2021/01/02
1046.
「イヤッフゥ~~! パンパカパ~~~ン!」
「なんだよ新年早々うるさいな」
「新年だからこそだよ!」
「ったく、正月も静かに迎えられないのか」
1047.
「正月だからこそ! テンションを上げねばならない!」
「正月だからこそ何もせずボケッとしてたいんだよ」
「あ、それわかる」
「どっちなんだよ」
1048.
「とりあえずテレビは点いてるよな」
「おや、アンタたち、起きて来たのかい。雑煮あるから食べな」
「とりあえず雑煮はあるよな」
「で、昼飯は年越しそばの残りだな」
1049.
【新年、あけましておめでとうございます】
「正月のテレビって独特だよね。番組もCMも」
「でも特にやることないから見ちゃうんだよな」
「で、飽きてきたら駅伝に変える。親父が」
1050.
「そして私らは、駅伝をBGMにスマホゲーム」
「こたつの魔力からは逃げられない」
「これはもう引力だよ。月だよ。神秘だよ」
「月ではないだろ」
1051.
「アンタたち。だらだらとスマホばかりしてないで初詣にでも行ったらどうだい」
「えーめんどくさいし外寒いじゃん。私はこたつにお参りすれば十分~。むにゃむにゃ~」
「全く。そんなんじゃ嫁のもらい手が見つからないよ」
「こたつに嫁入りする~。ふわぁ~~最高~~」
1052.
「我が子ながら呆れたもんだね。見なよ。アンタたちよりちょっと年上ぐらいの子が寒い中走ってんだよ」
「ンなこと言ったら母さんたちより半分以上も年下の若者が走ってんだよ? 見てるだけでいいの?」
「あー言えばこー言うやつだね、アンタは」
「母さんの教育のお陰でな」
1053.
「美々香や」
「ん? ・・・じ、爺ちゃん! なんでここに!」
「ほっほっほ。婆さんが友だちと初詣に行ってしまって1人では寂しくての」
「夫婦での初詣は昨日行ったと信じることにしよう・・・」
1054.
「それで美々香や、世界征服の方は進んでおるかの?」
「ごめんちょっと微妙だわ」
「お前らどんな約束してんだよ」
「ちょっと・・・ね」
1055.
「ほっほっほ。少し早いがおそばを頂くことにしようかの。朝が早かったものでな」
「お義父さん、お義母さんはこちらに来られますか?」
「ああ。初詣の後はこっちに来るように伝えてある」
「いつも思うけど、母さんの敬語って新鮮だよな」
1056.
「ふん。アンタもそのうち色んな人にペコペコすることになるんだよ」
「ハンッ、余裕だね。私は強い者の味方だ。おこぼれに預かるためなら長いものに巻かれるぜ?」
「美々香や、少し肩が凝ってしまっての。揉んではくれんかね。お年玉が弾むぞい」
「アイアイサー!」
1057.
「ちょっとお義父さん、そんなことは・・・」
「所詮この世はぎぶあんどていく。その真理を、孫にも伝えたいだけじゃ」
「よっしゃあ! ギブアンドテイク最高!」
「おいちょっと美々香そこ変われ」
1058.
「甘いぞ兄よ! 爺ちゃんは私を指名だ! お前なんぞお呼びではない!」
「くっ・・・!」
「安心せい涼太や。後でお主にも頼むぞよ。お年玉は1時間で1000円あっぷじゃ」
「やっぱ美々香、ずっとお前がやってていいぞ」