2020/11/01
841.
「11月だな」
「どうするよ?」
「どうもしねえよ」
842.
「にゃは~・・・」
「おい、クレセントが暇さのあまり欠伸してんぞ」
「猫だって欠伸の1つや2つぐらいするだろ」
「のんきなもんだぜ」
843.
「しっかし、11月にもなれば、年末が近付いたって感じが一気にしてくるよな」
「だな。10月だとそんな意識しないんだけどな」
「大人にとっちゃあ、10月は区切りの始まりってイメージが強いんだ」
「あ? ・・・お、親父っ!」
844.
「なんだ? 仕事は終わったのか? 早いじゃないか」
「ああ。だが一応言っておくが、今日は本来休みだからな」
「うげーっ、日曜に仕事とか死んでもゴメンだね」
「だったら猫にでもなるんだな」
845.
「日曜に休んでる大人も山ほどいるだろ。私はそれを目指すだけさ」
「日曜だからってダラダラしてるようでは先が思いやられるがな」
「日曜も必死こいてもがいた親父が辿り着いた先は、何だ?」
「日曜の仕事帰りに我が子から哀れみを受ける日々だ」
846.
「どうせその辺ってほとんど運で決まるんっしょ?」
「幸運に乗れるかどうかが、日々の努力に懸かっているのだ」
「0.1パーが0.2パーになる程度だろ」
「2倍が大きいとは思わんのか」
847.
「でも実際は0.0000なんパーセントとかだろ。10倍でも小さいね」
「夢のない奴らだ」
「猫になるのを夢見た方がまだ現実的っしょ」
「そんな訳があるか。現実を見ろ」
848.
「夢と現実、どっちを見りゃいいのさ」
「両方だ」
「ま、ウチには、日曜に家で欠伸してる猫も、日曜に仕事してる親父もいるしな」
「こうならんようにしろと言ってるんだ」
849.
「じゃあまずは親父が道標を示してくれよ。ほら」
「・・・なんだそれは」
「懸賞パズルだ。1等は高級ブランドバッグ。雑誌コストに対するリターンは、なんと1000倍」
「ほう・・・確かに、夢と言えば夢だな」
850.
「次。親父には、現実も見てもらいます」
「なんだ。日曜にも仕事してるだけで十分だろう」
「母さんからの伝言だ。“しばらく、実家に帰らせていただきます”。頑張ってブランドバッグ当てて機嫌を取り戻してね☆」
「なん、だと・・・!?」