」
1130.
「おい、推理になってないぞ」
「だって難しいんだよ探偵の真似事なんて。しかも名探偵でなくちゃいけないんだよ!?」
「お前のその妙な義務感はどこから出て来てんだよ」
「どこからともなくだよ! 一瞬の閃きでやりたくなったんだよ!」
1131.
「さてプリンに戻ろう。兄よ、お前は朝起きてから私がリビングに来るまで何をしていた」
「ゲームだ」
「プリン食いながらゲームだな!?」
「ちげーよ。どうせならちゃんと推理しろよ」
1132.
「まず、カラになっているはずのカップがない。つまり、まだ犯人が隠し持っている可能性が高い!」
「いいぜ? 調べてもらっても。どこにも見つからんだろうがな」
「言ったな? 後で吠え面かくことになっても知らんぞ?」
「そんなことにはならんから大丈夫だ」
1133.
「くっ、見つからん・・・どこだ、凶器はどこにある!」
「凶器じゃなくてカラになったカップだろう」
「無くなっているということは、犯人はカップごと食べた! これだ!」
「ンなことある訳ねーだろ」
1134.
「仕方ない、もっと探すか。クレセント、お前も手伝え!」
「容疑者じゃなかったのかよクレセントも」
「なに? ここ開けろニャンニャンだと? 冷凍庫なんかにあるはずが・・・なにーーーーーー!」
「結局そんなオチかよ」